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モノトーンとタイムスリップ

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 最近凝っているのが「モノトーンの世界」。画素数をどんどんアップして新製品を売り込むメーカーとは逆行するものだが、近頃は、最新一眼レフに四十数年前の化石のような20mmレンズがお気に入りとなり、ひたすらシャッターを押している。

 従来は総天然色の世界を彷徨い、撮影された写真のドットが、如何に緻密なグラデーションで写っているのか、また、きちっとした輝度の差や、被写体と背景暈けの柔らかい表情、収差等々・・・あらゆるハイテクを駆使したデジタルカメラ側を最優先に考えていた筆者が居た。

 しかしながら、銘玉といわれるレンズが昔から沢山存在することに気付くと、製造中止となっているものを実際に手にして、当時の日本人が苦心して作り上げた銘玉がどのようなものなのか、その匠の技を体感したいという気持ちの方が断然大きくなってきたのは否めない。

 先般、入手したNIKKOR 20mmの超ワイドレンズ(カメラの坂梨)。モノトーンに最適という噂通り、覗き込めば、現在保有しているその他のレンズとは全く異なる時空間を感じるものである。シャープそうだが、フォーカスはやや緩く、ほわっとしている。勿論、許容範囲ではあるが、ぎちぎちとピクセルと詰め込んだ写真にはならないのである。

 コントラストも作為的にソフト制御をもって設定せず、ただひたすら、この銘玉と言われる光学機能だけに頼って撮影に臨んでいる。まあ、筆者の視力が良くない事も有り、20mmという超広角画像が広がるファインダーを覗くと、沢山の情報が詰め込まれてくる訳で、どのピンポイントでフォーカスを決めれば良いのかと迷ってしまう。

 写真上は、帰宅中のタクシーの車窓から切り取った一枚の写真。寒々とした外気が入り込みそうな冷たい雨が車窓を叩き付けてくる。硝子に付着した滴が、背景の街灯に照らされて惚けている。美しい暈けの玉とは言えないながらも、何となくタイムスリップするような感じを受けてしまった。

 また、写真下はいつもお邪魔している熊本ホテルキャッスルのレストランの一コマ。53年の歴史を持つ、熊本では名門ホテルであるが、数年前にリニューアルした同レストランの広々としたカットをこの20mm超ワイドレンズで切り取ると、昔のレストランのレイアウトがどのようになっていたのかと・・・頭の中はタイムスリップ。

 動画も大好きな筆者であるが、最近は「時間よとまれ!」と言いたいくらいの、時空間の切り取り作業に嵌まり込んでしまったらしい。・・・いやはや、写真の魅力って際限なく自分を後押しているようだ。

 蛇足だが、光進音歩の勢いで軽薄短小化を求める現代のカメラ業界。・・・筆者は、掌に鉛のようなどしっと重い塊の方が、その存在価値が有るようで仕方がない。・・・「あまり、軽くしないで!!!」・・・(苦笑)


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  • posted by Chikao Nishida at 2013/12/20 01:39 pm

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