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仕事は大鷺の狩に学べ・・・

▼「水面(みなも)」書:西田親生

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 一昨日だったか、久しぶりに湧水池で知られる八景水谷公園へ足を運び入れた。炎天下、カメラマンは2人ほど三脚を立てて、カワセミを追っている。突然、背丈が1メートル近い大鷺が湧水池中央に降り立った。

 池底に大きな岩があるようで、何やら、岩近くにいる魚を「観察」している。間も無くして、「狩の舞」が始まった。水面近くを「旋回」し影を作り、水中の魚の様子を「上方」から伺っている。間、髪を容れず、狙い済まして一気にダイブ。

 一瞬にして、まるまる太ったオイカワをゲット。それから、嘴を器用に使い、オイカワの「角度」を変えながら、ぐい呑みしたのである。オイカワが喉を通過した頃、さっさと湧水池奥の木陰へ移動し、食後の休息タイムへと。

 瞬間的に感じたことは・・・カワセミを狙うカメラマンは数時間を掛けて偶然性を狙っており、大鷺は遊水池にいる魚を狩る必然性を狙っている点だ。入念な取材準備もいいが、数時間も湧水池周辺で待っているカメラマン。それに対して、十数秒で攻撃を仕掛ける大鷺。

 極論ではあるが、どうしても人間は受け身の姿勢で、大鷺はその目的達成に最短攻撃の姿勢で臨んでいるように思えてならなかった。経験と知恵で行動する人間と、生きるために本能で行動する大鷺の大きな違いでもあるが・・・。

 これを、企画や営業、そして制作などの人間の仕事と大鷺のルーチンワークとの比較をすることにしてみた。考えすぎて身動きが鈍くなりがちな人間。ターゲットを絞れば、秒殺で臨む野生の大鷺。真逆の展開のようで面白い。

 一つの仕事が上手く行かねば、下らぬ言い訳をもって、保身に回る人間。一つの狩が失敗すれば、即座に戦略を変えて臨む大鷺。浅はかな考えで営業を掛ける人間と、狙いを一つに集中し、即行動に出る大鷺の、仕事の捌き方が全く異なる。

 仕事内容の好き嫌いを潜在的に持ち、遣る気がなければ、無駄な時間と労力だけが掛かってしまう、仕事が捌けぬ人間。遣らねば食いっぱぐれ、死と隣り合わせで必死となる大鷺。時間の余裕などないはずだ。だから、目的達成までの時間は最短を選ぶ。

 主観が入り混じった受け身の姿勢の人間と、本能剥き出しで目的を果たすための攻撃的な姿勢の大鷺。対照的だが、後者の大鷺と似ている人間は、仕事がずば抜けて捌ける「できる仕事人」の動きとオーバーラップするのである。

 昔、ある老人が「あの人は念者だから!」と笑っていたことを思い出す。「念者」とは「念入りに事をおこなう人」を意味するけれども、時間も金銭も余裕があれば、それで宜しかろうと。しかし、その老人が言う「念者」は、捌けぬ部類の人間を指して揶揄した表現だった。所謂、「ぐず」と言いたかったに違いない。

 よって、仕事が捌ける人間は、何事にもスピーディーに取り組む。大鷺の様に大胆不敵である。グダグダと屁理屈を宣う暇などないはずだ。競合する企業との戦いにおいて、勝利を掴み取るには、敵を知る事。理路整然としたプレゼンができる事。更に、一気に攻め入る事である。

 眼前に繰り広げられた、それも短時間の大鷺の狩の姿を見て・・・

 (1)「観察(ミクロ・マクロの検証能力/レンズに例えれば超ワイドから超望遠で最短焦点距離が短いレンズを言う)」、(2)「ターゲットの絞り込み(正確な分析力による絞り込み)」、(3)「瞬殺力(相手の心を揺り動かす言霊とノウハウ)」、(4)「目的達成と切り替え(絶えず獲物を狙う執着心)」の流れを学ばせてもらったことになる。

 なるほど、社会的な保障もない自然界における、大鷺の逞しさを思い知らされた次第。


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文責:西田親生

           

  • posted by Chikao Nishida at 2021/6/13 12:00 am

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