
昨日足を運んだ「珈琲アロー」。昭和39年、東京オリンピックが開催された年にオープンした、熊本でも屈指の老舗珈琲専門店である。
オーナーは八井巌さん。年齢を尋ねると「自分は忘れた!」と笑って答えるが、どう見ても70代後半には見えない。肌の色艶は素晴らしく、身なりも洒脱で、まさにダンディズムの体現者である。ライフスタイルも数十年変わることなく、まさに「肥後もっこす」の典型といえよう。
元々はパティシエだった八井さんだが、いつしか珈琲の世界に魅せられ、研究を重ねに重ねた末、現在の「琥珀色の珈琲」に辿り着いた。ご本人はこう語る。
「世界で一番美味しいのは熊本の水です。その水で淹れると、アルカリ性で琥珀色の珈琲になるんですよ。真っ黒になる珈琲は違うんです。歌にもあるように、珈琲は琥珀色。冷めていくと、甘みが増してくるんです!」
筆者が八井さんと初めて出会ったのは25歳の頃。店内には、ジャズシンガー阿川泰子さんをはじめ、有名人の写真が何気なく飾られている。三島由紀夫氏も自決の2年前に訪れたといい、また熊本が誇る直木賞作家・光岡明氏も足繁く通ったという。「珈琲アロー」は、まさに琥珀色の珈琲に魅了された文化人たちの憩いの場であった。
先見塾の塾生たちもまた、初めて口にする琥珀色の珈琲に感激を隠せず、タイニーな店内で所狭しと撮影に夢中になっていた。





【ディー・アンド・エルリサーチ株式会社公式サイト】 http://www.dandl.co.jp/dandl/

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