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或るプロジェクトに一日中集中して、ルーチンワークを忘れる。

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 昨日は、一日中、日本全国白地図を見ながら、今回のプロジェクトに関係する人物がどの地域で、現在何をしているのかを、チェックしていた。目的は、新プロジェクトに対する協力者を選定することだが、久しぶりに顔を思い出すと、直接電話やメールをしたくもなる。

 ネットで調べると、十数年前に取材したフレンチ料理長が、今では、五つ星ホテルの総料理長に就任している。また、某ホテルレストラン料理長だった人物がネット上で探せなくなっている。とても寂しい気持ちになるが、「時」は容赦せず、人に老いを与えるのだろうと。

 京都の人気レストランは、四半世紀に亘って、毎年必ず挨拶状を送ってくれる。暫くして、東京に進出したオーナーシェフ。大成功したものの、還暦となり、潔く弟子にその店を譲り、再び、故郷の京都へ戻り、新たに素敵な食事処を開業している。

 昔の本店とは趣が異なるが、当時は、ディナーだけで、お客の予約は一巡のみとしており、リーズナブルだが最高の料理と器と空間を提供していたレストランである。その時も、予約を数ヶ月前に取ってもらった記憶がある。彼は、意表を突くような料理を創造する、アーティストであった。

 そんなこんなを思い出しつつ、日本全国白地図を見ていると、走馬灯のように、いろいろな料理をあちこちで取材したものだと、自分ながらに、当時のアグレッシブさに驚いてしまう。

 何せ、東京のザ・リッツ・カールトン東京の日本料理ひのきざかで初日のディナーを取材し、翌日は、ランチを東急赤坂の高級鉄板焼コース料理を取材し、その夕方には、浅草にあるステーキハウスとみいでフルコースを平らげたことがある。

 博多では、ランチをホテルオークラ福岡の広東料理 桃花林でコース料理を取材し、午後五時半過ぎにはホテル日航福岡のフレンチフルコースを取材。更に、午後8時過ぎには現在のHILTONシーホークにて、フレンチのフルコースを取材したこともある。

 勿論、当時の取材は、交通費、宿泊費、そして食事代すべて自腹で全国を走り回っていた。そう考えると、素晴らしい思い出ばかりだが、悪い思い出は、多分、都合よく無意識な中に記憶から消し去ったのだろうと。(苦笑)

 結局、本日は早朝から日本全国白地図を凝視していたために、脳裏にはしっかりと白地図が貼り付いてしまった。小学校の頃に日本の都道府県の位置や形を覚えたことを思い出すが、久しぶりに各都道府県を見ていると、正確な形は忘れてしまっているようだ。

 さて、新たなプロジェクト推進のための前準備は完了した。後は、キーボードで叩き込んだ内容を整理整頓し、小洒落なプレゼンテーション素材を完成させなければならない。実は、ほぼ完成しているのだが、微調整が入る可能性もあり、ギリギリまでその情報を待つことにする。

▼過去のキュイジーヌ取材写真
※撮影場所:ザ・リッツ・カールトン、ホテルオークラ、グランドハイアット、熊本ホテルキャッスル
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写真・文責:西田親生


                 

  • posted by Chikao Nishida at 2024/9/17 12:00 am

お客の立場に寄り添うクレーム処理とは!?

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 五つ星高級ホテルのクレーム処理は、唸るほど素晴らしかった。

 某月某日、或る五つ星ホテルのテナントである高級中華料理レストランで、コース料理に加えて乾燥鮑のステーキをオーダーした時のことである。

 フォークを刺して、ナイフを入れようとすると、ちょうど鮑の中心部で、ナイフの刃が硬いところに当たったような振動が右手指先に伝わってきた。

 断面を見ると、中心部が若干白っぽい。これは、乾燥鮑の戻し方にも問題があるが、味付けも煮込み方も十分ではなかった。

 最高の乾燥鮑であれば柔らかく、力を入れずにスルッと切れる。断面が美しい層になり、口に含み噛めば噛むほど鮑の濃厚な味が滲み出て、絡むソースが後追いしてくる。

 とうとう我慢できずに、料理長へその旨を告げて、コンプレを決めた。料理長は怪訝な表情に変わったが、25分後にもう一度作ってくると言って、厨房に戻って行った。

 その後、二度目の乾燥鮑のステーキがテーブルにサーブされた。残念ながら、最初のものとほぼ同じ物である。よって、鮑の中心部に違和感がある。勿体無い話だが、一口食べて後は残すことにした。

 乾燥鮑の違和感の詳細については、部屋に戻り、総支配人宛に手紙をしたため、翌日のチェックアウト時にフロントで渡すことにしたのである。

 出張から戻り、一週間もしない内にオフィスに届いた同ホテル総支配人からの書簡。美しい便箋には、以下のメッセージが書き添えられていた。

 「他の役員と共に、同レストランで乾燥鮑の試食を行いました。仰る通り本来の乾燥鮑ではありませんでした。早期改善を致しますので、次回、お越しになられた時に、是非、ご試食を願えればと存じます。」と。

 それから1ヶ月後に同ホテルの中華レストランへ行くと、写真下(イメージ)のように、完成度の高い乾燥鮑のステーキがサーブされたのである。ほっぺが落ちるとは、このことだ。筆舌に尽くし難いほど美味であった。

 加えて、部屋はスタンダードルームを予約していたにも関わらず、3ランク上のだだっ広く、マラソンができるほどゴージャスな部屋にランクアップされている。

 こちらの苦言を真摯に受け止めて頂くばかりか、早急に事実確認を行い、最高のものを提供するという姿勢には驚かされた。お客の立場に寄り添ったクレーム処理については、気の毒なほどに感謝するしかなかった。

 これが、超一流と言われる五つ星ホテルのクレーム処理の初動と流れである。よって、二度も三度も何度も足を運びたいホテルとして、また、最高に信頼度の高いホテルとして敬意を表する次第。

 当時の総支配人は定年退職されているが、その素晴らしい人格が滲み出るような書簡も大切に保管しており、お陰様で、筆者がセミナーで語る「ホテル文化と食文化」の原点なるものを学ばせて頂いたように思える。

 このような五つ星ホテルが熊本にあれば、この地の「ホテル文化と食文化」が飛躍的に向上するのではなかろうかと思うばかり。残念ながら、このように最高のクレーム処理ができるホテルは皆無である。

※コンプレはしたものの、ちゃんとお代は全額支払いをしている。
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  • posted by Chikao Nishida at 2023/8/6 12:00 am

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