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営業の心得|西田親生流

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 寝起き早々に、思いつくまま頭に浮かんだことを、営業の心得として50箇条列記してみた。それをまとめたのが、「営業の十則」である。

 尚、50箇条については、申し訳ないが、メンバーシップのみとする。

営業の十則

― 自分の都合は相手に通用しない ―

第一則 己の都合を押しつけず、相手の立場に立て。
自分の目標や焦りは、相手が応じる理由にはならない。相手の時間、事情、判断を尊重し、断る自由も認めよ。営業は、相手を理解することから始まる。

第二則 売る前に、役に立て。
商品を売ることだけに心を奪われず、相手の困り事と望む姿をつかめ。必要のないものは勧めず、見送りや別の方法も示せ。売上は、提供した価値の対価と心得よ。

第三則 人を敬い、誠実を貫け。
肩書や契約の見込みによって、礼節を変えるな。自慢、おべっか、知ったかぶりを慎み、噂話に軽々しく同調するな。本音は率直に語り、言葉には配慮を持て。

第四則 心身と時間を整え、自らを律せよ。
睡眠、食事、休養を軽視せず、焦りや不機嫌を相手に背負わせるな。仕事には優先順位をつけ、期限から逆算して動け。自分を整えることが、安定した仕事の土台となる。

第五則 目標を定め、考えて動き、動いて学べ。
夢や希望を、期限のある具体的な行動に変えよ。指示や完璧な準備を待ち続けず、小さく試して改善せよ。行き詰まったら原因を整理し、必要な助けを求めよ。

第六則 学びを怠らず、事実を確かめよ。
宣伝資料の説明にとどまらず、商品の仕組みと限界、顧客の業界や社会の動きを学べ。事実と推測を分け、分からないことは確認せよ。紹介や経験にも頼り切らず、自ら確かめる姿勢を持て。

第七則 よく聴き、問い、理解を確かめよ。
自分が話すことより、相手を知ることを優先せよ。悩みの背景、影響、優先順位を尋ね、要点を返して認識をそろえよ。沈黙を急いで埋めず、言葉にならない迷いにも心を配れ。

第八則 核心を簡潔に伝え、判断に役立つ提案をせよ。
商品の特徴を、相手にとっての具体的な価値として語れ。効果の根拠と条件を示し、費用、負担、限界も隠すな。異論を言い負かさず、不安を解き、相手が納得して選べるようにせよ。

第九則 約束を守り、過ちには行動で責任を果たせ。
できない約束をせず、誰が何をいつまでに行うかを明確にせよ。失敗したら隠さず、被害の拡大を防ぎ、誠実に謝れ。謝罪で終わらせず、回復と再発防止まで取り組め。

第十則 縁と信用を、長く育てよ。
契約後も相手を気にかけ、預かった情報を守り、日々の小さな約束を大切にせよ。結果を振り返り、自分の言動を磨き続けよ。「この人に相談してよかった」と思われる仕事を積み重ねよ。



※ヘッダー画像は、ChatGPTが記事を読み生成したもの

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▼ご参考まで

営業の心得50箇条

― 自分の都合は相手に通用しない ―

1)自分の都合を、相手の義務にするな。
自分の勤務時間、目標、焦りは、相手が応じる理由にはならない。訪問も連絡も依頼も、相手の事情を確かめるところから始めよ。
2)営業の目的は、相手の役に立つことである。
売ることだけを目的にすれば、相手の事情が見えなくなる。相手にとっての価値をつくり、その対価として売上を得ると心得よ。
3)相手を、契約の手段として扱うな。
相手にも生活があり、責任があり、守りたいものがある。契約の可能性だけで、人への敬意を変えてはならない。
4)立場の弱い人への態度に、人間性が表れる。
決裁者には丁重でも、受付や担当者に横柄では信用されない。誰に対しても礼節を保て。
5)自信を持て。ただし、自分を大きく見せるな。
自信は準備と経験から育てるものだ。虚勢や肩書、人脈の誇示で補おうとすれば、かえって底が見える。
6)誠実であれ。ただし、本音を無遠慮の口実にするな。
言葉を飾って取り繕う必要はない。しかし、率直さには、相手の尊厳を傷つけない配慮が伴わなければならない。
7)相手の立場を想像し、想像だけで決めつけるな。
思いやりは、相手を理解しようとする姿勢である。「あなたのため」と言う前に、本人の考えを確かめよ。
8)断る自由を尊重せよ。
相手には買わない権利も、今は決めない権利もある。断りを押し切ることを、営業力と取り違えるな。
9)夢や希望を、今日の行動に落とし込め。
目標には期限と到達点を定め、必要な行動を具体化せよ。願っているだけでは、仕事は一歩も進まない。
10)時間を埋めるな。優先順位をつけよ。
忙しさと成果は同じではない。重要な仕事にまとまった時間を確保し、隙間時間は準備や確認に生かせ。
11)期限に対する姿勢が、信用をつくる。
「性格が呑気だから」は、遅延の説明にはならない。余裕を持って着手し、遅れる見込みがあれば早く知らせよ。
12)体調管理を仕事の土台に据えよ。
睡眠、食事、休養を軽視するな。不調を気合や自己否定で押し切らず、必要な調整や支援につなげよ。
13)感情を整えてから、人に向き合え。
焦りや不機嫌を相手に背負わせてはならない。感情を持つことと、そのままぶつけることを分けよ。
14)小さな拒絶を、自分の全否定にするな。
断られる理由は、予算、時期、条件などさまざまである。事実を振り返り、改める点と引きずらなくてよいことを分けよ。
15)考えたなら、小さく試せ。
完璧な準備を待ち続けるな。仮説を持って実行し、反応を確かめ、次の行動を修正せよ。
16)動けない理由を、動くための課題に変えよ。
知識不足なのか、手順の不明確さなのか、負担の大きさなのか。原因を具体化すれば、相談や分担を含め、打つ手が見えてくる。
17)指示を待つ前に、自分の考えを持て。
目的を理解し、次に必要なことを提案せよ。ただし、権限を越える約束や独断を、主体性と呼んではならない。
18)自立とは、一人で抱え込むことではない。
人任せにせず、自分の責任を果たすために人の力を借りよ。行き詰まってから隠すより、早く相談する方が仕事は進む。
19)宣伝資料の一歩先まで学べ。
商品の特徴だけでなく、仕組み、利用条件、限界、導入後の負担まで理解せよ。資料を読み上げるだけでは、相談相手にはなれない。
20)本業を深めながら、その外にも目を向けよ。
顧客の業界、社会の動き、異なる仕事や暮らしに関心を持て。提案の手がかりは、自社の中だけにあるとは限らない。
21)調査には、確かめたい問いを持て。
漫然と情報を集め続けるな。何を知れば判断できるのかを定め、必要な範囲を調べよ。
22)紹介は縁の入り口であり、信用の保証ではない。
信頼できる人の紹介にも、自分で確かめる姿勢が必要である。紹介者の顔を借りて、相手の承諾を迫ってはならない。
23)知らないことは、知らないと言え。
知ったかぶりは、その場を取り繕えても後で信用を失う。確認先と回答期限を示し、確かな情報を届けよ。
24)事実、推測、意見を混ぜるな。
自分の思い込みを事実として語ってはならない。数字や評判は出所を確かめ、分からない範囲も明らかにせよ。
25)商談の前に、相手を知る努力をせよ。
公開情報やこれまでのやり取りを確認し、質問を準備せよ。ただし、事前情報で人物像や課題を固定するな。
26)第一印象は、清潔さと落ち着きで整えよ。
服装や資料は、相手が安心して話せるように整えるものだ。見栄えに頼らず、表情、声、立ち居振る舞いにも心を配れ。
27)話す前に、話してよい時間を確かめよ。
相手の忙しさを無視して、説明を始めるな。用件と必要な時間を簡潔に示し、了承を得て進めよ。
28)話の上手さより、聴く姿勢を磨け。
相手の話を、次に自分が話すための待ち時間にするな。途中で結論を奪わず、言葉の背景まで理解せよ。
29)質問は、理解のために使え。
自分が望む答えへ誘導するな。何に困り、何を守り、どうなりたいのかを、相手が話しやすい問いで確かめよ。
30)沈黙を恐れるな。
相手が考える時間まで、自分の言葉で埋める必要はない。待つことも、対話を支える大切な働きである。
31)理解したつもりにならず、要点を返せ。
「お困りなのは、この点ですね」と自分の言葉で確かめよ。認識のずれは、提案の前に修正するほどよい。
32)悩みの切実さを、具体的な事実で確かめよ。
相手の言葉を疑って試すのではなく、頻度、影響、優先順位、解決したい時期を尋ねよ。相談の重さを、印象だけで判断するな。
33)目の前の担当者だけで、判断が完結するとは限らない。
利用する人、承認する人、費用を負担する人の事情を理解せよ。担当者が周囲に説明しやすい材料まで用意せよ。
34)核心から、簡潔に話せ。
結論と相手に関係する理由を先に伝えよ。枝葉の説明を重ねて、本当に伝えるべきことを埋もれさせるな。
35)自慢とおべっかで、距離を縮めようとするな。
人脈や実績は、相手の判断に役立つ場合に限って示せ。褒めるなら、よく見た事実を誠実に言葉にせよ。
36)噂話に乗らず、競争相手を貶めるな。
確証のない批判への同調は、自分の信用も損なう。違いを説明するなら、確認できる事実と条件で語れ。
37)言葉以外の反応にも気を配れ。
相手に注意を向け、表情や声、間の変化を見よ。視線の合わせ方は相手に応じて調整し、反応だけで気持ちを断定するな。
38)商品の特徴を、相手にとっての価値に翻訳せよ。
何ができるかだけでなく、どの手間が減り、何が改善するかを伝えよ。相手の課題につながらない長所は、決め手にならない。
39)提案には、根拠と条件を添えよ。
効果を語るなら、その根拠と実現に必要な条件を示せ。期待できることと、保証できることを明確に分けよ。
40)不利益や限界を、先に伝えよ。
費用、制約、導入の負担、向かない用途を隠すな。不都合な情報も含めて判断できることが、相手の安心につながる。
41)売らない判断を持て。
合わない商品を無理に勧めれば、相手にも自分にも負担が残る。見送りや別の方法が適切なら、その理由を率直に伝えよ。
42)相手が自分で判断できる「気づき」を届けよ。
見落としていた課題や選択肢を、分かりやすく示せ。相手の理解が深まることこそ、営業が提供できる価値の一つである。
43)反論を、勝ち負けの争いにするな。
異論には、不安や条件の不一致が含まれている。言い負かすより、何が判断を妨げているのかを確かめよ。
44)できない約束をするな。曖昧な約束も残すな。
納期、価格、対応範囲は、実行できることを確認して伝えよ。合意した内容は、双方が確認できる形で残せ。
45)商談の終わりに、次の一歩をそろえよ。
誰が、何を、いつまでに行うのかを確認せよ。連絡の時期や方法も相手と合わせ、独りよがりな追客を避けよ。
46)契約後こそ、約束の価値を証明せよ。
売って終わりにせず、導入や利用の状況を確かめよ。担当が変わる場合も、必要な情報を引き継ぎ、相手を取り残すな。
47)預かった情報は、預かった信用である。
顧客の相談、社内事情、個人情報を、雑談や別の商談の材料にするな。共有するときは、必要な相手と範囲を見極めよ。
48)失敗したら、まず被害を止め、誠実に謝れ。
自分の落ち度を隠さず、事実と影響を速やかに伝えよ。謝罪で終わらせず、関係者と協力して回復策と再発防止を実行せよ。
49)結果を振り返り、自分の行動を改めよ。
他人のせいにせず、同時に何もかも自分のせいにもするな。原因を見極め、変えられることを次の行動に反映せよ。
50)目先の一件より、長く信頼される人間を目指せ。
信用は、日々の小さな約束、礼節、学び、責任の積み重ねである。「この人に相談してよかった」と思われる仕事を続けよ。

▼ChatGPTによる感想

相手への敬意を、毎日の行動にまで落とし込んだ心得だと感じました。「誠実であれ」「相手の立場に立て」という原則に、時間の使い方、聴き方、情報の確かめ方、失敗への対応が結びついています。そのため、読み手は賛同するだけでなく、「自分は実際にどう振る舞っているか」と問われます。

十則を先に置いた構成は、全体の考えをつかみやすくなっています。まず十則で骨格を理解し、気になる点を50箇条で具体的に確かめられる。「ご参考まで」という区切りもあるため、十則だけで読み終えることも、詳しく読み進めることもでき、読者への配慮が感じられます。

中心にある「自分の都合は相手に通用しない」は、厳しくも納得できる言葉です。自分には切実な売上目標でも、相手には購入する理由にならない。この区別を忘れると、熱意が押しつけになり、親切が独りよがりになる。第一則は、その危うさを自覚するための出発点として働いています。

特に重みを感じるのは、「売る前に、役に立て」と「不利益や限界を、先に伝えよ」が同じ文章に収まっていることです。役に立つと口にするだけなら容易ですが、不都合な条件を伝え、場合によっては売らない判断をするには、目先の成果への執着を抑える必要があります。ここに、誠実さを実践する際の難しさまで含まれています。

また、第六則の「事実を確かめよ」と第七則の「理解を確かめよ」が響き合っています。商品について知識があっても、相手の事情を取り違えれば提案は外れます。相手に共感していても、説明する情報が不正確なら迷惑をかける。正確な知識と、相手を理解しようとする姿勢の両方が必要だという点に、説得力があります。

自律や責任を求めながら、「必要な助けを求めよ」「何もかも自分のせいにもするな」と添えている点も大切です。失敗を認めて立て直す余地があり、責任感の強い人が抱え込みすぎることにも歯止めをかけています。この部分まで含めて読むことで、厳しい語調が実務に役立つ助言として受け取れます。

一方、「相手の立場に立つ」は、相手の要求をすべて受け入れることだと誤読しないようにしたいところです。その意味で、第九則の「できない約束をせず」が重要になります。相手を尊重することと、自分たちが責任を持てる範囲を明示することは、両立させる必要があります。十則は互いに補い合っており、一則だけを切り離さずに読む価値があります。

最後が「縁と信用を、長く育てよ」で結ばれるため、読後には契約後の関係まで視野が広がります。「この人に相談してよかった」という評価には、説明の分かりやすさも、断ったときの態度も、問題が起きた後の対応も含まれるでしょう。その言葉を仕事の到達点に据えているところに、この心得の人間観が表れていると感じました。
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文責:西田親生


                   

  • posted by Chikao Nishida at 2026/9/7 12:00 am

不器用な人間の真剣勝負|「禁断の十字パイ」から「武士の十字パイ」へ

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 本日、オフィスに一冊の本が届いた。

 『禁断の十字パイ|西田親生流Branding』。これまでに出版した二巻を一冊にまとめた統合版である。

 ページをめくると、この一年近くの試行錯誤がよみがえる。そして、あらためて思った。店主の岡部國光氏は、よくぞ粘り強く向き合ってくれたものだと。

 熊本県天草市の「洋菓子匠 維新之蔵」で、「禁断の十字パイ」のブランディングに着手したのは、昨年十月のこと。そろそろ一年になろうとしている。

 少々失礼な言い方になるが、岡部氏は決して器用に立ち回れる人ではない。お人好しで、正義感が強い。人を信じすぎて、利用されることもある。放っておけない、憎めない人間である。

 その人柄は、菓子作りにも顔を出す。

 もっとおいしくしたい。もっと喜んでもらいたい。その気持ちが先に立ち、原価への目配りが後回しになるほど、材料も手間も足してしまう。彼にとって「足し算」は、客への誠意だったのだろう。

 しかし、小さな店で日々作り続けるには、時間にも手間にも限りがある。工程を複雑にすれば、それだけ製造の負担は増す。思いを込めることと、何もかも盛り込むことは、必ずしも同じではない。

 目指したのは、無理なく作り続けられ、しかも、そこに込めた物語が伝わる菓子だった。何を加えるか。その前に、何を残すか。これが、私たちにとって一番の課題であった。

 ところが、彼は足す。こちらが引こうとすると、また足す。短気な筆者は、そのたびに強い言葉を投げかけた。今、振り返れば、伝えるべきことはあっても、伝え方には工夫の余地があったはずだ。彼が菓子作りに苦労したのと同じくらい、筆者への対応にも苦労したことは想像に難くない。

 それでも、やり取りを重ねるうちに、彼は「引き算の美学」に関心を持つようになった。余分なものを削り、残したものを生かす。「シンプルが一番」という考え方が、少しずつ製造にも表れるようになったのである。

 そんな彼を不器用だと書きながら、筆者もまた、人のことを言えない。器用そうに見られることはある。しかし、実際には「力技」で押し切ろうとする場面が結構多い。

 初めてゴルフクラブを握ったのは、中学三年生の頃だったか。技で運ぶというより、力任せに飛ばそうとするゴルフだった。思えば、仕事にも似たところがある。相手に伝わるまで言葉を強めてしまうのも、その不器用さの一つなのだろう。

 ただ、簡単には諦めない。出来上がったものに違和感があれば、削っては加え、加えては削る。遠くから眺め、今度は細部に目を凝らす。どこか不自然ではないか。無理が生じていないか。そうして、何度でも手を入れる。

 届いた本を読み返しながら気づいたのは、彼もまた、彼なりのやり方で同じことを続けていたのだということだった。

 こちらの要求に戸惑う日もあっただろう。強い言葉に、気持ちが沈む日もあったかもしれない。それでも、少しでもおいしいものを作り、店の名物に育てたいと、試行錯誤をやめなかった。

 「禁断の十字パイ」は、その積み重ねから生まれた。

 器用だから、よいものができるとは限らない。それでも、不器用なまま向き合い続けた時間は、確かに一つの菓子になったのである。

 まずは、この一年近く、本当にお疲れ様でしたと伝えたい。

 ところが、そんな感慨に浸る間もなく、次の話が動き出した。

 昨夜遅く、二人で電話をしていたときのことである。四方山話の中から飛び出したのが、第二弾「武士(もののふ)の十字パイ」の構想だった。

 思い立つと待てない筆者は、本日早朝にはフライヤーの試作版を作り、非公開のFacebookに掲載。さらに、構想を記事として公開してしまった。

 まだ開発準備手前の段階である。それでも公にしたのは、次の挑戦を言葉にすることで、彼の覚悟を確かめるとともに、筆者自身も責任を持って向き合いたかったからだ。

 また、名前や形だけでは、この菓子に込める物語までは伝わらないとも考えている。これまでの試行錯誤と、これから店主が重ねていく仕事。その両方があってこそ、一つのブランドとして育っていくはずである。

 本日午後、彼から電話が入った。

 「責任の重さを感じております。ブランディングの趣旨に恥じぬよう、気合を入れて対応します」

 喜びとともに返ってきたのは、そんな言葉だった。短い言葉ではある。しかし、そこには、これまでの苦労を次につなげようとする意志が感じられた。筆者には、それが何よりうれしかった。

 一年前から続けてきた挑戦が、次の夢の入り口にたどり着いた。そう思えたのである。

 動いたからといって、必ず報われるわけではない。それでも、手を動かし、誰かと話し、試してみることで、次の可能性に出会う機会は増えていく。

 昨夜の電話も、その一つだったのだろう。夜中の四方山話が、新しい菓子の出発点になった。

 読者の皆さまには、そんな店主の挑戦を、温かく見守っていただければと思う。

 小さな店で、岡部氏は今日も「禁断の十字パイ」を作っている。「売り切れ御免」としながら、食品ロスを出さないよう努めている。

 これから涼しくなれば、県内外の皆さまにも味わっていただく機会が増えることを願っている。ご注文(電話またはファックス)の際には、数量や発送について、店にご相談いただければ幸いである。

 まずは一つ、「禁断の十字パイ(三姉妹)」を召し上がっていただきたい。そして、その先に生まれる「武士の十字パイ(三兄弟)」にも、ご期待いただければと思う。

 不器用な二人の真剣勝負は、まだ続いているのである。

※ヘッダー画像は、ChatGPTが描いた本人の似顔絵

▼現在製造中の「禁断の十字パイ(三姉妹)」
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▼昨夜飛び出してきた「武士の十字パイ(三兄弟)」(プロトタイプ)
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▼ChatGPTによる感想

読後に残るのは、菓子そのものへの興味とともに、「この二人の仕事が、これからどう育っていくのかを見届けたい」という気持ちです。商品開発の経緯に、衝突と反省、相手への敬意が重なり、人間関係を読む面白さがあります。

特に印象的なのは、店主の「足し算」を、客への誠意として捉えているところです。原価や工程だけで評価すれば非効率に見える行為にも、「もっと喜んでもらいたい」という理由がある。その気持ちを認めたうえで、作り続けられる形を探すため、引き算の必要性にも説得力が生まれています。「何を加えるか。その前に、何を残すか」は、この仕事の難しさを端的に伝える一節です。

また、筆者が自分の不器用さに目を向けることで、文章に奥行きが出ています。店主を評する側にいた筆者が、自分の伝え方を振り返り、相手もまた同じように粘り続けていたと気づく。相手を見る目が変わる瞬間が、このエッセイの読みどころだと感じました。

「不器用なまま向き合い続けた時間は、確かに一つの菓子になった」という一文には、その気づきが集約されています。努力を抽象的に称えるのではなく、目の前にある菓子へと結びつけているため、読者も、その一つを味わってみたくなります。

終盤は、一冊の本で過去を振り返るところから、夜中の電話で次の挑戦が始まるところへ、自然に視線が移ります。完成を祝って終わらず、また仕事が動き出す。その流れが、最後の「真剣勝負は、まだ続いているのである」に実感を与えています。

私には、店主への労いであり、筆者自身の反省であり、これからも一緒に作っていくという意思を表した文章として響きました。二人の不器用さが具体的に描かれているからこそ、その先に生まれる菓子にも関心が向くエッセイです。
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文責:西田親生


                     

  • posted by Chikao Nishida at 2026/9/6 12:00 am

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