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如水(グルメ開眼道)其の三・・・フレンチとの出逢い

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 以下は、筆者が2011年3月8日に発刊した小冊子「如水(グルメ開眼道)/非売品」から引用したものです。現在、退職された方や独立されたシェフもいらっしゃいますが、「グルメ開眼道」のタイトルの通り、当時のそれぞれの料理の深みや彩をお楽しみいただければと・・・。

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<本場パリのレストランにて>

 30年程前に初めて足を運んだフランスの首都パリ。魚介類専門のレストランがあると聞いて、ナポレオン墓地近くにある「ドゥ・ドゥ」でディナーをとることにした。

 パリ在住の方のご紹介の、こじんまりした老舗「ドゥ・ドゥ」。席に着くや否や、早速メニューが出された。すべてフランス語。英語は達者なつもりだが、フランス語はちょいと訳が分からないので、英語で書かれたメニューをお願いした。

 オーダーしたのは、白身魚すり身スープ、エイのムニエル、生牡蛎などなど。これが筆者の本場フレンチのスタートであろうか。随分前なので全ての料理を思い出せないが、生牡蛎がこれで一人前かと驚くほど、ネットからはみ出し気味に盛られている。当時、一人前8000円弱(当時1ドル230円の頃)、食後の腹はタヌキのように膨らみ、石畳のスロープを上るのに往生した。

 翌日は凱旋門近くにあるレストランで、ランチをとることになっている。突然、某大手旅行代理店添乗員が手が離せないと、筆者にマイクロバスで他の日本人客十数人を乗せ、凱旋門近くのレストランへ案内し、更にメニューを予算内でオーダーして貰えないかとの事。不意打ちを喰らって不機嫌になったが、最後の大きな三色アイスクリームを食して、ややご機嫌になった。

▼写真はイメージ:牡蠣

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<熊本で一際光るフレンチ>

 熊本県内でフレンチレストランで一際光り輝いているのは、熊本ホテルキャッスル11階にある「トゥール ド シャトー(天守閣の意味)/以前はロワール」である。そこで、松田祐一料理長が日々独創的な料理に挑戦しては、いつも旨いものをサーブしてくれている。

 彼との出逢いは随分前になるが、数年前にイタリア縦断旅行で、たまたま一緒になった。その時、フィレンツェ市街中心部からやや離れた所にあるシェラトンのレストランで、コース料理をご馳走することにしたが、日本人シェフが創る料理の方が、繊細且つ美味であると確信した次第。

▼写真はイメージ:熊本ホテルキャッスル 佐々前総料理長作
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<地中海料理との出逢いと別れ>
 
 また、知人の紹介で、熊本市内の小洒落たレストランを知ることになった。ヨーロッパ帰りのシェフで、タイニーなフレンチレストラン。当時熊本では珍しい地中海料理を提供する「ルシャキ・ペッシュ」(フランス語で釣りをする猫)という名のレストランだった。

 最後に足を運んだのは8年半前の2002年8月5日の夜。サーブされた料理はいつも素晴らしかったが、その時だけは、少々違和感を持ってしまったのである。味付けで、やや塩味が強い。また、厨房で何度か物を落とす音が聞こえて来たので、不吉な予感が脳裏を走った。

 どうも胸騒ぎがするので、一度帰宅した後に奥様に電話でその旨を伝えることにした。それから数日後、奥様より慌てた口調で電話が掛かってきた。何と、店主が脳梗塞で突然倒れ、急死したと言う。52歳という若さだったが、ショックを受けて、何一つ言葉が出なかった。

 あの時、現場で本人に違和感をはっきりと伝え、体調異変に気付かせ、翌日にでも病院に行くように言えば良かったと、悔やんでも悔やみきれない気持ちである。もし、彼が今も元気で頑張っているのであれば、もっと熊本市内のフレンチは面白かったに違いない。

 しかし、彼が創りだしたフレンチは、いつまでも筆者の心しっかりと刻まれている。優しい心の籠った地中海料理。彼を思い出す度に、口直しの、ヒンヤリと冷たい小さなグラスに入った黒砂糖シャーベットが目に浮かび上がってくるのである。

▼写真はイメージ:熊本ホテルキャッスル 佐々前総料理長作
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<帝国ホテル東京にて>

 フレンチの巨匠(神様)である村上信夫氏(元帝国ホテル総料理長)の書籍やDVDをご覧いただければ、和の世界に自然にフレンチが溶け込んで行ったプロセスを体感する事ができる。リッツに学び、日本国中にフレンチが、それも家庭の台所まで洋食が浸透して行ったという「グルメ・ルネッサンス」は、実に痛烈で素敵な現象であった。

 筆者は東京へ足を運ぶ時は、必ず日本のフレンチの大御所でもある帝国ホテル東京にお世話になる事にしている。特に、地階のラ・ブラスリーではエリザベス女王二世が食されたエビ(2匹)料理やご自慢のローストビーフなど、実にリーズナブルに食すことができ、また、同ホテルで考案された元祖バイキング料理が気軽に楽しめる「ブフェレストラン インペリアルバイキング サール」がある。

▼写真はイメージ:帝国ホテル東京のローストビーフ
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▼写真はイメージ:ホテルオークラ福岡のフォアグラ 野原敦料理長作
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▼写真はイメージ:ホテルオークラ福岡のデザート 野原敦料理長作
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写真・文責:西田親生

         

  • posted by Chikao Nishida at 2022/6/8 12:00 am

如水(グルメ開眼道)其の二・・・広東料理との出逢い

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 以下は、筆者が2011年3月8日に発刊した小冊子「如水(グルメ開眼道)/非売品」から引用したものです。現在、退職された方や独立されたシェフもいらっしゃいますが、「グルメ開眼道」のタイトルの通り、当時のそれぞれの料理の深みや彩をお楽しみいただければと・・・。

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 2009年4月18日は、筆者にとって衝撃的な事があった。それは、ホテルオークラ福岡「広東料理 桃花林」の樋場正人料理長との出逢い。

 たまたまグランドハイアット福岡のチャイナを取材に行き、何となく思い出したのが、ホテルオークラ福岡「鉄板焼 さざんか」だった。当時、キラリと光輝いていたヘッドウェイターの麻生亮という人物の笑顔を思い出してしまったのである。よって、同氏に携帯電話で連絡をとり、突然だったが同ホテルの広東料理を取材させてもらうことにした。

 ホテルオークラ福岡の玄関に足を踏み入れると、麻生亮氏が筆者を玄関まで迎えに来てくれた。早速、同ホテル地階にある「広東料理 桃花林」の個室にて取材準備を始めたのだが、実は、数年前に足を運んだ当時料理は、筆者にとって余り印象深くはなかったので、正直なところ少々不安が頭を過った。

 同レストランの個室で機材を運び終わる頃に、ノックの音が聞こえ、スライドドアが開き、目の前にシェフコートを着た男性が一人、緊張した面持ちで挨拶に現れた。突然の取材依頼だったので無理もないが、その人物がホテルオークラ東京から送り込まれた、切り札の樋場正人料理長であった。

 四川料理に関しては、右に出る者は許さぬほどの食歴ある筆者だが、その個室にてサーブされてくる料理の数々は、盛り付けや彩り、そして味わいと、これは見過ごす訳には行かない逸品揃い。初手から、強烈なインパクトを感じたのである。

 特に印象深いのは、衣笠茸などを食材とした薬膳壷蒸しスープ。その時は突然のオファーによる取材だった為に、流石に同料理長には準備する時間は無かったのではないか。大変申し訳なく思う反面、魅せられてしまった筆者は、その後、9ヶ月連続で計11回(88品)を取材したのである、

 笑いの絶えない取材時間。こんなに旨い料理を、こんなに楽しく取材ができるとは・・・。

 同年5月8日に再び同レストランへ足を運んだ。この時は、互いに充分に擦り合わせを行い、樋場スペシャルを堂々と披露してくれた。「ヨシキリザメ極上フカヒレとウバザメ胸肉コラーゲンスープ」。これは、すこぶるクオリティの高い料理で、筆舌に尽くしがたい逸品であった。

 同料理長との出逢いで、広東料理をもっと探究しようという気持ちが高まり、同年5月17日に三度目の取材をすることにした。前菜の彩りは抜群に切れ味が良く、壷蒸しスープは更に磨きがかかっているではないか。ガラカブのあんかけ、蟹を添えたパーコー麺のフェイントありで、樋場パワーにどんどん引き込まれていく。

 このように5月からの取材は加速度を増し、性懲りも無く5月26日にも取材を敢行する筆者。何かに取り憑かれた様に、一眼レフカメラのシャッターをパシャパシャと切りまくって行った。この日は、干し物の乾燥アワビ、ウバザメ胸肉コラーゲン、衣笠茸、干しナマコ、貝柱、クコの実などの撮影を終え、乾燥状態の食材の色味や香りを嗅ぎながら深掘りを開始。

 梅雨真っ只中の6月になっても、筆者の博多入りがまだまだ続く。何とか同料理長をギブアップさせたいと、執拗に取材を敢行する筆者。どの程度引き出しを持っているのかのチェックである。段々と、同料理長と筆者との闘いが激しくなるにつれ、次第に二人に信頼関係、友情が芽生えて行ったのである。

 結局、6月は16日と26日の2回取材した事になる。このように、2009年は本格的な広東料理の取材及び探究の為にフットワーク良く動き、僅か4月から12月の9ヶ月間で、11回博多入を果たし、短期間に、同料理長の引き出しから88品を引っ張り出したことになるが、全ての写真が今では大切な宝物になった。


▼ホテルオークラ福岡 広東料理 桃花林(樋場正人料理長)
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▼金目鯛の料理
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▼ヨシキリザメのフカヒレとウバザメの胸肉コラーゲン
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写真・文責:西田親生

           

  • posted by Chikao Nishida at 2022/6/7 12:00 am

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