
行政などでよく耳にする決まり文句の一つに、「前例がない」という断り文句がある。あたかも歴史や慣習を尊び、これまでの状態が寸分の狂いもなく正しいかのように言い放つその姿勢には、違和感しかない。
では問いたい。「その慣習や慣例は、いつから行われているのか? 時代の変遷とともに、何も変わらず今日まで続いているのか? 今の慣習や制度が始まったときには、なぜ『前例がない』と言って門前払いをしなかったのか?」と。
「前例がない」という言葉ほど、発展性を欠き、恥ずかしいものはない。今ある決まり事や慣習がすべて正しいわけではなく、法的に曖昧なまま現在に至っているものも少なくない。
横柄に「前例がない」と一蹴する人々に言いたい。未来を見据えて国民の幸福度を上げるために、「前例がない」という言葉で改善の余地を封じるのは愚かである。そこには進歩も発展もない。
生産性のある応答とは
本来ならば、「前例がない」と切り捨てるのではなく、「そのご意見について精査し、前向きに検討したい」と答える方が、はるかに生産的ではないか。あなたは神でもないのだから、「前例がない」という軽々しい発言は今後慎むべきである。
「前例がない」が生む停滞
「前例がない」と言ってしまえば、メタバースもアバターもビデオ会議も生まれなかっただろう。自分が理解できない分野のものを、根拠もなく否定するのは、既得権益に縛られた視野狭窄の表れにすぎない。融通の利かない石頭の思考回路では、社会の好循環など期待できない。
「前例」を創る勇気
最後に強調しておきたい。「前例」とは「ない」のではなく、「創る」ものである。未来を切り拓く意志こそが、新しい前例を築いていくのだ。

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◎西田親生@ICTdocotor「Note」プロフィール
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