
携帯電話を使い始めて二十数年が経った。思い起こせば、トランシーバーのようにでっかい電電公社時代の携帯、象が踏んでも壊れないセルラーフォンなど、懐かしいものが次々と頭に浮かぶ。
携帯電話の第一次普及期では、自動車電話というものが人気で、当時の「わさもん」(熊本弁で新しい物好きの人)は、車に長いアンテナを付け、アームレスト付近に固定電話のような受話器を取り付けていた。私たちの世代であれば、サンダーバードのロールスロイス的な車をイメージするに違いない。
それから第二次普及期へ。これはあくまでも熊本市内の話であるが、ちょうど二十三年ほど前から、現在も使われているとしたら「***192****」という番号が、その頃の「わさもん」が使い始めた電話番号である。何を隠そう、筆者もその「わさもん」の一人であり、もちろん今も「***192****」という携帯を持っている。(苦笑)
当時、ある人物と打ち合わせをしていて、互いに携帯電話の番号を教え合った時、なんと二番違いだったので大笑いしたことがある。それは筆者の携帯電話番号の下四桁の末尾が二番若かったためで、「同じ日に契約したのどうのこうの……」と、彼は悔しがっていた。実に平和でたわいもない会話であったが、それだけ携帯電話がまだ世に普及していなかった時代だったのである。
十九年前のインターネット日本上陸により、携帯電話の一般化に拍車が掛かった。ポケベル時代には「724106」と数字のメッセージが送られてきて、「?」と思いきや、夜の蝶たちがお客に対して「724106=ナニシトル?」と誘いを掛けていた。熊本では「72410610」または「724410」と送り、「ナニシトルト」または「ナニシヨット」という意味だったらしい。
そして、歩きながら相手に電話を掛けられる携帯電話が登場。当時はトランシーバーを使うこともあったが、相手との距離が制限され、狭い範囲での利用しかできなかった。それが携帯電話の登場によって、片手に持てば「動くオフィス」となり、さらにネットに接続されることで、とてつもないビジネス・ウェポンとして活用されるようになっていった。
現在のiPhoneやその他のスマートフォンによって、現代人の生活が一変したのは周知の事実である。特にヒューマン・コミュニケーションが著しく変化し、当時であれば face to face が当たり前だった仕事が、遠隔でのコミュニケーションでも成立する時代となった。
筆者もご多分に漏れず、仕事柄(ICTが本業)、iPhoneやMacBook Pro、iPad miniなどをすべて仕事の武器として日々活用している。まずは仕事に必要不可欠なアプリの選定。そしてデータ格納のためにクラウドやエクスターナルHDD、ポケットWi-Fiなどは必須であり、それらを駆使して日々の業務を効率よく捌いている。
現在、Mac OSの最新版がまだリリースされていないので何とも言えないが、今回のiPhone 5SとiOS 7を併用すれば、今まで以上に頭の整理が容易になり、新規プロジェクト企画やプレゼンに威力を発揮するのではないかと期待している次第である。
iPhoneにしろMacにしろ、すべては道具であり武器でもある。筆者にとっては、食事に使う箸やフォーク、ナイフと同様に、常に手元に置いておきたい道具であり、それを無意識に使うことによって、仕事の効率がすこぶる良くなっているのは事実である。実にありがたいことである。
しかし、筆者がWindowsやその他のスマートフォンにまったく関心がないのは、ユーザーインターフェースに大きなギャップがあり、思想的なものや開発コンセプトがまったく異なるという理由からである。極端な話だが、セットアップばかりに時間を取られるWindows、そして完成度の低いアプリが多いスマホを見るだけでも嫌気がさすのである。
これから最新Mac OSの登場によって、自己管理ツールはさらに進化するであろう。その恩恵を受けることに深く感謝しつつ、仕事を楽しみたいと思っている。1984年当時、Apple社のMacintoshに出逢ったことが、筆者にとって人生の転機であったことも、つい昨日のことのように思い出される。
やはり、Apple社のように自社でOS、アプリ、そしてハードを創り出す企業は一貫性があり、すべてを無駄なく使える点で、安心・安全なツール、そして信頼できるウェポンとして高い評価を得ているのは当然のことだろう。

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◎西田親生@ICTdocotor「Note」プロフィール
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