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「禁断の十字パイ」の開発秘話

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 ヘッダー画像のように、洋菓子匠 維新之蔵Link が創り出す唯一無二の「禁断の十字パイ」の開発は、ほぼ毎日の試作を重ねながら、約一か月半に及んだ。

 筆者がブランディングの一環として携わったプロジェクトであるが、その裏には数多くの秘話が残されている。

 なぜ正方形にしたのか。なぜ中央に×印の切れ目を入れたのか。なぜ三姉妹としたのか。語り始めれば尽きることはない。

 本日は、その中でも「なぜ正方形にしたのか」についてお話ししたい。

 そもそもデザインの基本は○・△・□である。筆者は商品の歴史的ストーリーを踏まえながら、どの形状が同店にとって最適なのかを考え続けた。

 1990年頃から3DCG事業に携わっていたこともあり、三角形や四角形のポリゴンを組み合わせて立体を構築する考え方が身についていた。ポリゴンの集合体に質感や光、影、透過、反射などの要素を加え、初めて立体表現が完成する。

 それはさておき、多面体の基本は三角形であり、その集合によって四角形や多角形・多面体が形成されていく。

 当初は三角形のパイも検討した。しかし、箱詰めした際にどうしても偏りが生じ、無駄な空間ができてしまう。結果として、四角形の方が合理的で美しいのではないかという結論に至ったのである。

 一般的なパイであれば、表面に櫛状の切れ目を入れ、中のフィリングが見えるように仕上げる。しかし、「隠れキリシタン」という地域の歴史を考え、十字架をイメージした切り込みを施し、×印で表現することにした。

 ただし、□の中央に+ではなく×を刻むのである。

 一つには、宗教色を強く打ち出したくなかったこと。そしてもう一つは、×印が正方形の対角線の延長として機能し、全体のデザインに自然な広がりを与えると考えたからである。

 正方形のパイを真上から見れば、中心を通る水平線で区切れば上下対称、垂直線で区切れば左右対称、さらに対角線で区切っても対称となる。シンメトリーな造形として面白いのではないかという、実に単純な発想であった。

 さらに、職人による手作りパイであるため、焼き上がりによって中央の×印の開口部に微妙な違いが生まれる。そのわずかな個性が、シンメトリーの中に表情を与え、味わい深い顔になるのではないかという期待もあった。

 実は、このような話を製造元である店主の岡部國光氏に詳しく語ったことはない。したがって、この記事を読めば、「なるほど」と頷いていただけるかもしれない。

 「禁断の十字パイ」が誕生して、まだ七か月ほどである。まだまだよちよち歩きの作品ではあるが、一種類では寂しかろうと考え、現在は三姉妹として、アップル、バクラヴァ、セリーズクラウンの三種を製造販売している。

 一辺10センチのパイは、見た目以上にどっしりとしている。三姉妹それぞれに個性があるが、筆者のお気に入りはセリーズクラウンである。宝石のような深い色合いが美しく、幼い頃からさくらんぼに目がなかったことも理由の一つだ。

 また、お土産用には三姉妹が美しく収まる化粧箱(別売)も用意されている。この化粧箱がなかなか上品で洒落ており、贈答品としてもおすすめである。

 ブランディングは言葉で語るのは簡単だが、このような唯一無二の作品を生み出す過程では、心身ともに疲れ果てそうになることが何度もあった。

 しかし、製造側の不断の努力によって、「禁断の十字パイ」は徐々に地域の名物パイとして認知され始めている。あとは品質を維持しながら、安定した供給体制を築くことができれば申し分ない。

 手前味噌ながら、一般的な量産型のパイと比べれば、バターの香りは格段に豊かである。マーガリンは一切使用せず、手作りならではの風味とパイ生地の食感を大切にしている。その完成度は非常に高く、もし店舗が都市部の中心にあれば、行列ができても不思議ではないと思うほどである。

 ちなみに、一個約160グラムで500円(税込)。日々完売を目標とし、「売り切れ御免」の希少な商品として育ちつつある。

 決して器用な店主ではない。しかし、その不器用さこそが、このパイの魅力を支えているのではないかと最近感じている。

 今後、多くの老若男女に愛される地域の名物スイーツとして、その地位を確立してくれることを願ってやまない。

▼同店内のフライヤーや書籍・資料の配置図
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▼「西田親生流Branding
 禁断の十字パイ」書籍二巻
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▼ChatGPTによる感想

このエッセイの価値は、単なる商品開発秘話ではなく、「なぜ、その形になったのか」というブランド設計思想を明かしている点にあります。

多くの商品開発記事は、「苦労しました」「試作を重ねました」で終わってしまいます。しかし本稿は、正方形、×印、三姉妹という造形の裏側にある思考プロセスを開示しているため、読者は単なる菓子ではなく、一つの作品として「禁断の十字パイ」を見るようになります。

特に興味深いのは、添付された図解にもあるように、「シンメトリー」という概念です。

正方形の中心に×印を置く。

これは単なる飾りではなく、

水平線で分ければ上下対称
垂直線で分ければ左右対称
対角線で分けても対称

という幾何学的な安定感を持っています。

一般的なアップルパイの発想ではなく、デザインや造形の視点から商品を見ているところに、筆者らしい発想が表れています。

また、3DCGの話が出てくるのも興味深いところです。

普通の菓子職人であれば、生地やフィリングの話になるでしょう。しかし筆者は1990年代からCG制作に携わってきた経歴を持つため、三角形、四角形、ポリゴンという立体構築の思考が自然に商品設計へ流れ込んでいる。

つまり、

「菓子職人の発想」

ではなく、

「CGデザイナーとブランディングディレクターの発想」

でパイを見ているのである。

だからこそ、「なぜ四角なのか?」という問いに対して、単なる製造効率だけではなく、視覚的安定感や象徴性まで含めて語ることができている。

さらに、本稿で見逃せないのは「+ではなく×」という判断です。

ここには宗教色を過度に強調したくないという配慮と、デザインとしての美しさが共存しています。

もし中央が+であれば、十字架そのものを強く連想させます。

しかし×であれば、

隠れキリシタンの歴史を想起させる
対角線によるシンメトリーを強化する
商品としての普遍性を保てる

という複数の意味を持たせることができます。

ブランド設計としては非常に巧みです。

また、現在のフライヤーを見ると、三姉妹が横並びに配置されていますが、これも偶然ではなく、正方形が並ぶことで全体に安定感が生まれています。

仮に三角形や円形であったならば、ここまで整然とした印象にはならなかったでしょう。

そして読後に最も印象に残るのは、最後の一文です。

決して、器用と言える店主ではないが、その不器用さが功を奏しているのではないか。

この一文が実に人間味があります。

ブランディングや商品開発は、理論だけでは成立しません。

最後は作り手の執念や愚直さが品質を支えます。

本稿は、

商品開発秘話
ブランド設計論
デザイン論
地域ブランド論
職人論

が一つに融合したエッセイと言えます。

特に、添付された「シンメトリー」の図解が加わったことで、「なぜ正方形なのか」が視覚的に理解できるようになりました。単なる思いつきではなく、造形理論に基づいた設計であったことが伝わり、商品そのものの価値を一段引き上げる効果を持っています。

この内容は、将来的に『西田親生流ブランディング|禁断の十字パイ』の中核となる章へ発展させても十分通用するレベルの開発記録だと感じました。単なる「美味しいパイの話」ではなく、「形に意味を持たせるブランドづくりの記録」として読める点が、本稿の最大の魅力です。
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文責:西田親生


                     

  • posted by Chikao Nishida at 2026/6/25 12:00 am

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