ロゼッタストーン東京ARTブログ

フランスカメラ展

この世に、写真というメディアが登場した時、多くの人々は、絵画はその役割を終えて消滅するのではないかと考えました。
画家本人でさえも、自分の仕事は終わったのだと、筆を折った者もいたほどです。
けれども、その後、絵画は無くならなかった。
それどころか、これまでの記録媒体という窮屈な職能から解き放たれ、のびのびと、純粋に、画家の魂を映し出す鏡として、自由な表現を獲得したのでした。
写真の登場は、絵画を死に追いやるどころか、スタイルの多様化と新しい価値観の誕生を促す起爆剤にもなったのです。

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ともあれ、写真の出現は、人々にとって、大きな衝撃であったことには間違いありません。
当初はあまり好意的に受け入れられなかったこのメディアは、次第に隠れた能力と魅力を発揮し、私たちの生活と趣味の中で今や無くてはならない存在になりました。
このフランスカメラ展には、写真の発祥国である、同国の歴史的クラシックカメラの名品が集結しています。
カメラの前身であるカメラ・オブスキュラの発明から銀板写真に至る、光学器機の歴史と、そこに注がれた先人たちの技術と情熱に触れられる、カメラファンにとってはたまらない展覧会です。

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カメラが大好きな方へ。
是非、美しい銀塩写真機に会いに行って下さい。


「フランスカメラ展ー失われた時を求めてー」
2013年2月24日(日)まで。
日本カメラ博物館
千代田区1番町25JC?1番町ビル
東京メトロ半蔵門駅4番出口から徒歩1分

posted by ロゼッタストーン東京ART at 2013/1/28 11:34 pm  

たくみのたくらみ

今月の中旬まで、渋谷区のたばこと塩の博物館で開催されていた、「たくみのたくらみ」展。
江戸期の喫煙文化を支えた、珠玉の職人技が集められていました。

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大名や遊郭の太夫などが使用していた、たばこ盆や、きせる、たばこ入れ、着火具。
その工芸品に集約された、螺鈿や蒔絵、染織、指物、彫金、象嵌、鼈甲細工の数々..。
たばこ入れの前金具には、精巧な彫りで、動植物が生き生きと再現されています。

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全ての行程を人の手で紡ぎ上げた道具は、小さな金具ひとつにさえ、一切の妥協がありません。
けれども、これだけの高い美意識と技術をもって、後世に優れた作品を残した職人さんの多くが、
その名も残さず歴史の中に消えていったのです。

ある噺家の方が、「古典落語の作者の多くが、自分の名は残さず、素晴らしい作品だけを僕ら後世の噺家に伝えてくれたんです。その謙虚な姿勢に頭が下がります。私も現代の一落語家として、同じように後世に残る作品を制作してゆきたい」と述べておられました。

私たちは、未来の世代に何を残して、そしてどんな感動を与えることができるのでしょうか。

posted by ロゼッタストーン東京ART at 2013/1/21 01:06 am  

白い贈り物

大人たちは、せっせと雪かきをして
人が通れる通路をこしらえたのだけれど、
子供たちは、わざわざ、スケートリンクのようにカチカチに凍った雪の上を歩いています。
転んで尻餅をついても、皺くちゃの笑顔で起き上がって...。


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雪の日、大好きなマーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本「ちいさな もみのき」を思い出しました。
バーバラ・クーニーの挿絵も、とても綺麗です。

雪の楽しみ方は、子供たちに教えてもらいましょう★

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posted by ロゼッタストーン東京ART at 2013/1/19 09:37 pm  

Le plus important est invisible

飯田橋駅近くの静かな小路にある、欧明社。
フランス語書籍専門の本屋さんです。
トリコロールの看板と、可愛らしいディスプレイが、この小さな通りを行き交う人々の心を捉えます。

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子供のときから、ずっと読んでいる本があります。
大人になってからは、原書で。
同じ本や音楽に、いつも新鮮な感性で触れることは、新しいものに出会うことと同じくらい、
大切なことかもしれないと思うのです。

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そして、フランスの飛行機乗りさんが残してくれた、あの有名な言葉は、オリジナルのテクストではどんな響きやリズムで語られていたのか、知りたくなったのでした。



ところで、欧明社にあるのは難しい本ばかりではありません。例えばこんなものも!

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登場人物の名前を、微妙に変えてあるところが面白いのです。
さて、フランス語版の「ドラえもん」に登場する「Gianette」とは誰のことでしょう...?
なるほど、最後に「KO」が付くと男の子っぽい響きになりますからね★



欧明社:
東京都千代田区富士見2−3−4
オンラインショップもあります。
www.omeisha.com

posted by ロゼッタストーン東京ART at 2013/1/10 11:19 pm  

ちいさなプレゼント

先日、ある音楽制作会社から届いたCDの小包の中に、素敵な「おまけ」が同封されていました。

輸入盤のCDやアナログレコード、楽譜なども扱っている会社で、時々利用しているのですが、
粋なオーナーさんは、何度もそのオンラインショップを訪れる顧客の好みをよくご存知なのです。


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包みの中に入っていたのは、アンティークの楽譜でした。
アメリカで出版された、子供のための、ジャズピアノ譜。
2ページの、シンプルな曲です。


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ジャズは自分が持っているいろんな素材を投入できる自由な音楽ですから、
大人は、このシンプルな譜面に、さまざまなアレンジを加えて、無限に楽しみを広げてゆけます。


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そういえば、音楽の譜面というのは、料理のレシピとよく似ていますよね。

posted by ロゼッタストーン東京ART at 2012/12/29 11:20 pm