ロゼッタストーン東京ARTブログ

明治神宮御苑

ここは、渋谷区にある広大な森...。 明治神宮御苑です。 

江戸時代に、加藤家、井伊家の下屋敷があった場所ですが、明治時代に宮内省の所轄となった美しい大樹の森です。

森の奥には湧水もあり、一歩中に入ると、ここが渋谷区であることを忘れてしまいます。 ある6月の雨上がりの午後に訪れた、森の風景です....。

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東門から、御苑に入ると、大きな南池が見えてきます。 ここにもたくさんの鯉や亀、水鳥などが住んでいます。  
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鬱蒼と生い茂る樹木。 実は、この大きな照葉樹の森には...、かわいいタヌキがいるんですよ。 お天気の良い日には、森からひょっこり現れるのだそうです。

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更に進んでゆくと、細長い菖蒲田が見えてきました。 6月は、花菖蒲の季節。 ブルーや、紫、白...。 池は美しい花の色であふれています。 

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花菖蒲には、いろんな名前がつけられています。 この紫色の花の名は、「五湖遊」(ごこあそび)。 この菖蒲田の花々は、明治時代に昭憲皇太后様の為に植えられ、職員の方々によって今日まで大切に守られてきました。

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午後の日差しに輝く池。 大きな白鷺が頭上を飛んでゆきました。 

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この季節の散策は、夕方の5時まで。(土・日は午後6時まで) 北門から御苑を出て、本殿でお参りをして帰りました。 神宮を出る頃には、森は薄暗くなり、 参道を灯りが照らしていました。


ここには掲載しませんでしたが、森の一番奥には、清正井(きよまさのいど)という泉があり、今も地中から驚くほど澄んだ水が湧いています。 花菖蒲を美しく咲かせているのは、この泉の水です。 まさに今、菖蒲が満開ですから、ぜひこの森を散策してみてくださいね。 


posted by ロゼッタストーン東京ART at 2013/6/18 10:25 pm   commentComment [1] 

小町紅

女性の表情を美しく引き立てる色。 深紅。 化粧法の変遷の中で、日本古来の「紅」は、一般にはもうほとんど使われなくなりました。

かつて、紅の生産をリードしてきた京都の紅屋も次々と廃業してしまい、現在、この貴重な紅を作り続けているのは、東京の伊勢半本店さんだけとなってしまいました。

文政8年に創業されて以来、今でもほとんどの行程を職人さんが手作業で行っておられます。

港区の南青山に、この貴重な紅を見ることができる、伊勢半本店さんの小さなミュージアムがあります...。

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手のひらにすっぽり収まる、小さな有田焼の手まり。 下の器の内側に、紅が刷かれています。 このように、紅は、光で退色しないように陶器や貝殻の内側に何度も塗り重ねて、乾燥させた状態で販売されていました。

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蓋を開けると、玉虫色の紅が現れます。 純度の高い細かい粒子となった紅は、赤い光を吸収してしまい、乾燥すると補色である緑色の輝きを放つのです。 この玉虫色に光る上質の紅は、「小町紅」と呼ばれています。 

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紅の原料となる、紅花。 ちょうど今の季節(6月から7月にかけて)に開花する花です。 実は紅花に含まれる色素の99%は、黄色。 紅の原料となる赤い色素はわずか1%しかありません。 この貴重な赤を抽出する技術は大変難しく、かつて紅は金と等価交換されたほど高価なものだったのです。 紅は、化粧品の他、着物や和菓子の染料としても活用されました。

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紅筆に水を含ませて、玉虫色の紅を端の方から溶いてゆくと、たちまち鮮やかな赤に変わります。 何度も塗り重ねて乾燥させると、唇の上で再び玉虫色に輝きます。 浮世絵に、緑色の唇の女性が描かれていることがありますが、実はこの小町紅を塗った女性たちの絵だったのです。 江戸時代に「笹色紅」と呼ばれる化粧法が一世を風靡したといいます。 


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この愛らしい手まりの小町紅は、美しい化粧箱に入って、赤い縮緬の巾着も付いています。 水溶性の優しい染料は、その人の唇の色になじんで発色します。



伊勢半本店・紅ミュージアムでは、実際に紅を体験できる和化粧の講座も開かれています。 また、現代の漆芸作家の方々との共同プロジェクトで、江戸時代の「板紅」(携帯用の紅入れ)を蘇らせる試みも企画されています。

江戸後期は、刀の鍔などを作っていた職人さんたちが、美術工芸の世界にも参入してきた為、化粧道具にも素晴らしい逸品が残されています。 貴重な紅の歴史に興味があったら、是非このミュージアムを訪れてみてくださいね。





 
★伊勢半本店・紅ミュージアム★  http://www.isehanhonten.co.jp/museum/Link


posted by ロゼッタストーン東京ART at 2013/6/14 12:32 am   commentComment [1] 

根津美術館

港区南青山の、深い谷。 周りを高い塀に囲まれたこの森は、根津美術館の庭園です。 

ここもかつては武家屋敷でした。 明治の後期に、美術館の創始者が荒れ果てていたこの谷を、自宅の庭園として現在の形に整備したのだそうです。

ここにはまだ数カ所の湧水が残されており、その豊かな水が、美しい森を育んでいるのです...。

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谷の底にある水辺。 ここへ来ると、渋谷という土地が、かつては谷であったということを思い出します。

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森の奥へ続く、庭石。 どこからか、水の流れる音が聞こえてきます。

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ここも、湧水のひとつです。 池へ続く小川に流れてゆきます。

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午後の光を浴びて、輝く森。 野鳥の声が聞こえます。

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イロハモミジの古木が、初夏の強い日差しから守ってくれます...。

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まるで、秋のような色合い...。 紅枝垂れ紅葉は、春から夏までは葡萄茶色。 秋には燃えるような深紅に染まります。

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森の奥に咲いていた、未央柳。 梅雨を彩る花です。 雄しべが繊細で綺麗ですね...。



どんな季節に訪れても、美しい表情を見せてくれる、都会の宝石のような森...。 青山へでかけたら、是非、散策してみてくださいね。




★根津美術館★ http://www.nezu-muse.or.jpLink   


posted by ロゼッタストーン東京ART at 2013/6/9 11:52 pm   commentComment [1] 

雨の日の過ごし方

梅雨になりましたね。 雨が長く続くと、ちょっと憂鬱な気持ちになることもありますね...。

でも、雨の中に咲いている草花は、とても生き生きと輝いています。梅雨は一年の中で一番、植物が美しい季節なのかもしれません。

今日は...、お家の中で、雨音を感じながら、お花屋さんで出会った、可愛いお花たちと対話してみました。

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「栄光」という意味を持つ、グロリオサ。 別名、Flame Lily - 炎の百合。和名では、狐百合と表現します。誘惑するような、赤い炎。

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松虫草の花。名前の由来には諸説ありますが、マツムシが啼く季節に咲く花であるため、初秋の季語として歌に詠まれてきた花です。 4月から、6月にかけて開花するものもあります。

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アリウム。 Allium というのは、ラテン語で「ニンニク」という意味なんです。 そう、これは、ネギ属のお花なんです。別名を、花葱といいます。 だって...、これはもう、葱坊主ですもの...。 今の季節に開花するお花です。

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この子はマリモ...、ではありません...。 手まり草という、ナデシコ科のお花です。 この個性的な緑のボンボンは、生け花やフラワーアレンジメントの世界でも人気があって、アーティスティックに表現されます。モコモコした緑色の草のようですが、これは立派なお花なんですよ。



雨で外に出かけるのが億劫な時は、お部屋の中で、美しいお花からエネルギーをもらうのもいいでしょう。お花は、いつも、たくさんのひらめきを与えてくれますね...。


posted by ロゼッタストーン東京ART at 2013/6/2 12:18 am   commentComment [1] 

弦楽器工房と路地の花

今日は、新しい弦を買いに、中央区の新富にある弦楽器工房を訪れました。普段、楽器の調整や弓の毛替えをお願いしている新宿の工房がお休みだったので、数年ぶりに、新富のお店に向かったのでした。

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有楽町線の新富町駅を降りて、八丁堀方面に向かう途中の路地に、「バイオリンアート」さんがあります。

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今日は、弦楽器職人のMさんが、工房を案内してくださいました。中に入ると、調整待ちや修理中の楽器がたくさんあります。

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まるで...、渦巻き畑のようですね。こんな光景は普段見ることは出来ません。古楽器には、このスクロールの部分に、人や動物の顔が彫刻されているものもありますね。

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ヴァイオリンの表板に空いている「f字孔」には、female(女性)の " f " なのでは...?という説もあるそうです。そう、なんとなく、弦楽器のフォルムは、女性の姿を連想させるのかもしれません...。

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新富の路地で、八重咲きの額紫陽花に出会いました。純白の花びらがとても美しいですね。紫陽花の八重咲きというのは、初めて見ました。
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なんと、同じ路地に咲いていたドクダミも、八重咲きでした。普段は雑草扱いにされるドクダミですが、私は子供の頃からこの小さな白い花が好きでした。葉っぱの深い緑色も...。



私にとって、写真も、音楽も、自分を成長させてくれる、とっても大切なもの。誰かの心に響く美しいものを創造できたら...、嬉しいですよね★


posted by ロゼッタストーン東京ART at 2013/5/28 01:36 am   commentComment [2]