処女作「生」

生



 上の書は、筆者の処女作「生」。

 書を始めて、僅か三ヶ月弱。先ず、自分なりのテーマを探さなければならない。・・・なかなか思いつかないまま数日が経ってしまった。

 そうしている内に、筆を握った瞬間、約20年前の台風19号の猛烈な風で、自宅から数百メートル先に見えていた竹林が全て横向きに倒れている当時を思い出したのだった。家々の瓦が、カラスの大群のように空中を舞い、地獄絵巻のような中で大木がなぎ倒され、電柱や外壁など瞬く間に折れ落ちて行った。

 しかしながら、竹の生命力は凄まじく、その台風が去った後に、じわじわと天空に向かって立ち上がってくる。そういった竹の生命力を目の当たりにして、また、60年から120年に一度咲くという竹の花の話を聞いて、何となく竹を素材に文字を表現してみようと思いついたのである。

 勿論、日本画の世界を見ると、竹は定番中の定番の素材であるが、筆者は竹を描くのではなく、竹を土台に文字を描こうと思ったのだ。

 そこから出来上がった処女作「生」。大地から草木が芽生えるという象形文字が現在の「生」になっているが、そこを何とか竹が生き生きと伸びている瞬間を描こうと・・・。

 一筆で竹の一節を描きながら、筆の先と付け根の筆圧やかすれ具合などをシミュレートしながらの、一気の作業となる。何度も何度もイメージ通りに筆先が運べず、描いたものが竹に見えなかった。百数十枚の半紙を無駄にしたが、ようやく竹を素材とした「生」らしい文字が出来上がったようだ。

 日々墨の香りに包まれ、頭に浮かぶイメージを即座に文字にして行く「書」に魅了され、現在に至っているが・・・まだ僅か三ヶ月弱。これからの道のりは遠いけれども、自分流の軸をしっかりと築き、今後の制作に傾注して行こうと考える次第。

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posted by 親生 at 2012/12/27 12:06 am   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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