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AI(アーティフィシャル・インテリジェンス)・・・

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 平成後半に世の中を席巻したのは、「AI」。つまり、アーティフィシャル・インテリジェンス(人工知能)である。

「AI」という言葉が誕生したのは、筆者の記憶に間違いなければ、半世紀以上も前の1956年頃に遡る。よって、筆者が若かりし頃、「AI」はとっくの昔から存在していることになる。1980年前後にマイコン(パソコンの前身)を手にして、BASIC言語で英語問題や数学問題をプログラムして、「AI」もどきの家庭教師支援教材を作ったことを思い出したのだった。

 勿論、現在に言う「AI」とは全く異なり、マイコンのボタン一つでディスプレイに設問が表示され、それを解き、回答を書き込み、リターンを押す。正解であれば、音楽とともに「正解!」という文字が出たり、別解が出たりして、学生の向学心を煽るような仕組みとしていた。

 英語は、先ず長文がディスプレイに表示され、単語の意味や、長文和訳などを実行させ、数学と同様に、正解、別の表現法、熟語や関連語などが現れ、学生の好奇心を惹きつける仕組みにしていた。

 しかし、上述のものは「AI」と言えず、人間の言語とコンピュータのマシンランゲージの狭間にプログラムを噛ませ、人とマシンとの会話を可能にしているだけで、インテラクティブではあるものの、マシンには「判断力」も「思考回路」も何も存在していない。所謂、鉄人28号を探偵である金田正太郎少年がリモコンを通して操作し、事件を解決して行くようなものだった。

 もともと、横山光輝の鉄人28号は、手塚治虫の鉄腕アトムを意識して創られたと聞いたことがあるが、特筆すべきは、1951年に鉄腕アトムが世に出て、「感情」、「知識」、「知恵」、「洞察力」、「判断力」など、人としての「全脳思考力」を植え付けられ、勧善懲悪の精神にて悪人どもを退治するというシナリオであった。学術的に「AI」という言葉がこの世に生まれる数年前のことであり、手塚治虫が創り出した「AI」搭載のアトムの存在は、余りにも衝撃的なものだった。

 令和元年となり、「AI」はますます加速度を増して進化するに違いない。しかしながら、現代のスマホ族は、何かあったらGoogle先生に依存し、また、「AI」スピーカーに「今何時?明日の天気は?電気消して!・・・」と、未完の「AI」に一所懸命に話しかけている。これは人間のライフスタイルとしては、十分に「思考回路」を使わず、直感的、且つ、無味乾燥な会話で完結している事に、首を傾げてしまう。

 未完(中途半端)だからこそ、危ない兆候に見えて仕方ない。何故なら、「AI」が如何に進化しようが、その核としての性格をどう設定するかにより、全く異なる資質を持った「AI」ロボットが出現する訳で、そこで中間思考を持たせるのか、白黒はっきりさせるのかで、回答や反応が随分変わってしまう。よって、その「AI」にはしっかりとした目的を持たせて業務を与えない限り、神聖なる人間領域へ土足にて「AI」を持ち込む必要はないと思われる。

 人間社会を良くするのか悪くするのかは、これから先の「AI」の進化次第と思われるが、決して、殺傷力を持つ戦闘用ロボットに埋め込むようなものであってはならない。地球も数十億年後には、その存在は無くなってしまう。何処かの企業が「デジタルデータは500年保存する!」と豪語しているものの、何年経っても、アナログ世界が人間の安息地であることには変わりなく、そこへ利便性ばかりを追求した「AI」を主人公にすべき問題ではない。

 何故なら、「AI」がどんなに進化しようとも、生身の人間のクローンを創れるはずもなく、沖縄の断崖絶壁である万座毛の岩場を創れるはずもない。雪解けの富士山頂付近を再現できるはずもない。仮に、「AI」が森羅万象をビジュアル化できるとしても、それは所詮VR(バーチャル・リアリティ)の世界となり、磯の香りや潮風を肌に感じ、カモメの鳴き声を自分の鼓膜が微妙に揺れるアナログ波形で聞けるはずもないのだから。

 業務における時間短縮、経費節減には、大いに「AI」を投入して貰いたい。しかし、4人に1人の高齢社会を迎えた日本国内において、万が一「AI」に縛られた世界が構築されるとなると、昔の映画である「ソイレントグリーン」にて描かれた、人の寿命管理(安楽死)と食糧管理(人体のビスケット化)へと・・・悍ましい世界の到来を予感せざるを得なくなってしまう。

◎ロゼッタストーン公式サイト(平成7年8月22日生まれ)
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文責:西田親生


               

  • posted by Chikao Nishida at 2019/5/2 03:50 am

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