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珈琲アロー店主、八井巌さん。

▼珈琲アロー店主の八井巌さん
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 「あらー、お久しぶり!」とカウンター奥から、にこやかに挨拶をしれくれる珈琲アロー店主の八井巌さん。「よう来なはったですね。本当にお久しぶり。元気だったですか?」と満面の笑みである。

 八井さんとの出逢いは、新聞社時代に某役員から連れて行かれたのが最初だった。既に、三十数年が経った。実は、前日に熊本市内中心部を走行中に、その役員だった方を見掛けたのである。新聞社一のダンディズムの塊と言われた、そのお方。当時、マンションの部屋もお隣同士だったので、一緒に酒を飲み歩いて午前様になっても、奥様にはとても良くして頂いた。(もしかすると、背後で中指を立てられていたかも知れない)

 何と奇遇なことだろうと。大先輩のお元気な姿を確認できたが、残念ながら、車内から声を掛けることはできなかった。・・・本日、珈琲アローへ足を向けたのは、大先輩の姿が潜在意識に刻まれたのだろうと思った次第。八井さんにその話をすると、「最近来られんので、○○さんと西田さんのことばかり心配しとったっですよ!」と言ってくれたが、○○さんが元気であると聞いて、安堵してくれた。

 同店は、1964年に開催された東京オリンピックの年に生まれた。今年で55周年になるが、同店には「肥後もっこす」の店主の拘り抜いた「珈琲哲学」が存在している。それは、「本物の珈琲は琥珀色である!」、「砂糖やミルクが店内にあるはずがない!」、「世の中にアメリカン珈琲は存在しない!」、「真っ黒なものは珈琲と言えず、体に良いはずがない!」の厳しい言葉が飛び交う。

 若かりし頃、熊本市内の人気店のバーテンダーから、パティシエに転じ、いつの日か、珈琲の虜となり、研究に研究を重ねた結果が、この珈琲アローとなる。珈琲カップも同店と同じく、そろそろ55歳。天草の水の平焼の分厚いカップが特徴。そのカップは55年前のオリジナル作品のために、もちろん、現在は入手不可能だが、同店の歴史と伝統が注がれた器は、実に重々しくドッシリとしている。

 そこに琥珀色の珈琲が注がれてくる。八井さんの話によると、昭和43年(1968年)に、珈琲嫌いだった三島由紀夫(ノーベル文学賞受賞者の川端康成も認めた文豪)が訪ねて来たと言う。割腹自殺の2年前の話。その三島が「旨い!」と言って飲んでくれたことを、八井さんはニコニコしながら自慢げに話してくれた。

 常連客の飲み方にも特徴がある。1杯五百円の珈琲で、1杯目を青ナマコ(水の平焼)でジワジワとの飲み、そして無言の内に2杯目を注文し、2杯目は赤ナマコ(水の平焼)で仕上げるという流れである。特に、酒を飲み過ぎた方には、酔い覚ましには凄く効き目があるようで、酔っ払っていても4杯ほど琥珀色の珈琲を飲むと、シャンとする(熊本弁)らしい。

 店内の壁を見ると、有名人が足を運び入れていることに気づく。ジャズ歌手の阿川泰子さんの写真もチラリと見え隠れ・・・芸能人にも同店の名前は結構知れ渡っているようだ。元新聞社で直木賞作家でもある故光岡明さんも良く足を運んでくれていたと、懐かしげに想い出話をしてくれた。

 何はともあれ、八井さんの元気な姿を見て、一安心。土産にシュークリームを持って行ったのだが、「娘も喜ぶ・・・いや、全部自分で食べるかも知れんですばい!」と冗談を言いながら、冷蔵庫に菓子箱を仕舞っていた姿が、お茶目で笑えた。帰り際に、カウンター越しにずっと見送ってくれる八井さん。ある程度高齢であるけれども、現在、午前11時から午後10まで、一人で営業していると言う。・・・大したパワーである。


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▼青ナマコ(水の平焼)
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▼赤ナマコ(水の平焼)
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◎ロゼッタストーン公式サイト(since 1995)
 http://www.dandl.co.jp/Link

文責:西田親生

             

  • posted by Chikao Nishida at 2019/7/20 03:03 am

地蜘蛛と数十年ぶりの再会・・・

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 幼少の頃、幼友達の間では「地蜘蛛の相撲大会」が流行っていた。神社の石垣の下方に、袋状の蜘蛛の巣が何本か見える。それを年上の友達が器用にその巣を引き上げた。勿論、地面がある程度柔らかくなくては、途中で切れてしまうようだ。

 その先輩は、自慢げに右手にぶら下げ、最下方の膨れている部分をじわりと破りはじめた。何と、地蜘蛛がおとなしく出てくるはないか。他の友達も筆者も、次から次へと袋状の蜘蛛の巣を引っ張って出した。しかし、慣れないので途中で切れてしまう。

 何度か失敗を繰り返して、やっと袋状の巣を全部引っ張り上げることができた。先輩が「皆、土俵を作るぞ!」と言って、地面にLPレコードほどの土俵を作った。そこで、各々がゲットした地蜘蛛を土俵に置いて、「地蜘蛛の相撲大会」がはじまった。

 写真のように、おとなしい地蜘蛛だが、二匹を土俵に置くと、急に威嚇して喧嘩をはじめる。2本の鋭い牙を使って、相手の地蜘蛛を襲う。コロコロと転がり、2匹の地蜘蛛が上になっり下になったり。1匹が土俵の中を逃げ回りはじめた。ここで勝負がつく訳だ。

 そんな幼少期を思い出して、本日は、以前から目を付けていた、熊本県護国神社のさざれ石付近に足を運んでみた。分厚く頑丈な袋状の蜘蛛の巣を発見!「これは慎重に引き上げねば!」と、周囲の地面を慎重に掘りながら、数十年ぶりに巣を引き上げた。

 逃げようともしない地蜘蛛。何が起こったのか分かっていないのだろうか。千切れた袋状の巣の上に飛び乗って、足を動かしはじめた。今回は、戦う相手がいないので、元の位置に戻すことにした。その地蜘蛛は、何事もなかったように再び巣を作りはじめた・・・。


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▼上の地蜘蛛が入っていた袋状の巣
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文責:西田親生

         

  • posted by Chikao Nishida at 2019/7/9 12:00 am

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