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お客を見ている店と、見てない店の目線や考え方の違い。

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 お客のニーズをしっかりと把握し分析している店は、常に、お客を見ている店であり、どんなに待たされても食べに来る客が多い。それに対して、お客を見てない店は、一方的なメニューを強いることで、客足は遠のいてしまう。

 お客のニーズとは、料理の質、料理の味、料理の種類、料金、衛生面や接遇など、全てを含む。ニューノーマル時代に突入し、数年前の家族の祝い事や社員会などの宴会も激減している中で、飲食店がこれからどう舵を切るかで、勝ち組と負け組に分かれそうだ。

 バブリーな時代は、胡座をかいて待っていれば、角砂糖に群がる我々蟻軍団のように、客足は色んな食事処へ向いていた。ところが、今はどうか。胡座をかいて待っていても、客の足音が聞こえなくなりつつある。特に、名物料理がないところは、閑古鳥が鳴くばかり。

 これだけ円安が進み、食材の仕入れ値も高騰し、以前のように潤沢なる食材から厳選し、上質な料理がサーブできる時代ではなくなった。円安に便乗し、料金を吊り上げる食事処もあり、お客のニーズを毛頭考えていない。

 地域によっては食材も異なり、ランチやディナーの料金には格差があるのは理解できる。ただ、お客の嗜好や懐具合を十分に把握していなければ、客足は遠のくばかり。長年の間、お客の平均年齢が日を追うごとに高くなっているところは、数年後は危機的状況に陥る。

 或るところでは『◯◯フェア』的に新たなメニューを出しているものの、全く魅力がない。その程度のフェアならば、百貨店の全国駅弁大会で多種多様な安くて旨い弁当をゲットした方がよっぽど満足度は高い。

 お客を見ている店は、お客との距離感も素晴らしく、「また、来てしまったよ!」とスタッフとの会話も弾む。時には、お客が無理難題を言っても、その店は何とかニーズに合うように、努力を惜しまない。それも、にこやかに。

 ところが、お客を見てない店は、一見客も常連客もどうでもよく、「食べたいから、来たんだろう!」と横着に構えているところもある。

 京都にある某フレンチのレストランはランチはなく、ディナーのみの予約。常に1回転にて、それ以上の予約を受付ない。お客が二人連れ、三人連れの前には其々にシェフが立ち、対面にて対応する。会話の中で、お客の嗜好を見極めて、料理を振る舞っている。

 創業から30年以上が経つが、今も尚、定期的にご挨拶の葉書が送られてくる。これは愚痴になるが、熊本市内の某店なんぞ、頭が変わり、役員が変わった途端に、挨拶状もお歳暮も年賀も来なくなった。サービス業としては最低な対応で、歴史を無視している。だから、悪評ばかりが立つ訳だ。

 ずっとずっとお客を見てきた店は、天変地異も何のその。常連客は死ぬまで足繁く通い、一見客も噂を聞いて県内外から足を運ぶ。お客を見てない店は、コロコロと客の顔が変わるが、良い噂を聞くことなど皆無である。

 「食べたいから、来たんだろう!?」といった横着な店は、時代錯誤も甚だしく、これからの新たな時代には姿を消してしまう可能性も高い。何故ならば、時代は変わり、グルメ通のお客が断然多くなっている。

 『企業は人なり』と言うが、当然の如く、『飲食店も人なり』。依怙贔屓と言われようが、お客を見ている店を一所懸命に応援したくなってしまう。

 料理写真(上・下)は、『えのきぞの』の椀物と土鍋炊き立てご飯。祖父、父、息子の三代と、長きに亘り、お客を見てきた店として、時折、利用させて頂いている次第。

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写真・文責:西田親生

             

  • posted by Chikao Nishida at 2022/11/8 12:00 am

「社員を百人斬れば、黒字になる!」という怖い話。・・・使い捨てのような言葉に唖然。

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 或る人物から電話があった。経済界の重鎮である。長年、観光業に携わってきた人だが、ニューノーマル時代となり、ホテルや旅館、特に、大手ホテルの厳しさを語ってくれた。

 「いや、今のままだったら、昔ながらの大手ホテルは次から次へダメになりますよ。まあ、色々と銀行との交渉が鍵を握ってはいるものの、そこで、社員を百人斬ったら、そりゃ、黒字になる。でも、後が続かない。」と。

 開口一番に、『社員の百人斬り』という無慈悲な言葉が飛び出してきた。全国取材で利用させていただくホテルの社員数を振り返れば、二百五十人〜五百人程度が多かったように思えるが、そこで『社員の百人斬り』となれば、小さなシティホテルであればビジネスホテル化してしまう。

 数年前までの華々しいブライダルや大規模宴会などは鳴りを潜め、どこのシティーホテルを覗いても、閑古鳥が鳴いている。地球規模の伝染病によるものなので、仕方ないと言ってしまえばそれまでだが。

 しかし、安直に『社員の百人斬り』という言葉が出るところが、驚きでもあり、怖くなってしまう。勿論、過去において、大企業が工場閉鎖にて、数千人単位で職を失う人たちの姿を見たことはあるものの、不景気だからと言って、『社員の百人斬り』という考えは筆者の頭にはない。

 シティホテルでは、上層部は僅か数人の役員と十数人の管理職で構成されているが、その下に兵隊さんが二百人と仮定すると、その僅か数人の役員の机上のシミュレーションによって、無慈悲な『社員の百人斬り』が簡単に行われること自体、首を傾げてしまうのだ。

 以前、帝国ホテルのドキュメンタリータッチの報道があったけれども、社長自ら全社員へ『秘策』、『奇策』のアイデア募集を願い、社員から数千通のメールが届き、感無量となった社長の表情が今でも心に焼き付いている。

 そこで『社員の百人斬り』なんぞの低レベルな話ではなく、「なんとか打開策を皆で探し出し、全社員と共に、次のステップを踏み出そう!」と語る、人として素晴らしい英断をする同ホテル社長に惚れ惚れとした次第。

 流石に、1887年12月1日創業(135年の歴史)の帝国ホテルである。国内のホテルのホテルとして、食文化ばかりではく、ファッションやブライダル、そしてショッピングモール、ディナーショーなどのお手本となってきた『made in Japan』の同ホテル。筆者のホテルスタンダードのバイブル的存在となっている。

 そこで、カントリーサイドの人間が、『社員の百人斬り』を平気で口にするのだから、恥ずかしくて物が言えない。社員を虫ケラ同然に見下しているからこその発言かも知れないが、それは人として如何なものかと閉口するばかりであった。

 勿論、各地のシティホテルやリゾートホテルは大変な状況下にあることは理解できる。されど、外資系のホテルが次から次へと進出してくる中で、『made in Japan』をもっと大切にしたいという考えが、筆者の心にはある訳だ。

 カントリーサイドのホテル群では、地元の人間が大半を占め、支えているのだから、そこで『社員の百人斬り』はなかろうと。役員たちが給与を放棄してでも、ホテルを死守するくらいの意気込みは欲しいものだ。

 いやはや、『社員の百人斬り』という言葉は、とても信じ難くもあり、核爆弾実験のように、多くの人々を苦しめるように思えてならない。「隣のホテルが『社員の百人斬り』やってるから、こちらも遣ろうか!」程度の考えであれば、それはホテル経営者としては失格というレッテルを貼られてしまうに違いない。

 経営側の数字のシミュレーション(机上の空論)では、客足は遠のいてしまうばかり。常連客も一見客も姿を消してしまう。普通の規模のホテルであれば、『社員の百人斬り』を二度やれば、完全にビジネスホテルと化してしまう。今頃、部屋を毎日埋めても、全体総売上の何割を占めるのだろうか。焼け石に水のような物だ。

 それに比べ、前述の帝国ホテルの社長の英断は、全く次元の異なるところで思考を巡らしているところが、本当に素晴らしいし、その部下となる社員たちの信頼(絆)は、次の世代、更に次の世代へ受け継がれて行くはずだ。

 今から20年ほど前の話だが、帝国ホテル社長の故 吉村勲人氏(熊本市出身)を思い出したのである。社長就任の時に『ヒューマンウェア、ソフトウェア、ハードウェア』の三位一体論を語り、当時の帝国ホテルに勢いをつけた『策士』であった。

 諄いようだが、『社員の百人斬り』なんぞ、とんでもない話である。軽々に口に出してはならぬ、『禁句』でありはしないか。

▼東肥 赤酒(瑞鷹株式会社)
 故 吉村勲人氏の実家が瑞鷹株式会社(熊本市)
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写真・文責:西田親生

                     

  • posted by Chikao Nishida at 2022/10/30 12:00 am

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