■雲巌禅寺と五百羅漢
◆雲巌禅寺と五百羅漢
本妙寺から峠の茶屋を通り金峰山の西麓へ足を運ぶと、南北朝時代に日本に渡来した元の禅僧東陵永が開基したと伝えられる雲巌禅寺(曹洞宗に属する寺)という寺がある。
それは樹木におおわれ、神秘的な霊場として知られている寺である。岩山を削ってつくられた細道を通って行くと、右手に大きな岩盤(1枚岩)が見え、滑稽というか、不気味という表現が適切なのか分からないが、五百羅漢の幾体もの姿に圧倒されてしまう。すべての表情、姿の異なる沢山の羅漢が急斜面に座しており、沢山の顔々が一堂に視線を向けて来る。・・・自分に似た顔がどこかにありそうな。
開山東陵永の木像は鎌倉時代の作風を残す室町時代の優れた彫刻として、国の重要文化財に指定されている(熊本博物館に展示)。また、この寺の裏山には、宮本武蔵で知られる「霊巌洞」があり岩戸観音が祀られている。
◆五百羅漢の碑
熊本の商人・渕田屋儀平の願により1779年から1802年まで、24年かかって奉納したといわれている。永年の風雨による自然崩壊や明治初頭の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)、1889年の大地震の破損等で完全なものは約半数に減っている。羅漢とは釈迦の教えを聞いて悟りをひらいた俗体の弟子達のことであり、釈迦の信仰と共に羅漢も信仰の対象とされるようになった。五百羅漢は一つ一つの姿を注意してみると、必ず自分の身内にそっくりの顔を見い出すことができるとの言い伝えがある。
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