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能ある鷹は爪を隠す・・・

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 写真上は、熊本ホテルキャッスル 細川の脇宮盛久和食料理長の笑顔である。自称グルメ難癖男の筆者が、常々お世話になっている和食のプロフェッショナル。研ぎ澄まされた感性を持ち、気さくで白黒はっきりしたところが素晴らしく、厳しさと優しさを兼ね備えた人格者と看ている。

 時には電話で近況を話したり、時にはダイニングキッチン九曜杏にて直接談笑する仲となった。同料理長は、「如水」をよく理解していて、物腰柔らかい中に、喜怒哀楽もはっきりしている。「虚言」を好まず、約束事をしっかりと守る人柄として、勝手ながら敬愛している次第。

 同料理長は若くして黄綬褒章を受章しており、周囲の和食のプロ仲間からも絶大なる信頼を得ていると、筆者なりに受け止めている。以下の料理群をご覧頂きたいのであるが、同料理長が織りなす和食は秀逸極まりなく、特に盛り付けに「拘り」と「遊び」、そして「祭り」を感じるのである。

 これらの料理群は、同料理長黄綬褒章受賞記念(平成三十年)として、当時、期間限定にてサーブされたコース料理。今でも、一つ一つの料理の香り、温度、風味、空気感を昨日ようによう覚えている。よって、記憶に刻まれた大切な料理写真として、今も尚、クラウドに大切に保管している。

 或る日のこと、ご本人に和食について質問した事があった。同料理長曰く「私は盛り付け、飾り付けが好きなんです。今回のような特別料理となればボルテージが上がりますが、お客様が目を丸くして美味しい美味しいと言って頂く時が、一番ですね!」と、ニコニコと語ってくれた。

 同料理長については、残念ながら、料理のプロセスや盛り付けの仕上げの瞬間を直接取材したことはない。日頃から寡黙な人柄なので、言葉は適切ではないが、地味な方に属するプロフェッショナル。「能ある鷹は爪を隠す」の典型でもあり、田舎熊本には勿体ないほどのレベルである訳だ。

 グルメに興味のある方、熊本ホテルキャッスルにお立ち寄り頂く方には、機会があれば、脇宮盛久和食料理長をご指名され、個室細川にて、大切な方々との誕生会や記念日などで、脇宮流和食の祭典をご堪能頂ければと。勿論、遅くとも1週間前にはご予約されることをオススメしたい。

▼脇宮盛久氏黄綬褒章受章記念特別料理(平成三十年)
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▼西田親生のKindle電子書籍「脇宮盛久の世界」
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写真・文責:西田親生

             

  • posted by Chikao Nishida at 2021/9/9 12:00 am

食事処は仕入れが「命」・・・

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 コロナ禍となり、遠出をしてまで、色んな食事処へ大勢で足を運べる時代ではなくなった。勿論、アルコールなしで、感染対策万全の店であり、尚且つ、モラルあるお客ばかりのところは、こちらもウィズマスクでルールを守り、安心して通える食事処もいくつかはある。

 東京オリンピックやパラリンピックが無事閉幕したが、その開幕前から、新型コロナウイルス感染のパンデミック発生。現在は大都市のみならず、地方の田舎町にまでクラスターが発生している。よって、観光施設や食事処は大変厳しい状況下に陥り、翻筋斗(もんどり)を打っているのが現状だ。

 近頃の野菜や牛肉の高騰は腰を抜かすほどであり、殆どのホテルや旅館は仕入れで頭を痛めているに違いない。だからと言って、粗悪な食材を仕入れて、不味い料理をサーブすれば、一瞬にして客が離れてしまう。ここで、食事処としては迷走せず、仕入れについての無駄無理検証をしなければならない。

 随分前のことだが、ホテル日航福岡の取締役総料理長 中橋義幸氏(※1)を取材したことがあった。そこで驚いたのは、同氏の食育への拘りと、逸早く、契約農家システムを構築し、野菜や合鴨農法の鴨などをフレンチレストランの食材としてフルに活用いるということだった。

 台風、豪雨、地震、そしてコロナ禍のような大災害時に、必ず、私たちの「命」を支える食材や生活必需品が急騰し、「不安」という文字が、頭のてっぺんに突き刺さってくるのである。今回のコロナ禍では、ガソリン代、牛肉、野菜などが、気付かぬうちに高騰しているのであった。

 食事処の流れを見ると、食材の仕入れによって、各メニューの料金が左右される。品質の高い食材を安値で仕入れることができれば最高だが、長年お付き合いのある卸業者次第では、下手すると、品質の悪い物でも、なあなあの仲良し倶楽部の誼みで、高値で持ち込む業者も無きにしも非ず。

 結局、表題の如く、食事処の仕入れ次第で「命」取りとなったり、好条件の仕入れができなくなれば、食事処のアキレス腱がブッツリ切れてしまう訳だ。その点、契約農家システムを構築した中橋氏の発案と采配ぶりは、すこぶる理に叶ったものとして、当時から注目してきたのであった。

 全国展開する回転寿司チェーンも、漁村で逆転の発想的で、巧妙なる仕入れのテクニックにて大成功を収めており、それに関わる人たちに「恵み」を与えている。中橋氏の契約農家システムも、ホテル側と生産農家との信頼関係が礎となり、その「絆」は今も尚続いていることになる。

 ここで食事処の経営者または勤務する中間管理職の方々へ問いたいのだが、従来の卸業者との信頼関係もさることながら、この時期において、何でもかんでも高騰したから、仕入れ予算を変えないのならば、質を下げよで動かざるを得ないところも有りはしないか!?、と言うことだ。

 自給自足ができない狭い日本列島。よって、国際的な物流の世界において、不安定なる仕入れに悩まされているのであれば、早急に、現状を具に検証し、卸業者の日頃からの卸値が、適正価格であるか否かを検証する必要は有りはしないか。そこで、光明が差すような秘策が見つかりはしないか!?

 どの世界も同じことだが、「馴れ合い」というのが一番癖の悪いものである。昔の話、ある宿のクリーニング代をチェックしたところ、周囲の宿の平均価格の倍額を10年ほど支払っていたことが発覚した。1億円を超える無駄な出費に押し潰されていたことになったのである。

 そこで、「1億円も、まあ、高値で騙してくれましたね!」と宿側が言えば、「いえいえ、5千万円ほどですよ!」と悪びれた様子もなく、「馴れ合い」の水面下にて、「儲かっている宿だから、倍額貰っても問題はないぞ!」と考えていたのだろうと。何という悪徳商売か!

 また、40年ほど前の話。仕入れで成功して、隆盛を極めたレストランがあった。最初は小さなレストランであったが、名物料理が当たりに当たり、既に年商5千万円を超えていた。その後、そのオーナーは北海道など全国を行脚して、上質の食材をダイレクトに激安にて仕入れ可能な契約を結んで行った。

 結果的に、立派な自社ビルを建て、多くのテナントを抱え、当時は、飛ぶ鳥を落とす勢いにて、大成長を遂げた。しかし、その店主が急死したために、何十年もの信頼関係を結んでいた生産農家や漁師さんなどとは疎遠となり、最終的に、自社ビルも売却され、廃業に追い込まれてしまった。勿論、コロナ禍の前の話であるが。

 前述のように、食事処は仕入れが「命」であるが、生産者との太いパイプに繋がれた「絆」があってこその物種である。今からでも遅くはないので、街場の食事処、ホテルや旅館など、今の時期であるからこそ、全ての仕入れの再検証をオススメしたい。そこには、起死回生となる「奇策の種」があるのかも知れず、新たな生産者との絶好の出逢いがあるかも知れないのだから・・・。
 
(※1)中橋義幸氏は、2003年に「ディシプル・ド・オーギュスト・エスコフィエ」を授与されている。


◎以下は、絶対的な仕入れのパイプを持つ五つ星ホテルの食材と料理

▼帝国ホテル東京のローストビーフ(ラ・ブラスリー)
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▼ザ・リッツ・カールトン東京の門崎丑(ひのきざか)
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▼ザ・リッツ・カールトン東京の蝦夷鮑(ひのきざか)
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▼ホテルオークラ福岡の豪華広東料理(桃花林)
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▼グランドハイアットの点心(点心専門中国人シェフの力作)
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写真・文責:西田親生

       

  • posted by Chikao Nishida at 2021/9/8 12:00 am

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