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素直で温厚な性格であったはずの人間が・・・

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 この数年間を振り返ってみるだけでも、大上段にて「捨て台詞」を放ち、目の前を去っていった人物が何人かいた。

 一番強烈だったのは、ある料理人が放った「親兄弟でも金払わんなら、何も作らんですよ!」。何と高飛車に物申す人間かと驚くとともに、「守銭奴」のような思考回路にて、そこから発せられた高圧的な言葉は醜いだけで、二度とその人物の料理なんぞ食すものかと思うようになった。

 元々、そのような罵詈雑言を発するような人間ではなかったはずだが、何かの悪影響を受けて、若しくは、背後に女性の存在でもあったのだろうかと、勘繰らざるを得なかった。或る日のこと、内装リニューアルに統一美がないことを指摘すると、とんでもない言葉が返ってきた。

 「こぎゃん感じが、自分の部屋のごたるけん、安心すっとですよね。」と。多分に、見えざる誰かの趣味なのか知らないが、トイレの装飾、壁紙も何もかも、不揃いでセンスのない重ね着のようで、全くお洒落さが伝わらない。折角、良い腕を持ちながら、脳内にウジが湧いて来たのかと危惧した次第。

 その頃から言動がおかしくなり始めたのは、間違いないようだ。近しい人たちが優しく助言、修正してあげれば良いものを、周囲の人たちは、見て見ぬ振りにて、筋の通らぬ事へも知らぬ顔。段々と、その人物も店も、磐石と見えたはずが、人生の歯車がじわじわと狂って来つつある。

 以前、ある設備が機能していないので、しっかりと修理をするか、交換する必要があると指摘した時に、「他のお客さんで、そぎゃんこつば言う人は一人もおらんですよ!」と言い切った。数年後、同じ指摘をすると、「金が掛かるけん、できんとですよ!」と。返事内容が全く変わっている。

 本人の資質の問題だが、上述の通り、自分の意に反する指摘があると、根拠のない言い訳ですり抜け、また、数年後も同様に、脳内で考えずに、条件反射的に頭に浮かんだ言葉で反論するのだろうと。稚拙な思考回路であるが為に、数年前の記憶は殆ど本人の頭にない。

 人は、或る事が原因で、豹変することがある。素直で温厚な性格であったはずの人間が、このように変わり果てて行く。そして、どんなに救いの手を伸ばしても、全てを否定し、挙げ句の果てには、逆恨み的な目をして反撃に転じ、目の前を去って行くのである。実に、嘆かわしいことではなかろうか。

 既に、夢ある人生は終わったようだ。


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文責:西田親生

               

  • posted by Chikao Nishida at 2020/3/11 02:31 am
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