ロゼッタストーン東京ARTブログ

たくみのたくらみ

今月の中旬まで、渋谷区のたばこと塩の博物館で開催されていた、「たくみのたくらみ」展。
江戸期の喫煙文化を支えた、珠玉の職人技が集められていました。

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大名や遊郭の太夫などが使用していた、たばこ盆や、きせる、たばこ入れ、着火具。
その工芸品に集約された、螺鈿や蒔絵、染織、指物、彫金、象嵌、鼈甲細工の数々..。
たばこ入れの前金具には、精巧な彫りで、動植物が生き生きと再現されています。

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全ての行程を人の手で紡ぎ上げた道具は、小さな金具ひとつにさえ、一切の妥協がありません。
けれども、これだけの高い美意識と技術をもって、後世に優れた作品を残した職人さんの多くが、
その名も残さず歴史の中に消えていったのです。

ある噺家の方が、「古典落語の作者の多くが、自分の名は残さず、素晴らしい作品だけを僕ら後世の噺家に伝えてくれたんです。その謙虚な姿勢に頭が下がります。私も現代の一落語家として、同じように後世に残る作品を制作してゆきたい」と述べておられました。

私たちは、未来の世代に何を残して、そしてどんな感動を与えることができるのでしょうか。

posted by ロゼッタストーン東京ART at 2013/1/21 01:06 am