昨日ペンダントへのお作り変えご希望でお持ち頂いたこちらのダイヤモンドリング、
もはや伝聞でしか伝わっておらず、当社も60年ほど前に6･26大水害に被災して
帳簿も流されてしまっているため、正確な年度は調べようもないのですが、
元々は100年ちょっと前にひいおばあさまが当社でお求め頂いたダイヤモンドだったそうです。
30年ほど前に一度リング枠を交換されておられるとのことですが、
今回はおばあさまからお孫さまへお譲りになられるにあたって
ペンダントへのお作り変えをご希望とのこと。



ダイヤモンドは0.58ct。
カットは、カットの変遷の歴史で必ず教科書に出てくる『オールド・ヨーロピアン・カット』。
ダイヤモンド自体真円ではありませんが、1875年に真円に磨く技術が発明されています。
そのため、恐らく1800年代半ば〜後半頃にヨーロッパでカットされたものではないでしょうか。



ダイヤモンドは成長する過程で周囲の結晶を取り込んで成長することが一般的です。
鑑定の世界では、このようにして取り込まれたものをインクルージョン（内包物）と呼びます。
こちらのダイヤモンドの場合、クリスタルインクルージョンがキューレット近くにあるため、
正面から覗くとパビリオンに写り込んで沢山のインクルージョンがあるように見えてしまいます。
このようなダイヤモンドの場合、クラリティ・グレードは下がってしまうのですが、
こちらの場合は非常に透明感のあるダイヤモンドのため、輝きは素晴らしいです。

せっかくのこれだけのダイヤモンドです。
流行に左右されないシンプルなデザインをご提案させていただきました。
完成後どのような輝きを放つのか、出来上がりが楽しみです。

代々受け継ぐお手伝いをさせていただいたということ。
大変嬉しく思います。

ソフィ・タカヤナギ
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