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地に沈んだ「向こう三軒両隣」。

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 良き時代と言われた昭和は、「向こう三軒両隣」が日頃の感覚であった。その昭和に生まれた筆者としては、現在、都市部に住んでいるとしても、近所のご老人や子供達を気遣う気持ちはないと言っては、嘘になる。

 或る時、近所のご老人(高齢女性)と立ち話をすることがあった。ご老人曰く、「最近、高齢となって、腰や足の痛みもあり、ちょっと野菜を買いに行くにも大変なんです。主人も免許証を戻そうかとも言ってますし。また、近場の共同畑で、茄子やニガウリ、キュウリなどは作ってはいるけど、段々と辛くなって・・・。」と、筆者に愚痴を交えての弱音を吐いていた。

 筆者は取材方々、地方の物産館などに立ち寄ることもあるので、「では、名刺の裏に大きく私の携帯電話を書いておくので、何か必要なものがあったら、遠慮なく連絡してください!」と言って、名刺をご主人の分を含め2枚手渡したのであった。

 それから数日後、たまたまお縁近くにそのご老人が居たので、「明日、物産館に行くので、カボチャとか人参とか買ってきましょうか!?」と言うと、豹変したように、怪訝そうな顔で「いえいえ、結構です。」と、数日前とは全く別人のように断りの言葉だけが飛んできたので、少々考え込んでしまった。要らぬ世話だったのかと・・・。

 実は、日頃のそのご老人の挙動を見ていると、すこぶる特徴的なものがある。筆者が取材から戻り、車を駐車場へ入れようとすると、必ず、お縁のカーテンが揺れ動き、チラチラとこちらを見ている。時には、わざわざ玄関から出てきて、咳払いやご主人との会話で大声を上げて、その周りをウロウロしている。認知は入っていないが、どうも気になるらしい。

 これは何度も迷惑を被った話だが、常々、そのご老人の息子たちの公道における無断駐車で、何度か苦言を呈したことがあった。それが、ご老人や息子たちの記憶に、筆者が「悪玉菌」として刻み込まれているのだろうと。しかし、原因は、向かいの筆者の駐車場の真ん前に、駐車するという違法行為をしているのだから、逆恨みがその家庭内の認識となれば、「向こう三軒両隣」どころの話ではない。

 だったら、愚痴を交え、困り果てたようは言葉をこちらへ発するものではなさそうな・・・。このように、些細なことではあるものの、良き時代の「向こう三軒両隣」の心は、根こそぎ地の底に沈められているらしい。特にそのご老人の家庭では、顕著なようだ。

 素直になれないご老人は、決して幸福な道を歩んでいない。心温まる人生を一日一日歩んでいるご老人ならば、もっと日頃から笑顔が多いはずであると、妙な歪みを感じながら、「信頼」という言葉さえ無くしてしまったご老人の行く末を案じるばかりとなった。

 つい最近、スーパーボランティアのご老人が報道を賑わせているけれども、神様仏様のような人物は、すこぶる稀有な時代となっている。対価を求めないのがボランティアの真の姿。そのご老人の執念が幼い子供の命を救ったというニュースを拝見する度に、本来の日本人精神文化について、強いメッセージを受けたのだった。・・・言葉は悪いが、目の前のご老人とは雲泥の差であると・・・。

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  • posted by Chikao Nishida at 2018/8/20 12:00 am

強者は弱者、弱者こそ強者なり。

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 常に一匹狼の強者スタイル。不慮の事故が起きようが、崖っぷちに立たされようが、メンタル面で弱音を吐かない。足の親指の爪が剥げようが、指先に竹が刺さろうが、痛さを我慢してでも消毒、テーピングして自分で治す。しかし、どう見ても、体裁や見栄のところが潜在的にあり、痩せ我慢なところは否定できない。

 一方、一般的に弱者と思われがちな人は、不慮の事故に遭遇すると非常に凹む。辛そうな表情や息絶え絶えの口調に、周囲の人たちは同情して守りに入る。カッターで数ミリ切っても、喉が少々イガイガの程度でも即病院へ走る。それは、時には過敏すぎて医療費の無駄遣いともなるが、平穏無事な生活を守るための防御姿勢であるに違いない。

 荒波の人生で生きて行く上で、どちらが楽で合理的か否かの比較はできないが、強者と弱者の中間的なスタンダードな人間も存在する訳だ。なかなか、人間という動物は良くできている。

 しかし、その他にも、或る時は強者であったり、また或る時は弱者であったり、またまた或る時は仙人のように周囲に無関心であったりする人もいる。演技性に長けている、演出過多の人間であるが、これは論外とする。何故なら、このような人間は詐欺師ようのな人物が多く、語るに値しない。

 本日は、弱者と強者のみを取り上げ、検証して行きたいのだが、なかなか教科書的な正解を導き出すには、筆者にとっては難問すぎる。しかし、もっと突き詰めたという気持ちの方が強いので、続けることにする。

 自己分析を行えば、どちらかと言うと、筆者は前者の強者の部類に属するのだろうと。よって、周囲に弱音を吐くことを、知らぬ内に拒絶している。関節や筋に強い痛みを感じても、何日掛けても、自己治癒力を信じ、何とか治す。信義則を尊び仕事をしている中で、それに対して懐疑的に扱われても、直球のみを投げて突進する。

 強者としての性格を与えられたのは、多分に、幼少時に独りぼっちが多く、父の転勤ばかりの職業や家族バラバラの環境下で育った事に起因すると考えている。転勤により、必然的に子供は他県の学校へ転校せざるを得なくなり、常にニューフェイスの挨拶で新学期を迎えることになる。

 新しい友人との出会いも楽しくはあったが、常に孤独感に浸っていたというのが本音である。幼少期から小中高と同じ地域で育つのであれば、雑念無くして楽しかっただろうと、現在でも転勤族であった我が家を好ましいとは思わない。常に父の都合だけが前に突き出され、筆者の希望なんぞ通る可能性は無かった。

 自分自身が弱者になれるのなら、どれだけ楽だろうと、つまらぬ思考を巡らしたこともある。ちょっとした痛みでも、大声でバタバタと暴れ、叫びながら病院へと連れて行ってもらいたいと思った時期もあった。しかし、常に唇を噛み締め、痛みを堪え、親にも兄弟にも友人にも黙って過ごすパターンであった。

 これは偏った持論であると自覚はしているが、2年から3年越しの転校をせざるを得ない人間にとって、強者か弱者かの選択肢を与えられれば、どうしても強者しか選べないのだ。もし、弱者を選べば、必ずや虐めに遭遇する確率は高い。何度も転校を体験すると、転校初日の自分の軸をぶらさず、ポーカーフェイスで対応しなければならなかった。

 暴力沙汰は絶対にタブーだが、二つ目の転校先の高校では、転校二日目にして番長らしき人間と対峙してしまい、相手が筆者の胸元を掴んで恫喝したのである。その腕を振り払った瞬間にボタンが3個ほど取れてしまった。ボタンが落ちるや否や、相手を数発殴ってしまった。相手の顔は大きく腫れ上がり、口の中を切っていたので流血事件となった。

 筆者はその番長らしき人間を引っ張って校長室へ連れ込み、「このようなつまらん高校へは通えない!」と言って、すたこらさっさ自宅へ戻ったことがあった。今考えれば、番長らしき人間のご挨拶程度の恫喝だったのだろうと。そこで、弱者に成り済まして、頭を下げて「よろしく!」と、震えながら言っておけば、大ごとにならなかったのかも知れないと、今では苦笑いものである。

 上記のような体験が多々あったから、学校の「虐め」と聞くと、我慢ならない筆者がいる。強者ぶっている番長は、多分に寂しがり屋さんで、仲間が沢山いないと安心して学校へも足を運べず、遊びもままならないのだろうと。筆者もこの一度だけ人を傷つけたことへ、今でも、「短気は損気」と自分に言い聞かせながら、当時の自分の採った行動を反省してきた次第。

 幼少時から強者の枠組みを摑まされたのは良いが、実は、心の叫びを伝えたくても伝えられない、とても不器用な自分がいるのである。あれから暴力は絶対にダメだと言い聞かせて数十年。今ではカミソリのようにキレまくっていた人間ではなく、できるだけ相手の立場に立ち、考える習慣づけは出来たように思える。しかし、なあなあ事や詐欺などの悪事は絶対に許せぬ、勧善懲悪的な己は全く変わらないところが面白い。

 わたくし事の体験談で申し訳なかったが、畢竟、強者はすこぶる弱く、弱者に見える者ほど強いという事である。

 蛇足ではあるが、写真に1994年にリリースされたMacintosh Color Classic IIの写真を掲載した。その理由は、新聞社を経て独立の道を選んだのだが、筆者の業務をしっかりと支えてくれたのが、有能なスタッフやこのマシンたちだった。強者と思われがちな筆者は、いつの間にか、スタッフやマシンに支えられてきたのも、皮肉な話である。

 ただ、一回きりの人生において、弱音を吐くのを聞いてくれる人が一人でも居れば有難く、人生は孤独とはなり得ぬことを、遅ればせながら知り得たのだった。・・・人は独りでは生きて行けないのだから。

 ※筆者の思い出深い第1号マシンは、アップル社1984年製のMacintosh 128である。

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  • posted by Chikao Nishida at 2018/8/6 12:28 am

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