
川上洋信総料理長と最初に出逢ったのは、同氏が銀座桃花源総料理長の頃、数年前のことである。当時、ロゼッタストーン特派員東京大会を同店で開催し、ランチタイムで大変お世話になった。
筆者からのオーダーは、「遊んでください!」がテーマ。特派員たちが腰を抜かすような菜譜は、鶏の足(俗称・もみじ)は出るわ、ガツは出るわの大騒ぎ……インパクトが強すぎたこともあり、昨日のことのように鮮明に覚えている。確か、2009年6月のことだった。
また、翌年の2010年11月9日、ディー・アンド・エル社20周年記念美食会が開催された。これまた意表を突くような、馬の睾丸や豚のコブクロなどの食材があり、参加者の目はギョロギョロ、パチパチ、冷や汗の連続であった。
今回は大変久しぶりの桃花源個室だったが、テーマは同様に「思いっきり、遊んでください!」である。よって、サーブされた料理は写真のように、これまで同店で見たことのないものが続出した。例えば、ミノの唐辛子炒め、熊の指の醤油煮、キヌガサ茸とウミツバメの巣などなど、薬膳料理のようで、食後に身体がどんどんと温まっていった。
中国料理の中でも、「四川料理」はとんでもなく面白い。同じ辛さでも、顔が火照るような辛さ、頭頂部から汗が噴水のように噴き出す辛さ、舌先が痺れ喉に突き刺さる辛さ、食道から胃袋にかけてじわっと熱くなる辛さ、掌や足の裏がどんどんと熱くなる辛さ……酸味なども伴い、複雑だが気持ちよい刺激のオンパレードとなる。
昨日のように、どんよりと雲がかかり、暑いのか寒いのか訳が分からないようなドヨンとした天候のときに、この刺激を受けると、心身ともに気合いが入り、寝不足や風邪なども一発で吹っ飛んでしまう。
ちなみに、筆者の「中国料理のスタンダード」は、この桃花源と桃花林(ホテルオークラ福岡)である。お陰様で、毎回その質の高さ、奥深さを体験させていただくことにより、筆者のスタンダードの基準値がじわじわとアップしていくことになる。大変、有り難い!!! ご馳走様でした。
【川上洋信総料理長プロフィール】
札幌パークホテルで9年間修行し上京。松山全日空ホテルなどでの修行を経て、熊本ホテルキャッスルに入社。斉藤氏の下で四川料理の真髄を学ぶ。1999年6月、銀座桃花源開業とともに総料理長に就任。第三回中国料理世界大会畜産部門銀賞受賞。現在、熊本ホテルキャッスル総料理長。
【本日の菜譜】
1)前菜彩々
フォアグラムース(台湾)、菜の花の牛タン巻き(大分)、ミニトマト 桂花要り甘酢漬(熊本)、つぶ貝の醤油煮(北海道)、たけのこザーサイ和え(国産)、そら豆の山椒辛子和え 桜えび山椒塩(新潟)
2)タイラギ貝の青山椒炒め
3)上ミノの唐辛子炒め(国産)
4)毛鹿鮫ヒレの姿煮込み
5)熊の指の醤油煮(知床)/野生のキヌガサ茸 上海ソース 海ツバメの巣を入れて
6)活オマール海老の四種料理(カナダ産)
チリソース・辛子マヨネーズ・豆鼓(とうち)・ネギソース(塩)
7)海の幸のおこげ
8)古典式アンニンドウフ 紅海ツバメの巣添え


【ロゼッタストーン公式サイト】 http://www.dandl.co.jp/

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