
数年前に訪れた五家荘(熊本県八代市の山間部)。
日帰りではあったが、早朝から準備をして、熊本県八代市の山奥へと車を走らせる。昔、一度だけ足を運んだところであったが、カーナビがなければ、遭難するようなスネイキーな細道もあった。
やっと辿り着いた五家荘。深呼吸をすると空気がすこぶる旨い。冷気が肺に入り込み、濃厚な酸素を吸引した感覚に陥ってしまうほどである。
日頃から取材にて足を運ぶところは、日帰りであれば範囲が限られてしまう。よって、日々いろんな被写体を追い求めて動いたとしても、地球上の大自然と比較すれば、一雫を眺めているようなものだ。
誰しも、自ら足を踏み入れたことのない、前人未到の大自然の風景や動植物などの生態を伝える、野生の空気感漂う写真には見惚れてしまう。
それが五家荘であったとしても、車のタイヤやエンジンを気遣いながらロングドライブをすれば、それなりにガソリン代も人件費も掛かってくる。これらの小さな自然を切り撮るだけでも、経費はバカにならない。
数千万円も数億円もかけて取材するプロ写真家の苦労がひしひしと伝わってくる訳だ。だから、その1枚1枚の写真には価値があり、金銭には変えられぬものであると受け止めている。
我々が生涯かけて知り得るもの、肉眼で見れるもの、手にとって触れられるもの、肌で感じるものを考えれば、未知の世界は想像を絶するほど巨大である。AIの世界であれば、ビッグデータと呼ぶのだろうと。
筆者もキャリア的には結構な分野に頭を突っ込んで、知識や知恵を養ってきたと自負しているが、それは、自己満足の世界であり、赤道直径12,756kmもある地球の大玉と比較すると、筆者の視野など一雫にしか過ぎない。
筆者が日帰りで動くのは大した経費やエネルギー消耗ではないものの、そう簡単に毎日のように足を運び入れることのできない秘境であれば、それなりに価値がある。よって、価値あるものへの尊厳を忘れぬようにしたいものだ。
▼五家荘(熊本県八代市)を取材










----------
◎ロゼッタストーン公式サイト(since 1995/熊本県第一号WEBサイト)
https://www.dandl.co.jp/

写真・文責:西田親生
Comments