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料理人の成功事例・・・お客のニーズを肌で感じ、全国行脚で産地直送食材探し!

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 昭和時代の地方におけるグルメブームは、「この料理食ったことあるか!?」と、自慢げにドヤ顔の料理人たちが、豪快に料理をサーブしていた時代である。

 戦後復興後のグルメブームとは異なり、ある程度西洋料理が国内津々浦々に浸透しつつあった1980年代のグルメブームは凄まじかった。

※西洋料理を全国に紹介し、浸透させて行ったのは、当時の帝国ホテル総料理長 村上信夫氏の尽力である。(NHK料理番組/DVDあり)

 1980年代の熊本市内でも、米国の肉市場調査を行い、全国の生産農家や北海道の漁村を訪ね歩き、産地直送システムを構築し、珍しい食材、例えば、タラバガニやハナサキガニ、ケガニなどを仕入れ、常連客に振る舞うレストランがあった。

 そのレストラン店主から「北海道産地直送で3kgのタラバガニが入るので、丸ごと遣りませんか!?」と電話があった。「じゃ、社員全員連れて行くので宜しく!」と一つ返事。

 当時、その大きなタラバガニを完食した社員たち。「こんなに鱈腹、タラバ食ったのは初めてです!」と大満足。テーブルの大皿の上には、タラバガニの剥製が綺麗に出来上がっていた。

 豪快な店主であり、彼が、アルバイト時代に「近い内に独立して店出すので、その時はよろしくお願いします!」と言ってからの付き合いだったので、いつでも、ツー・カーの仲である。また、食材情報は逸早く入手できるので、とても重宝した。

 彼の読みは素晴らしく、その時代のお客のニーズを肌で感じ、一目散に食材探しとそのメニュー開発に情熱を傾けた。「ステーキ専門店は庶民には高くて食えないから、安くて旨い肉料理を作る!」と常々言っていた。

 現在、その店は彼の急死により廃業となっているので、店名は伏せることにするが、当時、ランチタイムで連日行列ができる店を、1店舗、2店舗、3店舗と拡大して行ったのである。

 名物料理は、「ビーフ・ウィズ・ライス」。熊本人であれば、誰しも一度は食したことがあるのではないか。安くて旨い、醤油とバターと米が絶妙に一体化し、こんがり芳ばしく、食欲を唆るメニュー開発に成功したのである。

 それから、彼は東京進出を決める。大手企業と提携し、飛ぶ鳥を落とすが如く、飛躍を遂げた。ただ、輝かしい成功の裏に、人知れず、癌という病が彼の体を蝕んでいた。

 負けん気が強く、豪放磊落な人物だったが故に、癌治療に専念することもなく、最終的には癌に席を譲った。と言うか、自分の人生の目的を果たした充足感と自信が、癌をも受け入れようとしたのかも知れない。他界から数年後、壮絶な最期だったと奥様から聞かされた。

 彼の発想は、「どうしたらお客さんが喜ぶんだろう!?」を何度も呟いていた。これでもかこれでもかと試作を続け、自分が納得し、更に、お客にサーブした時のお客の反応を見て、グランドメニューとしていたようだ。

 兎に角、地味な風貌だが、豪快なことが好きだった。声も野太く、スタッフもピリピリするほど迫力があった。しかし、お客の喜びを見た瞬間の彼の満面の笑みは、比類なきものであり、「してやった感」が漂っていたのである。

 末筆ながら、彼の冥福を心よりお祈り申し上げたい。

▼熊本県装飾古墳館近くの白い紫陽花
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写真・文責:西田親生

               

  • posted by Chikao Nishida at 2022/7/7 12:00 am

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