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新月と金星・・・

newmoon2023


 小学校5年生の頃に天体に目覚め、毎晩深夜まで天を仰いで、天体望遠鏡を覗き込み、惑星や星座、そして星雲などを観測していた。

 当時入手できたものは、150倍のアストロ天体望遠鏡。ファインダーに取り付けるサングラスやムーングラス、そして、プリズムまで揃えて、寒い冬空の満天の星を眺め、毛布を被りベランダに座り込んで、土星の輪っかをゆらゆらと見ていた。

 一眼レフカメラを持つ父へ、天体望遠鏡との接続を頼んだが、間、髪を容れず拒否された。理由は、父のカメラはドイツ製のLeicaであり、高額なので、「子供が扱うような物じゃない、壊れたら大変なことになる!」と言いたかったに違いない。

 よって、アストロ望遠鏡のファインダーを肉眼で覗き見るしかなく、それをカメラで捉える夢は一瞬にして消えてしまった。しかし、サングラスの向こうに見える太陽の黒点や、ムーングラスの向こうに見える月のクレーターに酔いしれた。

 或る天文雑誌を読んでいると、自宅に設置する簡易天文台と高倍率の反射望遠鏡が掲載されていた。このベランダに小さな天文台(直径3mほど)を作り、赤道儀が電動で動けば楽しかろうと、夢は膨らむばかり。ベッドに入ると、設置したミニ天文台と反射望遠鏡の立体映像が頭の中をぐるぐる回るのである。

 残念ながら、それは叶わぬ夢となり、現在に至っている。

 当時、自宅近くに天文台があった。大型屈折望遠鏡であり、それを覗くと、保有している小さな天体望遠鏡とは比較にならぬほど、土星の輪っかも、木星の大赤斑も見えるのである。

 太陽のプロミネンスを見た時は、腰を抜かしてしまった。球体であろう太陽の縁に炎が飛ぶというとんでもない現象である。それが、ファインダーを通して見えたのだから、さあ大変。

 「いつまでベランダで望遠鏡を覗いてるの?風邪引きますよ!」と、毎晩午後9時を過ぎる頃に、リビングから声が聞こえてくる。冬場の星はよく見えるので、寒さを堪えてファインダーを覗くが、夏場は蚊が飛び交うので、蚊取り線香を横に置いて、何の目的も意味もない天体観測を続けた。

 今思い起こすと、何をしたかったのか、よく分かららない。現実逃避で星を眺めたかったのか、手に取ることができない土星の輪っかや月のクレーターが何故存在するのかなど、不思議な世界に入りこでしまったのだろうと。

 「地球の赤道直径は?」と聞かれると、数十年前に天文雑誌を見て覚えた12,756kmとすぐ答えられるほど、記憶に深く刻まれている。もし、地球が真球であるのならば、周囲は2πRなので、3.14(π)×12,756(2R)=40,054kmとなり、約4万キロとなる。

 光の速さは1秒間に地球を7周半回ると言うから、計算すると秒速約30万kmとなる訳だ。よって、月までレーザー光を照射して何秒掛かるのか、太陽までどれだけ掛かるのかを一つ一つ調べて行くと、頭の中は宇宙物理学的数字で混乱して行くのである。

 更に、天文雑誌を読むと、この恒星までは○○○光年と書いてある。光がこんなに速いのに、その速さで何年も掛かるとは、子供だからこそ理解に苦しんだ。よって、現実世界における想像の限界を超えてしまった。

 実に下らぬ回想であるが、単純極まりない子供心は、今でも羨ましいほどに懐かしい。しかし、この子供心は死ぬまで捨てるものではないと思いつつ、密かに、幼少期に不完全燃焼であったことを少しでもスキッと、マグネシウムのように燃焼できればと考える今日この頃である。

 これが若さを維持する最良の方法だと自分に言い聞かせながら、勝手なことを書き綴ってしまった次第。今思えば、自宅を建てる時に、二階中央にミニ天文台を作るべきであったと後悔している。

 因みに、地球より光の速度で太陽まで8分19秒、月まで1.3秒。しかし、私たちが良く知っているオリオン座の馬頭星雲までの距離は、何と1,500光年。気が遠くなってしまう。これが、幼少期最大の衝撃でもあり、頭の中に混乱を齎した。

※この新月は、1.3秒前の新月の姿を見ていることになる。

▼2023年5月23日午後9時頃の新月と金星
(Nikon D500+Sigma 150-600mm手持ち撮影)
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写真・文責:西田親生


                 

  • posted by Chikao Nishida at 2023/5/24 12:00 am

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