![]() 彦一が、まあだ子どもの時のこつげなたい。うちが、きつかったもんだけん、感心にも野菜ば売ったり、つかい走りばして加勢しよったげな。ある日、粉ばひいて売る店の前ばとおりかかったら、そこにおったひとし達が、 「おい、彦一来てみさい。ぬしゃ感心な者ない。よう孝行ばする。きょうはそのほうびに、ここにある粉ば、ぬしが持って行ききるしこやるけん、持って行け。そるばってん、粉はこのショウケですくえよ。」 と、目のあらかショウケば出したげな。 「そらあ、ありがとうございます。」 彦一が、どぎゃんするどかと、みんなで見とった。彦一は、うちから桶ば二つ持って来て、一つに水ばいっぱい入れた。その水にショウケばつけて、それを粉の山につっこんで、何べんももう一つの桶で、うちへ持って行ったげな。 |