第44話 たぬきの入道

イラスト

きつねやつが、いつも彦一ィだまされちばっかりおっとば見かねち、たぬきやつが萩原ン土手で、彦一ば待つとったげな。

「彦一ちゃん。」

「オー、たぬ公かい。」

「きつねやつぁ、ちったばかばいな。いっでん彦一ちゃんにかつがれち・・・。」

「ハッハッハッ・・・・・・ぬしゃ りこさんのごたるね。」

「エー きつねとにゃちがいますばい。」

「そぎゃんかい、なんにばくっとが得意かい。」

「わたしゃ一つ目小憎でん大入道でん……。」

「ほんならいっちょ、ばけくらんごばしてみゅうか。」

「うん、そらおもしろかな、やりまっしゅ。」

「ねーたぬ公見てんさい、あっちかりつえばちいて、としよんの来よらすどが、あんひとば、ぬしが大入道でたんがらせきんなら、おるが負けたい。」

たぬきやつぁ笑うて、

「アッハッハッハッ……わしが大入道になんなら、どぎゃンもんでンひったまがるけんな、まあ見とってみなっせ。」

たぬきやつが雲ンとどくごたる大入道にばけたばってん、じいさんな、なんのこつもなかごつして歩いていかすげな。

「彦一ちゃん、こぎゃんきもン太かもんな、はじめっな。」

たぬきやつぁ、いきばせっきってか「フウフウ」言うたげな。

「そんならこんだぁおるがすっけん、よう見とけよ。」て、いうて、

「ヒヒーン・・・。」

て馬んなきまねばしたげな。

とこるが、じいさんなひったまがって、道のかたすみィちぢくれらしたげな。こんじいさんな、あけめくらのあんまさんだったてたい。

★話の中に不適切な表現がありますが、昔話ですのでお許しください。


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