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実録・昭和の豪傑(2)

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 本日の「昭和の豪傑」は、また、別の役員の話。お洒落でダンディーで、オールバックに銀ふち眼鏡が似合う役員だった。たぶん、新聞社では、ダントツにファッションに拘ったお人だったろうと、思い出す次第。

 筆者が26歳の頃、新聞社(当時は鶴屋百貨店の真向かいに本社があった)近くのマンションに住んでいた。たまたま、その役員の自宅も同階でお隣同士。・・・ダンディズムを貫くお洒落な役員に、当時かなり感化された筆者だが、その豪遊振りは眼を見張るものがあった。

 ある日、「お、今夜空いてるかい?」と突然、オフィス通路で話しかけて来た某役員。・・・「悪いけど、ちょっとあの飲み屋に来てくれんかな!」と誘われたのだった。

 午後8時に指定された飲み屋に行くと、既に某役員と彼女さんの二人はほろ酔いでカウンターで呑んでいた。「お、来たか!・・・来て早々悪いけど、ムーディーなもの歌ってくれんかね!?」と。・・・まだ乾杯もせず、筆者は店主に頼んでPaul Ankaの「You Are My Destiny」を頼み、ステージで歌い出した。・・・すると、某役員と彼女さんはピタッとくっついてダンスを始めたのである。微笑ましいやら、イライラやらで・・・。(苦笑)

▼Paul Ankaの「You Are My Destiny」
 https://www.youtube.com/watch?v=7hIkiWgwYUgLink
 https://www.youtube.com/watch?v=Mtvl8IbX434Link

 それから、2〜3曲歌い、やっとカウンター席に座って、チーズをつまみ、ウォッカマティーニを呑む事ができた。

 午後9時を過ぎる頃に、某役員が一言、「お、今から俺たちちょっと出てくるから、ここで時間つぶして待っててくれんかね。・・・いいかな?」と。先般のオーストラリア金髪女性とは異なるパターンだが、「了解です。」とニヤリと笑って、一杯目のウォッカマティーニを飲み乾した。

 ・・・・・

 午前零時近くになり、某役員が1人で戻って来た。・・・先ほどよりずっとさっぱりとすかっとした出で立ちである。「悪い悪い、かなり待たせたね!・・・じゃ、移動するか?」と言い、我々が住むマンション近くにあるラウンジへ行くことになった。・・・そこは午前4時までオープンしているのを知っていたので、「午前様は辛いなあ!」と独り言を呟きながら、某役員と肩を組んで歩いて行った。

 さてさて、まだ呑むのか???・・・結局、そこでも歌わされ、午前4時を過ぎた頃に店を出た。

 マンションのエレベータに二人乗り、○階へ。某役員が、「ちょっと、待って!」と。・・・ピンポーン♪ピンポーン♪と。暫くして、まだメイクも落とさずご主人の帰りを待っていた奥様がドアを開けてくれた。「あら、すみませんね〜。こんなに遅くまでというか、早くまで、無理言って連れ回したんでしょ!?」と苦笑いしながら奥様が迎えてくれた。

 「そうそう、ずっと彼と呑んで、午前様。申し訳ない。・・・じゃ、おやすみ!」と一言の某役員。何の悪びれた様子もなく、堂々と自宅へ入って行った。・・・私は「にゃるほど!」と思いながら、奥様に挨拶をして隣の自宅ドアを開け、部屋に戻った。

 ・・・・・

 スーツのまま、リビングのソファーに寝てしまった筆者。爆睡していると、何やら眩しい光が差し込んでいる。「えっ?午前10時?・・・今日は木曜日で、休みじゃないし!」と、自分が寝坊してしまい、完全遅刻であることをやっと認識した寝起きの筆者だった。

 シャワーも浴びず、走りに走った。遅刻をしたことがなかった筆者だったので、「これは汚点だ!」。そう思いながら、オフィスに入った。・・・「お、ご苦労様。朝から用事を頼んで申し訳ない!早かったな!」と、某役員が大きな声で、皆に聞こえるように言ってくれた。・・・よって、遅刻とはならなかった。セーフ!

 なるほど、しっかりとしたフォローである。有り難いやら迷惑やらだが、こんな「昭和の豪傑」も上司として居たのだった。^^

 最近の話だが、2ヶ月ほど前に、元役員だった人とアーケード街ですれ違い、十数年振りに会ったのだった。「○○先輩。お元気そうで何よりです。まだ、夜のとばりへは???」と挨拶をすると、「いやあ、もうそぎゃん元気はなかよ!頑張っとるごたるね。しっかり仕事ばしなっせ!」とニコニコと笑いながら会釈をして去って行ったのだった。

 今でもダンディズムのオーラがある元役員。・・・85歳くらいだろうか・・・黒のパンツルックに、襟元がピッシッとしたシャツを着こなし歩く背中は・・・凄く素敵な老人であった。いや、青年であった。


▼某役員もよく足を運んだ「Bros.よしむら」
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  • posted by Chikao Nishida at 2014/8/23 03:32 am

実録・昭和の豪傑(1)

▼思いのままに出張をしまくった頃の筆者(本田技研工業本社・東京青山にて/1987年)
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 昨夜、何十年か振りに、筆者が新聞社時代に大変世話になった役員の長女さんと話ができた。多分、正確には24年振りだろうと記憶するが、以前はちょくちょく顔は合わせるものの、話す機会も少なく、昨夜初めて長時間に亘り情報交換が出来たのだった。

 それで、今回はその当時の役員について書き綴りたくなったので、タイトルを「昭和の豪傑!」とした次第。

 さて、時は昭和時代。その役員は当時の新聞社では「カミソリ」と言われるほど、仕事でも切れ者であり、筋を通さねばとことん切れまくるという、超瞬間湯沸かし器のような方だった。

 局長、局次長であろうが、部長、部次長など、その役員の逆鱗に触れるものなら、直立不動で叱られまくるという有様。例えば、当時の部長を呼びつけ、炎天下の中、「おい、熊本城天守閣まで往復で走ってこい!」と言い放つのである。・・・よって、小生が社会人となり現在に至まで、その切れ方を上回る人物を見たことは1人も居ない。

 それだけ仕事に真剣、熱心で、社会正義を重んじるが余り、部長、部次長らの中でも、上司らしからぬ者を見つけては、言葉でボコボコにするほど気合いが入っていた。ちなみに、当時、小生は企画事業部の係長で、まだまだ青二才であった。

 昨夜の会話の中でその話をすると、「いやいや、現在父は88歳ですが、88歳らしからず切れまくっています。」と・・・現役当時と全く変わることなく、頑固一徹の人物には変わりはないと聞き、正直安堵した。しかしながら、当時、問題児であった筆者であるが、そのカミソリ役員には、何故か一度も叱責されたことがなかった。

  ある日のこと、筆者のデスクの電話に、その役員から内線が入り、「おい、直に私のところに来てくれ。」と呼び出された。

 これは雷が落ちるのかなと思いつつ、役員室へと足を運んだ。ノックをすると、「お、来たね。入りなさい。」と口調は実に柔らかだ。・・・しかし、この妙な優しさに、何かあるなと思いつつ、応接ソファーに背筋を伸ばして静かに座った。

 「な、一つお願いがあるんだが、聞いてくれるか!?・・・実は、先日一緒に行った店の女性から誘われて、来週水曜日にゴルフに連れて行くことになったんだが、5人も来るというので、来週水曜日に君も休みを取ってくれんかい!?」と。

 当時の筆者は自らも認める問題児であり、また、上司である部長とは犬猿の仲。役員からの願いは分かるが、部長が簡単に休んで良いと言うはずがない。「いや、来週の水曜日はセミナーも入っており、私が担当していますので、休みはちょっと無理かと・・・。」

 役員の顔つきが、じわじわと険しくなって行くのが分かった。「ちょっと、待て。○○部長の内線番号は何番だったかな?・・・ああ、分かった。・・・もしもし、あ〜私だが、来週水曜日、西田君を休ませるので、ちゃんとセミナーやってくれ。わかったか!」と怒鳴った。そして、また電話を掛けた。「お、私だが、総務部長か!?来週水曜日、西田君を休ませるので、いいな!」と・・・。

 店の女性を5人もゴルフ場へ連れて行くとは・・・これは困ったものだと思いつつ・・・「申し訳ないのですが、私の車はツーシーターなので、人を乗せられないので、部下の○○君も休ませて頂ければ良いかと・・・。」と進言した。

 役員曰く、「お、分かった。ちょっと、待て。・・・おい、○○君も休ませるので、分かったか!」と、今度は総務部長を叱りつけるかの勢いで電話で指示をした。・・・筆者の額には少々冷や汗が垂れて来た。

 そして、本当に水曜日の午前8時、女性たちが居る店へ迎えに行くことになった。車が待ち合わせ場所に近付くと、そこには背の高い金髪女性(オーストラリア人)がずらりと並んで待っていた。それから、筆者と部下二人の車に分乗させて、その役員が待つ場所へと移動した。

 役員、筆者、部下、そして5人の金髪女性、計8人は、阿蘇方面にあるゴルフ場へと向かった。・・・さあさあ、アウトからスタートだ。・・・先日、筆者が通訳した中で、彼女たちは「ゴルフはできるから、大丈夫!」と確かに言っていたはずなのに、ハーフを廻る中で、空振りバリバリの下手糞ばかりだった。よって、役員へ「ハーフで止めませんか!?これじゃ、ゴルフにならないので・・・。」と言うと、役員はさっさと支払いを済ませ、当時、近場にあったスケート場へと車を移動した。

 筆者はスケート得意で何も問題は無かったが、皆、スケートは初めてだと言う。これまた、1時間ほど滑って終了。・・・更に、役員は「阿蘇山の草千里へ行って、昼飯を食べるぞ!」と言い出し、熱々のうどんを食べに行った。

 そんなこんなで、大変な珍道中となった訳だが、無事、午後5時には金髪女性たちを送り届けたのである。

 やっと自宅に辿り着いたのが午後5時半過ぎだった。すると自宅の電話が鳴り始めた。「もしもし、ああ、私だが、君は今夜何か予定があるのかい?・・・ない!(笑)・・・分かった。じゃ、あの店に今日も行こうか!」と・・・。トホホである。

 筆者は慌ててシャワーを浴び、スーツ姿に着替えて金髪女性たちが居る店へ、その役員に随行して行った。勿論、新婚ほやほやの後輩には、筆者の進言で自宅へ帰すことにしてあげた。

・・・・・

 それから数日経ったろうか、再び役員から内線が入った。「お、ちょっと来てくれ!」。・・・前日、犬猿の仲である部長と一悶着あったので、それに対する雷が筆者に落ちるのかと思いつつ、役員室に足を運んだ。

 「おい、余り部長と遣り合うなよ!あいつはつまらん男だから、相手にするな!・・・分かったか!」と、今回は少々口調が荒かった。そこで筆者はニコリと笑い、「あのお、先日の金髪女性たちとの珍道中の写真のネガ持ってますが、如何しますか!?」と唐突に聞いたのだった。

 「おいおい、俺を脅す材料を持ったらしいが・・・。俺は本当に何十年振りかに、どまぐれた(熊本弁:道を外す、放蕩の意)ばい!!楽しかった。そーにゃ、楽しかった。」と、ケタケタと笑っている役員が眼の前に居たのだった。

 今の時代ではあり得ないことだが、これが良き時代と言われる「昭和の豪傑」の生き様だろうと。・・・思い出しつつ、吹き出しながら記事を書いている筆者がここに居る。


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  • posted by Chikao Nishida at 2014/8/22 12:00 am

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