
毎年、大晦日となると、熊本ホテルキャッスルの四川料理 桃花源の特製「おせち」とお会いできる。
値段は、熊本県内のホテルメイドの「おせち」では最高だが、この四川料理 桃花源の特製「おせち」は限定もので、同ホテルのスタンダード「おせち」より上のランクとなる。
大晦日の昼過ぎに、オフィスのインターフォンが鳴った。覗き込むと、同ホテルスタッフが車で配達してきたようだ。同社の階段は公道から28段。初めて来たスタッフには、三段重の大きな「おせち」の箱を運ぶには、些か過酷な階段である。
よって、そのスタッフに上から声を掛け、筆者が直接階段を降りて、その特製「おせち」を受け取ったのだった。早速、部屋に持ち込み、段ボール箱から三段重を取り出し、紅白の紐を解き、一つ一つチェックした。
幼い頃は、年末ともなると母と祖母が「おせち」の準備でてんやわんや。時折、買い物を言いつけられて、いやいやながら寄り道をしつつ、あちこちのお店へ足を運び買い出しに行ったこともあった。
家庭で作る「おせち」は、このような極上のものではないが、同じ熊本県なのでお屠蘇が赤酒(瑞鷹)であることは共通している。昔の話だから時効ではあるものの、子供でも正月となると一番小さな盃に赤酒を注いでもらい、しばし目のあたりが真っ赤になっていたことを思い出す。
ちなみに、年末に同ホテルの四川料理 桃花源の特製「おせち」が届くようになって、何十年かが経つ。その準備たるや、ホテルの全スタッフは徹夜作業ではなかろうか。何千台もの「おせち」を一気に作り込み、それを大晦日に手分けして配達するのだから、その凄まじさが伝わってくる。
静かに新年を迎え、陽が昇り、この三段重を開くと、「ああ、年が明けた!」と独り言を呟いてしまう。この上なき幸せな瞬間でもあり、しみじみと一つ一つの料理に見入ってしまうのである。食べ尽くすには3日が勝負だろうと思い、実は大晦日に少しつまみ食いをしてしまった。両親がこの世にいれば、尻を叩かれ、押入れ行きかもしれないと……。
余談だが、1月1日は父の、そして1月2日は母の誕生日であった。


◎ロゼッタストーン公式サイト(since 1995)
http://www.dandl.co.jp/

Comments