ロゼッタストーン／THE ROSETTA STONE

　生まれて初めて出逢った言葉「玻璃面」。それは１６歳の頃、東京神田神保町にあった古本屋で見つけた書籍を手にした時の事だった。筑摩書房だったと思うが、高村光太郎書「美について」の冒頭に出てきた言葉だったと記憶する。

　「玻璃」とは、仏教用語では七宝の一つである水晶を意味し、通常はガラス、水晶のこと。よって、高村光太郎が記した玻璃面は・・・真っ平らでつるつるした、密度、透明度の高いガラスや鏡など、クリスタルなものを指していたのだろうと・・・。

　筆者はそれを読んでからというもの、ふとした時に必ず「玻璃面」という言葉が頭の中に浮かんでくるようになった。脳裏に深く刻み込まれた「玻璃面」。しかし、今までその言葉を他人の口から直接耳にしたりする事は無かった。

　意味も無く気に入った言葉として、今も尚心に留まっている「玻璃面」。筆者はこの言葉を語ったり、書で書き綴ると・・・何となくずしっと心が落ち着き、自然と澄み切った精神状態となってくるのである。・・・実に不思議なことなのだが。

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