第6話 サンカンの狐

イラスト

八代の高田と日奈久温泉と言うところの間に、サンカンの狐というのがいて、よう人ばだまし よったもん。ある日、彦一はカカさんと話し合って、馬にのせてサンカンを通りかかって、

「カカさん、一週間するとヨカにわとりば持って迎えに来るけん、それまでゆっくり日奈久の湯 につかっとんなはりよ。」

とおめえて通って行った。一週間目にうすぐろうなってから馬のクラに、にわとりばくびりつけてサンカンまで来ると、カカさんが柳のかげから、

「あんまりおそかもんだけん、ここまで来とったたい。」

「そらすまんだったな、早うのんなはり。」

カカさんが馬にのった。

「にわとりはおるが手にもとう。」

というカカさんばクラの上に縄でしばりつけて、

「つっこけなはんなよ。」

と鼻高々ともどって来た。ほんとのカカさんは、あくる日にもどってこらしたげな。


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