
彼は、筆者が3D CG事業に着手した時に、全国区の番組タイトルやその他地方の系列局での番組タイトルのCG制作を依頼してくれたプロデューサーの一人であった。
その他、衛星放送番組タイトルCGなど、多くの実績を作ることができたのは、彼のお陰である。
筆者が新聞社時代に会った時に、「パソコンで面白いことしてるんでしょ?『私とニューメディア』という特番で、西田さんを取材したいのですが。その他、弁護士さんやお医者さんを予定しているので、受けてもらえませんか?」と。
当時、マンション暮らしだったので、若手ディレクター、カメラマンを引き連れ、彼が筆者の自宅マンションのドアから入ってきた。いつも通り、フランクで冗談ばかりを言う人物であり、いつの間にか意気投合してしまった。
無事取材が終わり、『私とニューメディア』で、当時筆者が使っていたパソコンとプログラムを紹介したものが放映された。
取材は午前中で終了したが、皆腹を空かすだろうと思い、寿司桶を頼んだ。まだ、28歳だった筆者の懐事情は良くはなかったが、思い切って、特上握り寿司と稲荷、巻き寿司などを詰め込んだ寿司桶を注文した。
皆若いので、バクバクと喉が詰まるような勢いで寿司に齧り付く。それからというもの、月に何度も会うようになり、夜のクラブ活動も一緒に行くようになった。
それから数年後、彼は東京本部へ転勤。それから、二度ほど会ったが、筆者が新聞社を経て起業した後も、色々と世話をしてくれた。何かあれば、「この番組タイトルCG作ってよ!あまり予算ないけど。(苦笑)」と。
最後に連絡があったのは数年前だったか、彼が久しぶりに熊本に立ち寄ったが、スケジュールが合わず、直接会うことはなかった。そこで電話があった。「親生ちゃん、チョコレートをホテルに預けたので、ごめんだけど、取りに来て!」と。
いつの間にか、筆者は彼の弟になっていたようだ。以前は「西田さん!」だったが、意気投合して付き合うようになり、「親生ちゃん!」である。
最近、Facebookのプロフィール写真を見て、何となく嫌な予感がしていた。実は、彼の実年齢よりも、かなり痩せて見えたのである。あの元気者が、こんなに痩せているのは、何か体に異変が生じているのではないかと危惧していた。
一昨日のこと、彼の長男さんからメールが届いたのである。Messengerによるものだったが、アカウントは彼のものだった。内容は、彼の突然の死であった。チョコレートを預けてくれた時に会っておけば良かったと。よって、彼の元気な顔を見ることなく、彼は旅立った。
長男さんのメールによると、「酒の飲み過ぎにて、体調を壊した。」という。昔から、スコッチやバーボンをオンザロックで何杯も飲み干していたので、その積み重ねが体を蝕んでいったのだろうと。
放送界の親しい人物の逝去は、今回の彼を含めて二人となる。
親しい友人の他界の知らせを聞くと、かなり凹んでしまう。思い出すのは、元気な頃の彼の笑顔である。酒を飲むと、やや流されるタイプであるが、気づけば朝が来るほどに酒を浴びていた。
大好きな酒を飲んで、若くして他界するのは勝手だが、筆者にとって大切な人物がこの世から去ったことになる。しかし、一昨日届いた長男さんの文章を読むと、流石に、彼の息子らしく、しっかりと事情を語ってくれている。余計に、涙が止まらない。
長男さんからのメールは以下の通り。確と記憶に刻んでおくために、敢えて、この場に掲載することに。
「長い間、お疲れ様でした。天国へ行っても、元気一杯悪さをせず、見守って頂きたい。」→天国に行ってしまった貴殿へ
▼長男さんからのメール
・・・略・・・
10年程前から心臓が悪く、薬を飲みながらの生活でしたが、お酒が好きだった事もあり心臓が悪くなり、最後は家族に手を握られて天国へ旅立ちました。
・・・略・・・
西田さんには熊本時代にお世話になり、とても楽しい友人だと父から聞いておりました。彼の熊本時代の経験はその後の仕事に大きく影響を与えたと思います。本当にありがとうございました。父に代わりお礼申し上げます。きっともっと西田さんとも連絡のやり取りを父はしたかったんだと思います。
ご連絡が遅れてしまった事、大変申し訳ありませんがご理解頂きたくお願いします。父の携帯は解約済みですが、WIFI環境で使用しています。
※以上のメール内容は、個人が特定されぬよう略しています。
▼ChatGPT-4oによる感想
このエッセイは、深い個人的なつながりとその終焉に焦点を当て、読者に強い感情的な反応を引き出します。筆者と友人の関係が、単なる仕事のつながりから、深い個人的な友情へと発展していく過程が細やかに描写されています。このような展開は、読者が自身の人生で経験した類似の関係を思い出させ、共感を促します。
特に印象的なのは、筆者が初めて友人と接触を持ったときのエピソードです。友人が筆者のマンションを訪れ、番組取材を行ったことから関係が始まります。この場面では、友人の人柄がフランクでユーモラスなことが強調されており、筆者との化学反応が自然と生まれる様子が生き生きと描かれています。
また、その友人が筆者に多大な仕事のチャンスを与えたことで、筆者のキャリアがどのように形作られたのかにも光が当てられています。筆者に3D CGの仕事を依頼し続けたことで、全国区の番組に関わる機会を提供したのです。これは単なる仕事の依頼以上のもので、筆者に対する信頼と支援の表れであり、その深い友情の証と言えるでしょう。
最後に、友人の逝去に至る経緯と、その後の家族からのメッセージは、このエッセイの中でも特に感動的な部分です。友人の生前の姿とは裏腹に、健康を害していた実情と、それによる突然の死が描かれています。家族からの感謝のメッセージが、筆者と故人との間にあった絆の強さを改めて浮かび上がらせ、読者にとっても感情移入しやすい内容となっています。
全体を通じて、このエッセイは失われた人々への追悼と、彼らが生きた証を称えるためのものです。それはまた、人生の無常を受け入れ、大切な人との思い出を胸に刻むことの大切さを読者に思い起こさせます。
----------
◎ロゼッタストーン公式サイト(since 1995/熊本県第一号WEBサイト)
https://www.dandl.co.jp/

写真・文責:西田親生
Comments