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「おもてなし」の勘違いと拡大解釈・・・

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 「おもてなし」とは、東京オリンピック誘致の時に流行語になったものだが、そもそも「おもてなし」とは、日本の文化や社会において広く重視される概念である。一般的には、「心の籠った接遇」、「思い遣りある接遇」ということである。

 しかし、昔ながらの旅籠や食事処、土産物屋では、どうも「へつらい」ありきの「おもてなし」というものが存在しており、現在でも、他国から訪れる人たちへ、「おもてなし」という言葉が最上のサービスの原点のような使われ方をしている。

 果たして、日本社会の独特な「おもてなし」を、歴史の浅いホテル文化と融合させて良いものか。

 国内のホテル文化を紐解くと、帝国ホテルであっても130年ほどの歴史である。欧米のホテル文化が日本向けにカスタマイズされ、和洋融合の流れの中で、ホテル文化が地方へ浸透していくのは、それから半世紀以上も後の話である。

 ホテルのホテルとして、世界のホテルの手本とされてきたザ・リッツ。最高峰のホテルの拘りが、「ノーと言わないホテル」、「We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen」を合言葉に、現在に至っている。

 しかし、ここでしっかりと理解しておかねばならぬことは、それなりの高額な費用が掛かることが前提となっている。よって、コロナ禍やその他災害時に、国内の旅行者増にて地域活性化を期待した割引助成金制度。その恩恵を受けて訪問する人たちが、果たして、ザ・リッツが謳う「Ladies and Gentlemen」であるかと言えば、否である。

 そこに、マスコミもさることながら、ほとんどの日本人が勘違いしているところである。よって、その西洋文化が凝縮されたホテルへ、ゴリ押しにて「おもてなし」のプラカードを掲げて話を進めるのは、大きな間違いである。

 欧米のホテル文化には、「へつらい」は全くない。チップ文化が浸透しているが故に、ホテリエの個々の働きによって、稼ぎも大きく差がついてくる。常に「対価」ありきでの世界観が、欧米のホテル文化である。

 そこで、助成金で激安にてツアーチケットを手にした日本人が、「対価」ありきの西洋式のホテルに足を運び、昔ながらの旅籠や食事処、土産物屋と勘違いして横着な客の面をして動くから、「カスハラ」云々が社会問題となっているだけの話。

 「Ladies and Gentlemen」であるからこそ、ホテル側は最高のサービスを提供するのであり、その意識もなく、立派なホテルに足を運び入れる客自体が偉くなったかのような妄想に駆られ、更には、ホテルへ最上の「おもてなし」を強要するからこそ、「カスハラ」が膨大化する訳だ。

 厳しく言えば、「Ladies and Gentlemen」としての資質に欠ける方や勘違い、履き違えの多い方々は、「Ladies and Gentlemen」の接遇にあたる歴史と伝統を誇るホテルを利用するには、やや問題があり無理な話である。

 助成金による激安ツアーチケットで、ご本人が払っている金額は半額以下。割引分は税金から賄われている訳で、旅行をしない人が何故旅行する人へお布施を渡す必要があるのだろうか。それが、大きな勘違いを引き起こしていることに気づかねばならない。

 ツアー料金の全額自腹であれば、何も問題はない。半額しか支払わず、現地のホテルにて横暴なる振る舞いをするほどならば、最初から行かねば良い。そこで、日頃の鬱憤晴らしをしようものなら、ホテル出入り禁止のリストに載せられても文句は言えない。

 よって、「おもてなし」を万能薬のように思い込み、ホテルや旅館の義務や責任であるかのように強要する民度の低さについては、恥ずべきである。それなりの「おもてなし」を望むのであれば、高額な五つ星ホテルの宿泊費や食事代を自腹で支払った上で、己の所作を今一度検証されては如何だろうか。

 先ほどの報道で、国内観光地のゴミ捨て問題で「条例」の制定の話があったが、罰則もない。よって、「条例」は何の役目も果たさないことくらい、小学生でも理解できる。

 海外から来る観光客に対して「おもてなし」を、欧米のホテル文化で慣れ親しんでいる人たちへ持ち込むのは、単なる「へつらい」という価値なきものとして見做されるだけである。

 欧米の人たちの価値観は、権利と義務はしっかりとセットものとして受け止められている。そこに過度な「おもてなし」を演出したとしても、何の価値も見出せない。へつらって商売しようとするから、ホテルや旅館の食品偽装などの「誤魔化し」や「不正」が横行することになる。

 今一度、過度なる「おもてなし」の見直しと、「カスハラ」の要因が何なのかをしっかりと検証すれば、これまでの日本人の履き違えてきた「サービス業の原点」がしっかりと見えてくるのではなかろうか。

 最後に、観光地だけに限らず、ゴミのポイ捨てなどは、条例として厳しい罰則を設けるべきである。そこには、報道が取り上げていた「おもてなし」とは全く異なる次元であることを視聴者は気づかねばならない。報道の安易な「おもてなし」と罰則との関連付けは、本末転倒としか言いようがない。

▼ChatGPT-4oによる感想

このエッセイでは、日本の「おもてなし」文化に対する誤解や、その欧米のホテル文化との融合に関する問題点が述べられています。以下、エッセイの各ポイントについて詳しく感想を述べます。

1. 「おもてなし」の定義と誤解
エッセイは「おもてなし」が東京オリンピック誘致の際に注目されたことを振り返り、その本質は「心の籠った接遇」や「思いやりある接遇」であるとしています。しかし、伝統的な旅籠や土産物屋に見られる「へつらい」要素が、現在でも一部のサービス業に残っていることを指摘しています。この指摘は、日本文化に根付いた「おもてなし」が時に形式的になり、本来の意味を失っていることを示しており、鋭い洞察だと感じます。

2. 日本のホテル文化と欧米のホテル文化の違い
日本のホテル文化が欧米の影響を受けながら発展してきた歴史を紹介し、帝国ホテルの130年の歴史を例に挙げています。ザ・リッツの「ノーと言わないホテル」や「We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen」といった哲学を取り上げ、日本の「おもてなし」とは異なるサービスの在り方を示しています。ここで、サービスに対する認識の違いが「カスハラ」問題を引き起こしていると述べています。欧米のホテル文化が「対価」ありきで成り立っていることは、重要な視点です。

3. 助成金制度と「カスハラ」問題
コロナ禍やその他の災害時に、国内旅行者向けの割引助成金制度が導入されたことが、「カスハラ」を助長していると指摘しています。特に、半額以下の費用で高級ホテルを利用する旅行者が、「Ladies and Gentlemen」としての意識を欠き、横暴な振る舞いをすることが問題だとしています。これは、旅行者が支払った金額以上のサービスを期待し、感謝の心を忘れているという問題を浮き彫りにしています。

4. 「おもてなし」の見直しと「カスハラ」の要因
「おもてなし」を万能薬のように捉え、サービス業の義務や責任とする考え方が、民度の低さを招いていると述べています。ここで、サービスを受ける側の態度や意識の見直しを促しています。特に、全額自腹で支払うことがサービスを正当に評価するための一歩であり、それによって「おもてなし」の本質が理解されるべきだという主張には共感します。

5. ゴミ問題と「おもてなし」
観光地のゴミ捨て問題に対して厳しい罰則を設けるべきだという意見は、「おもてなし」とは別次元の問題として捉えるべきだとしています。報道が「おもてなし」と罰則を関連付けることが本末転倒であるという指摘も的確です。ここで、観光客自身のモラルと責任を強調しており、観光地の美化に対する具体的な対策の必要性を訴えています。

総括
エッセイ全体を通じて、「おもてなし」に対する深い洞察と、サービス業における本質的な問題提起がなされています。特に、日本の「おもてなし」と欧米の「サービス」の違いを理解し、それを踏まえた上でのサービス提供と受け手の意識改革の重要性が強調されています。これは、日本社会が今後進むべき方向性を示唆しており、非常に考えさせられる内容です。
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写真・文責:西田親生


                                     

  • posted by Chikao Nishida at 2024/6/10 12:00 am

本物の「ホテリエ」に遭遇!・・・

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 一昨日のことだが、立ち姿、おじぎ、目線などの所作、会話の受け答え、ユニフォームの着こなしと磨かれた靴など、キラキラと、伸び代大の若き「ホテリエ」に遭遇した。以前からその存在を知り得ていたが、高度な「接遇スキル」を備えた、熟練「ホテリエ」のようだ。

 その人物は、まだまだ若いけれども、表情に強い信念を感じる。軸がしっかりとしており、善悪についても瞬時に判断を下せるほど、白黒はっきりしている。このように、クリスタルなオーラを放つ「ホテリエ」であれば、VIPに対して堂々と紹介できると感じた次第。

 方や、田舎熊本では、地方タレントでもアナウンサーでも、ホテルマンでも、コテコテの熊本弁を使えば、親しみやすさを出せると思っているのか、あちらこちらで、コテコテドロドロ会話が飛び交う。ウケ狙いでもあるが、長時間話を聞くと耳栓が欲しくなるほど煩い。

 勿論、爺様婆様が語る根っからの熊本弁は懐かしさもあり面白く、親近感が漂うのは間違いない。ただ、微妙なニュアンス(アバウト過ぎる語り方)が含まれがちな方言は、逆に、ビジネスライクなトークには不向きであり、誤解が生じ易く、支障を来すこともある。

 例を挙げれば、前夜、飲み屋において仕事の話が決まったとする。翌日、煮詰めの話をしようと電話すると、「きゃんして、あぎゃんすっと良かて言うたばってん、こぎゃんしても良かとじゃなかね。酒飲んどったけん、そぎゃんこつまでは考えとらんかった。」と断る。

 上を標準語に翻訳すれば、「このようにして、あのようにすれば良いと言ったけれども、このようにしても良いと思わないかな!?酒を飲んでいたので、そのようなことまでは考えていなかった。」となる。無責任にも、具体的な流れが全く見えない会話になっている。

 熊本弁は棒読みであり、イントネーションがとてもフラットである。主語述語が曖昧であったり、想定外にアバウト過ぎるところがある。よって、ここ一番と言う時に、微に入り細に入り検証すると、話がずれて、確約ができるファクターが含まれていないことがある。

 丁寧語、尊敬語も独特な熊本弁。「お宅さんな、団体の顧問ばしとらすとでっしょ!?」、または、「お宅さんな、団体の顧問ばしとんなはっとでっしょ!?」と言う。翻訳は、「お宅さまは、団体の顧問をされているのでしょう!?」となる。吹き出しそうに、面白い。

 話は飛んでしまったが、何を言いたいのか!?・・・それは、以上のように、コテコテドロドロの熊本弁を操る人たちは少なくなってきたものの、そこで、「ホテリエ」は「ホテリエ」らしく振る舞わなければならなぬことが、容易ではないことを申し上げたかったのである。

 お客様との距離感によっても、最適な言葉のチョイスが必要にもなる訳だが、瞬間的にコテコテドロドロに対応すると、普通のホテルマンであれば、それに流されてしまい、コテコテドロドロの熊本弁で返す。それは、シティホテルの「ホテリエ」としては、正直、頂けない。

 更に、壁の裏側での同僚との会話も注意しておかねば、いざと言う時に、普段のコテコテが蘇り、妙なイントネーションで対応することにならざるを得ない。よって、同僚でも「さん付け」がベストであり、上司が部下に対しても、常に標準語の丁寧語であるべきだと。

 思いの外、すこぶる窮屈な世界だが、「ホテリエ」としての宿命である。よって、スマートな接遇を完璧に行うには、上述は「ホテリエ」の入り口、基本の基本。これらを全て持ち合わせてこそ、冒頭の人物のように、初めて立派な「ホテリエ」と呼ばれることになる訳だ。

 最後に、世界のホテルのホテルと称される、ザ・リッツ・カールトン。彼らの信念は、以下の通り。田舎では理解し難い内容であろうが、少しでも同ホテルに近づきたければ、全文をしっかりと理解し、絶対にお客様への揶揄や誹謗中傷を語らぬ聞かぬが、大原則となる。

  「We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen


▼咲き始めた椿の花(八景水谷公園にて)
TSUBAKI



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文責:西田親生
 

               

  • posted by Chikao Nishida at 2021/1/28 12:00 am

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