2009/05/05
メンタルヘルス
STOP5月病
一口に5月病と言っても,人それぞれに背景や症状の現れ方が違っています(何と言っても俗称ですので)しかしカウンセリングでは病名診断をするわけではないので「5月病で」と言われればクライエントが5月病であると思っている事を前提に、どのような症状を辛く思っているのか、またはその症状そのものよりも、それによって他人からどう見られていると感じるのが辛いのかなどを聴いて行きます。
Aさんはとても勉強のできる,母親自慢(Aさんの表現によると)の子供でした。小学生の頃から学校ー塾ー家での予習復習の繰り返しで,休みの日も友人と外で遊ぶことはなかったそうです。
Aさんは大学でもレポート等を落とした事はなく,4月に名のある企業へ就職ができ,それがまた、母親の近所への大層な自慢の種になったそうです。
Aさんは、会社でも優秀であろうと努力されたそうです。
与えられた事をこなして正解を出すことにはとても自信がありました。
しかし、Aさんは将来の幹部候補として入社したため,研修の終わった4月中旬にあるプロジェクトの1員に名を連ねました。
もちろん,会社としてはいきなり重い責任を持たせたわけではなく,典型的なプロジェクトの末席に位置させて先輩たちの仕事の進め方を学ばせるのが目的でした。
ここでお互いの誤算が生じます。
会社としては,実際成果には期待しておらず、Aさんは人間関係を構築して誰にどう働きかければどのような事が出来るのか分かれば、それで十分だったのです。
Aさんは、今まで友人関係を構築する事がなかったので,周囲は全てライバルといった認識しか出来ません。
その部署は新人が困っていれば,誰でもそっと手を差し伸べるのですが,困っている事さえ悟られないように無口で淡々とされていては,面倒見のよい先輩たちもどうする事も出来ません。
もっと困った事に,新人に普通させるような雑用部分がそのプロジェクトには少なかったため、いつまでたっても指示が来ない,つまり何をやっていいか分からない状態になって来ました。
Aさんは「何かやる事はないですか」と気軽に声をかける事が出来ません。
Aさんのイメージしていた,右から左に仕事が流れ,優秀だと評価される自分が崩れてしまったのです。
そして、5月の連休に入ると,ぷっつりと糸が切れたかのように
何もする気も起きなくなってしまいました。
これは今は元気に働いていらっしゃるAさんの当時の状況です。
似たような感じで,ぷっつりとやる気が起きなくなってしまったという事例が何件かあります。
こういう5月病に対して,激励とか,単に休養や気晴らしをを勧めるとかいう紋切り型の対処法では効果が薄いと言う事は理解いただけるかと思います。
最終的には,Aさんは自分の思い込みを修正する事で乗り切って行く事が出来ました。
Aさんの思い込みを修正できるのは,学校の先生でも,友人でも,ましてやカウンセラーでもなく,Aさん自身であると言う原点を押さえておく必要があります。
■
登録2009/05/05 09:14:41 更新2009/05/05 09:14:41
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2009/05/03
メンタルヘルス
大切な人の相談を受ける時は
あなたが医師やカウンセラーや心理職についていなくても、誰かの相談に乗る場面はあるとおもいます。
相談する人が自分にとって大切な人である場合、それこそ他人事ではないので、思わずその相談事全てが自分の悩みのように感じられて,相手の感情に操られて一緒に悲しんだり怒ったりして,とても疲れてしまうと言う事が多いようです。
特に「これいい本だよ、読んでみたら」とか「これおいしいから食べてみて」という言葉に何の違和感も感じない人はそういう傾向が強いようです。
こういう、自分が良いと感じるものは相手にとっても良いものだと信じていて,相手が自分とは違う感じ方をするかもしれないということを全く感じていない状態をコンフルエンス(無境界)と呼んでいますが、そういう人が相談を受ける側になると「わかるわかる」とか「あなたの気持ちとってもよく分かる」などという言葉になって現れて来ます。
それは
「共感」ではなくて一方的な思い込みによる「同感」
なのですが、相手の世界に飲み込まれて同じ体験をしているように感じてしまうので疲れるのです。
「
あたかも自分自身の世界であるかのように
」感じ取るといういうことは自分自身の過去の体験と重ね合わせて、そこから相手の感情を推し量っているのであって,それは相手の今抱いている感情と同一のものではないと言う事を理解すると言う事でもあります。
「過去の体験から、あなたが今感じている感情はこのようなものだと推測する事が出来るけれど,それは私がそう思っている事なので,あなたの感情とかけ離れているかもしれない。だから、あなたの気持ちを理解するために何でも話して欲しいし,質問もしたい。途中で話を少しずつまとめて行くけれど,それがあなたの気持ちとずれていないかどうか確認して欲しい」というのがカウンセリング的な相談のエッセンスです。
■
登録2009/05/03 10:58:42 更新2009/05/03 11:00:42
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2009/05/02
メンタルヘルス
DVからの生還その2
DVによって生存の危機が訪れるのは被害者である事は論を待ちませんが、加害者もまた、危機に陥る事があります。
家庭内暴力が起きる家庭は必ずしも封建的なとか、性役割がガチガチな家庭で起こると言うわけではありません。
周囲からは仲の良い,穏やかな家族と思われている事もあります。
そう
酒さえ飲まなければ
いきなり理由もなくキレたりしなければ
その家族は幸福な生活を続けていたのです。
理由もなく,と書きましたが,それは第三者から見ての話で,
加害者は被害者に対してもっともらしい言いがかりをつけますし,
被害者はそれを鵜呑みにして苦しんでいます。
酒も,飲まなければならない理由をあげ連ねて正当化します。
そういう態度に,周囲は加害者を人格破壊者とか性格異常者と
レッテルを貼って、加害者と被害者を引き離す事で終了と考えてしまいがちです。
しかし、被害者はかつて愛した(状況によっては愛の残る)加害者を失った苦しみを何度も何度も乗り越えるための試練を課せらることがあります。
加害者は更に自分に貼られた,暴力夫・アル中・性格異常者などといったレッテルの他に,自分が愛した(歪んだ形ではあっても)対象と引き離された怒りと悲しみに向き合って行かなければならないのです。
そうして、自分自身と向き合った時,はじめてアルコールを断つための努力や健康的なストレス発散の方法を学んで行く事が出来ます。
しかし、自分に向き合う事が出来なければ,それは相手を恨み,つきまとい、復縁を迫ると言う方向に行動化されて来ます。
DVとの戦いは,お互いに距離をとってから、自分自身との本格的な戦いに入るケースが稀ではないと言う事が理解できるかと思います。
■
登録2009/05/02 11:19:41 更新2009/05/02 11:19:41
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プロフィール
産業カウンセラーは、心理学的手法を用いて、働く人たちが抱える問題を、自らの力で解決できるように援助することを主たる業務としています。
その仕事は、時代とともに変化してきました。創成期は高度成長時代の初期にあたり、地方から集団就職してくる若者の援助者として。高度成長時時代のピークには、OA革命に象徴される職場環境の激変の中における、メンタルヘルス対策の推進者として。そして現在は、リストラに苦しむ多くの人たちや、過度なストレスにより心身の不調をきたす人たちの良き理解者・援助者として活躍しています。
また、産業カウンセラーには、その学識、技能および素養によって段階があり、資格取得後も日々自己研鑽に励んでいます。
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一口に5月病と言っても,人それぞれに背景や症状の現れ方が違っています(何と言っても俗称ですので)しかしカウンセリングでは病名診断をするわけではないので「5月病で」と言われればクライエントが5月病であると思っている事を前提に、どのような症状を辛く思っているのか、またはその症状そのものよりも、それによって他人からどう見られていると感じるのが辛いのかなどを聴いて行きます。
Aさんはとても勉強のできる,母親自慢(Aさんの表現によると)の子供でした。小学生の頃から学校ー塾ー家での予習復習の繰り返しで,休みの日も友人と外で遊ぶことはなかったそうです。
Aさんは大学でもレポート等を落とした事はなく,4月に名のある企業へ就職ができ,それがまた、母親の近所への大層な自慢の種になったそうです。
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しかし、Aさんは将来の幹部候補として入社したため,研修の終わった4月中旬にあるプロジェクトの1員に名を連ねました。
もちろん,会社としてはいきなり重い責任を持たせたわけではなく,典型的なプロジェクトの末席に位置させて先輩たちの仕事の進め方を学ばせるのが目的でした。
ここでお互いの誤算が生じます。
会社としては,実際成果には期待しておらず、Aさんは人間関係を構築して誰にどう働きかければどのような事が出来るのか分かれば、それで十分だったのです。
Aさんは、今まで友人関係を構築する事がなかったので,周囲は全てライバルといった認識しか出来ません。
その部署は新人が困っていれば,誰でもそっと手を差し伸べるのですが,困っている事さえ悟られないように無口で淡々とされていては,面倒見のよい先輩たちもどうする事も出来ません。
もっと困った事に,新人に普通させるような雑用部分がそのプロジェクトには少なかったため、いつまでたっても指示が来ない,つまり何をやっていいか分からない状態になって来ました。
Aさんは「何かやる事はないですか」と気軽に声をかける事が出来ません。
Aさんのイメージしていた,右から左に仕事が流れ,優秀だと評価される自分が崩れてしまったのです。
そして、5月の連休に入ると,ぷっつりと糸が切れたかのように
何もする気も起きなくなってしまいました。
これは今は元気に働いていらっしゃるAさんの当時の状況です。
似たような感じで,ぷっつりとやる気が起きなくなってしまったという事例が何件かあります。
こういう5月病に対して,激励とか,単に休養や気晴らしをを勧めるとかいう紋切り型の対処法では効果が薄いと言う事は理解いただけるかと思います。
最終的には,Aさんは自分の思い込みを修正する事で乗り切って行く事が出来ました。
Aさんの思い込みを修正できるのは,学校の先生でも,友人でも,ましてやカウンセラーでもなく,Aさん自身であると言う原点を押さえておく必要があります。