ロゼッタストーン／THE ROSETTA STONE

　昨夜、３年振りにすき焼きを食した。砂糖と醤油をベースにした、所謂、熊本流のすき焼きである。他県の方がその調理課程を見ると、きっと驚くに違いない。

　最後に食したすき焼きは、ちょうど３年前に帝国ホテル東京地階にある吉兆東京で食したもの。吉兆ならではの割り下がベースとなり大人の味だったが、熊本流はそれと全く異なり甘辛く、何となく家庭料理に近いものを感じてしまう。

　ちなみに、熊本流のすき焼きの調理法は以下の通り。

（１）鉄鍋を温め、ダイレクトに霜降り肉を全部入れて炒める。
（２）そこに砂糖を沢山まぶし、次に醤油を掛けて行く。
（３）それから某店の秘伝のたれを掛けて、野菜などを入れ、更に砂糖と醤油。
（４）グツグツと煮立ったら、卵を付けてご飯と一緒に食べる。

　意表を突かれるのは、やはり、大量の砂糖であろうか。肉の上にも野菜の上にも砂糖を乗っけて、更に砂糖めがけて醤油を掛けて行く。餅を焼いて付ける砂糖醤油とほぼ同じ要領だが、何気に食欲は増して行くのである。

　実は、熊本には「すき焼き専門店」がほどんど無いと言っても過言では無い。その理由の一つに砂糖と醤油だけで簡単に作れるものだから、専門店の存在が意味をなさないのである。

　数年前までは、熊本ホテルキャッスル１階（当時、銀杏）には、５０００円のすき焼も、今は影も形も無くなっている。たぶん、熊本人は「すき焼きは自宅で食すもの！」と思い込んでいるようだ。

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