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「スタンダード」という言葉は日常的によく耳にする。例えば、グローバル・スタンダードに対するローカル・スタンダード、あるいは老舗企業が長年にわたり築き上げてきたスタンダードなどである。和訳すれば「標準」「尺度」「基準」となる。
前者のローカル・スタンダードは、地方における視野の狭さや民度の低さ、悪しき慣習によって、世界文化水準や先進国の衛生基準を無視する実態を揶揄する際に用いられることが多い。
一方、後者のスタンダードは、歴史と伝統を誇る企業が積み重ねてきた中で培われ、企業のカラーやイメージを形成する大きな要因となる。しかし時には、企業内部にこびりつく「汚い垢」と化す可能性もある。
本稿では、この後者のスタンダードに焦点を当てて検証する。
スタンダードが崩れる時
優良企業や地場の名だたる企業には、それぞれの品格やスキルを象徴するスタンダードが存在する。しかし、どれほど伝統を誇っていても、そのスタンダードがある日突然崩れ去ることは珍しくない。
後継者に十分に継承されず、最悪の場合、唯我独尊的な人物が代表に就任した瞬間、それまでの崇高かつ揺るぎないスタンダードは一気に崩壊し、日替わりランチのように方針が揺らぎ始める。
キュイジーヌの世界における継承
特に料理の世界では顕著である。ベテラン料理人が退く際、後輩がどこまで学び、どのようにバトンタッチするかでスタンダードの進化が左右される。継承が不十分であれば、せっかく築かれた伝統が一瞬にして瓦解する。
グランドメニューのスタンダードが揺らげば、店の信頼は地に落ちる。ある外国人はこう語った。
「美味しいから足を運ぶのに、急に味が落ちれば行かなくなる。料理人が料理を愛し、客の笑顔を思い浮かべながら作るからこそ、料理は安定して美味しいのです。」
逆に「料理が嫌いで、イヤイヤ作っている料理が美味しいはずがない」とも指摘する。さらに、「以前食べたものと味が違うと伝えると、ただ嫌われるだけ。料理人に嫌われた客には、二度と美味しい料理は出てこない」と付け加えた。
コミュニケーション不足が生むブレ
ホテルレストランの場合、料理のブレは必ずしも料理人だけの責任ではない。厨房とホールのコミュニケーション不足が原因となることも多い。これは、職場内のコンセンサスの欠如によるものであり、非常に厄介な問題である。
優れたシェフは客の食事中の様子を細かく観察し、表情を凝視する。常連客であれば好みを把握し、食材の選定からソース、メイン、デザートまで、個別の台本を持っている。だからこそ、その店にはブレがなく、新規客が集まり続け、長年にわたり人気を維持できるのだ。
スタンダードを守る責任
高レベルのスタンダードほど、絶対にブレてはならない。伝統を伝承できなければ、その店や企業は終焉を覚悟せざるを得ない。スタンダードのブレは信頼失墜に直結するからである。
万が一ブレが生じた場合は、外部からの苦言や提言に真摯に耳を傾け、早急に問題を解決することが賢明だ。それを怠れば、スタンダードの崩壊と回復を繰り返す「負のスパイラル」に陥り、進化どころか、一瞬にして燃え尽きてしまうだろう。



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