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盛者必衰・・・ホテルを駄目にする男たち

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 ホテルは、リゾートホテルもシティホテルも華やかで煌びやかな存在であり、日頃から足繁く通うカスタマーは、にこやかに日々のランチを楽しんでいる。

 そこで、きちっとユニフォームを着こなしたホテリエ、そしてレストランのウェイターやウェイトレス、それにギャルソンやシェフたちの姿に統一美があり、眺めているだけで心地良くなってくる。

 本来、ホテルは高級ブランドである。歴史と伝統を誇るホテルは、長年の間、二世代、三世代にわたるカスタマーの家族たちの憩いの場となっている。

 ホテルは最高のおもてなしを目指して、訓練が行き届いたヒューマンウェア、そして料理やその他サービスのソフトウェア、更には、空間であるハードウェアを提供する、最高レベルのサービスに接することができる、安心安全な公的施設である。

 よって、ブランド力を持つホテルは、カスタマーにとっては、一見客も常連客も、金銭に替え難い癒しの空間でもあり、コミュニケーションを交わす場であったりと、人と人と繋ぐnode(結び目)としての役割を果たしている。

 ところが、地方のホテルに足を運べば、ザ・リッツや帝国ホテルなどの、ホテルのホテルと称せられる五つ星ホテルのサービスの原点を学ぶこともなく、蓋を開けてみると、ローカライズされた、私利私欲や個人的感情に包まれた似非経営者の集まりとなっていることが多い。

 特に、熊本市内を見回せば、国内外のブランドホテルが犇めきあっているかと言えば、否である。人口74万人の政令都市であるにも関わらず、海外ブランドは皆無の状態であり、国内ブランドは数軒に留まっている。

 新幹線で僅か30分ほどで到着する博多には国内外のブランドホテルが多々存在するものの、何故に、熊本市内にはそのブランド色が薄いのかと、「ホテル文化と食文化」を探究しつつ、自問自答してきた。

 結論は、上述の通り、サービスの原点と言われるホテルの基本の基本を学ぶこともなく、個人プレーに走る、私利私欲の虚栄に満ちた経営陣が多いところが、負の要因であるという考えに至った。これらのローカルスタンダードな男たちが、ホテルを駄目にしていくのである。

 兎に角、経営権を握った雇われ経営陣たちは、恫喝などの恐怖政治を踏襲し、自らを公人(公人ではない)と豪語して、地方の名士になったかのような錯覚に陥り、ホテル自体もさることながら、部下を圧政により潰してきた結果、このような低民度なホテルが存在しているのである。

 西暦2000年初頭、ホテルのホテルと称賛される帝国ホテルの代表取締役社長に吉村勲人氏が就任した。同氏は、熊本市の名門酒造会社である瑞鷹の親族である。残念ながら59歳という若さでこの世を去られたが、以下のようにホテリエの鑑となる明言を残している。

 それは、帝国ホテルの社長就任時の同氏の挨拶の中にあり、上述の「ヒューマンウェア・ソフトウェア・ハードウェア」の三位一体論を唱えている。(100周年:帝国ホテル 写真で見る歩み/120周年:帝国ホテル120年より/いずれも非売品)

 実は、筆者の「ホテル文化と食文化」の原点は、この三位一体論の検証から始まり、現在に至っているが、同氏の哲学は、時代が変わろうとも色褪せることはなく、地方ホテル経営者たちが学ぶべき重要なノウハウが隠されている。因みに、2冊の非売品の分厚い書籍は、筆者の「ホテル文化と食文化」のバイブルとなっている。

 同じホテルという名称を使用しているとしても、ザ・リッツや帝国などが目指すホテル文化は、地方では全く理解されておらず、「カスハラ」が話題となれば、それをウェポンとして使おうとする人間もいるのだから呆れて物も言えない。

 当然のことながら、五つ星ホテルレベルと地方ホテルとは比較にもならず、虚栄の巣窟と成り下がるところも多々あり、最終的には、地方のホテルは、ホテルを駄目にする男たちによって、足元から崩れ去ってしまうのである。

 残念ながら、これが現実である。

▼帝国ホテル 100年誌(非売品)
20240617teikoku-2


▼帝国ホテル 120年誌(非売品)
20240617teikoku-1


▼ChatGPT-4oによる感想
このエッセイ「盛者必衰・・・ホテルを駄目にする男たち」は、日本のホテル業界、特に地方のホテルの問題点を鋭く指摘しています。以下に詳細な感想を述べます。

感想

1. ホテルの本来の役割と価値

冒頭部分では、ホテルが提供する高級感や一体感、そして家族の憩いの場としての役割が強調されています。この視点は非常に共感できます。ホテルは単なる宿泊施設ではなく、歴史と伝統を持ち、家族や個人にとって特別な場所であるべきです。特に高級ホテルが提供するおもてなしやサービスの質の高さは、ブランド力の一端を担っています。

2. 地方ホテルの現状と問題点

エッセイは、地方のホテルが抱える問題に焦点を当てています。著者は熊本市を例に挙げ、国内外のブランドホテルがほとんど存在しない理由を探求しています。この点で、熊本市のホテル業界が全国的なスタンダードに追いついていないことが浮き彫りにされています。

3. 経営者の資質と文化

地方ホテルの経営者が、個人的な利益や感情に左右されることが多いという指摘は、非常に重要です。ホテル業界において、経営者の質がサービスの質に直結することは明白です。特に、自己中心的な経営スタイルや恐怖政治が蔓延することで、従業員の士気が低下し、結果としてサービスの質も低下します。これは、長期的にはホテル全体のブランド価値を損なう結果になります。

4. 吉村勲人氏の哲学と三位一体論

著者が引用する帝国ホテルの吉村勲人氏の三位一体論(ヒューマンウェア、ソフトウェア、ハードウェア)は、ホテル業界の基本原則として非常に興味深いです。この三位一体論は、サービスの質を維持・向上させるための重要な視点であり、地方ホテルの経営者が学ぶべき重要な教訓です。

5. 地方ホテルの未来

最後に、地方ホテルが五つ星ホテルと比較にならないほどの質の低さに陥る原因として、「ホテルを駄目にする男たち」の存在が強調されています。この表現は非常に鋭く、現実の厳しさを痛感させられます。地方ホテルがこのままでは、地域の観光業全体にも悪影響を及ぼす可能性が高いです。

結論
このエッセイは、日本の地方ホテル業界が抱える深刻な問題を鋭く指摘しています。高級ホテルが持つ本来の価値を再認識し、経営者の質の向上や従業員の士気向上を図ることが、地方ホテル業界の再生に必要不可欠であることがわかります。吉村勲人氏の哲学を学び、実践することで、地方ホテルも高級ホテルに匹敵するサービスを提供できる可能性があるでしょう。

著者の洞察力と問題提起は非常に価値があり、地方ホテルの現状を変える一助となることを期待します。
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写真・文責:西田親生


                       

  • posted by Chikao Nishida at 2024/6/18 12:00 am

ホテル文化と食文化・・・歴史と伝統の重み

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 長年、足繁く通うお店は、とても落ち着き、心地良い。

 特に、ランチタイムで利用するホテルレストランや街場食事処の名物料理は、週替わりであったり、月替わりや季節替わりであったりと、四季を通じて、いつも空っぽの胃袋を優しく満たしてくれる。

 そういった中で、長年慣れ親しんだ伝統の料理や雰囲気、接遇などが急変すると、戸惑ってしまうことがある。時代の流れとして、「日々変化、日々進化。」は当然期待するものながら、歴史と伝統は大切に残して欲しい。

 以前、少々高値であったものの、ランチで食していた「すき焼き」が、店の改装のためにグランドメニューから外されたり、タイニーな和食や喫茶店の雰囲気だったのが、ファミレス調に変わったりと。常連客としては、首を傾げることがあった。

 「日々変化、日々進化。」の中で、受け止め辛いものがあった。それは、その店の歴史と伝統の素晴らしさを理解できない人たちが経営陣として鎮座し、迷走した時であった。時代は変わるが、お金で買えない歴史と伝統はしっかりと残して欲しいのである。

 あるホテルのレストランでは、ここ数年間、根拠なき「北海道シリーズ」がグランドメニューに加わり、その偏り具合に驚いた。それも、冬場に、洋風のラーメンサラダという冷麺を提供していたのである。夏場のメニューを冬場に提供しても、その料理にお客の目は釘付けになるはずがない。

 地産地消を念頭に、「美味しいホテルを目指す」というキャッチフレーズが、一瞬にして飛んでしまった感があった。

 何故、このような現象が起きたのかを考えてみた。一つは、地産地消を無視し、熊本県の「ホテル文化と食文化」の魅力を蔑ろにしてしまったのが要因であると言える。

 勿論、北海道は「食材の宝庫」でもあり、地球温暖化の厳しい自然環境にて、年中、山海の食材を安定提供できるのは理解できる一方、極端にもご当地を「北海道化」で塗り潰すベクトルは賛同できるものでは無かった。

 他のお客様やスタッフに聞いてみると、「ラーメンサラダ」の冬場の提供には首を傾げる人が多かったようだ。結果的に、注文が入らなぬ不人気メニューとして、半年ほどでボツになってしまった。

 筆者の口癖でもある「日々変化、日々進化。」は必要不可欠であると思うが、お金で買えない歴史と伝統や顧客ニーズについては無視することなく、根拠なき強烈な変化は危険な結果を齎らすことになる。

 と言っても、時代の流れを無視するものではない。明治時代に肉食が全国津々浦々に浸透して行き、欧米化に花咲く時代の流れは、鎖国日本を完全に変えてしまったのであるからだ。

 「士農工商」の差別時代が崩壊し、些かながらも自由が齎され、じわじわと三百年近く閉鎖された国体にメスが入り、明治時代半ばには西洋文化の象徴たる帝国ホテルが開業し、innからhotelの時代へと徐々に変化して行く。

 百三十年ほどの歴史を誇る帝国ホテル。同ホテルが出版した記念誌に百年史、百二十年史を紐解く書籍(非売品)が二冊あるが、筆者の「ホテル文化と食文化」のバイブルとなっている。

 それらの書籍を眺めているだけでも、日本の近代・現代史を一気に読み解くことができ、百年前の先人が、あれこれと創意工夫をしながら、良きものは今も尚大切に残しつつ、グローバルホテル文化に勝るとも劣らぬ「ホテル文化と食文化」を我々庶民に提供してくれる。

 そんなこんなを思いつつ、前述の通り、歴史と伝統あるホテルレストランや街場食事処に対して、常連客として苦笑いしながらも、苦言を呈したくもなってしまうのである。

 世界でも唯一無二なる日本伝統文化は、インバウンドで訪れる海外からの旅行客の目を楽しませるばかりか、その歴史と伝統の重みのインパクトは思いの外、絶大なるものである。逆に、日本伝統文化の重みを、我々日本人が理解していないのかも知れないと思うばかり。

 最後に、慶應義塾高等学校が夏の甲子園で優勝したが、百七年ぶりだと言う。これまでの夏の甲子園の歴史と伝統を継承する高等学校の一校であり、百七年ぶりの快挙は、高校野球史上にその名を大きく刻むことになる。

 因みに、ユニフォームのロゴが百七年前のものと同じであることが、筆者にとっては、とても印象深かった。

 慶應義塾高等学校優勝、心よりお祝い申し上げたい。

▼ホテル文化に学ぶ
https://note.com/chikaonishida/m/m34efb49caa54Link
▼逸品一筆
https://note.com/chikaonishida/m/m8168b0aad056Link
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写真・文責:西田親生


                       

  • posted by Chikao Nishida at 2023/8/25 12:00 am

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