![]() 稲荷さんの祭ンのよびもんな、目かくし競走げなたい。出町かっと、となりン村かっと、選手ば一人ずつじゃあて、いちいん鳥居かり拝殿までん石段ば、目かくししてかり走りのぼる競走げなたい。 「ドドン、ドンドンドン・・・。」 大太鼓ンなりはじむっとしゃがにゃ、ふたりの選手は一ときイ走っじゃあたげな。はじめんうちゃ、隣ン村ン選手が早ようして、すぐじゃ四、五メートルばっかりひっぱなちぁたてたい。 とこるが、石段ンのとけくっと、つっこけちばっかぁおって、あんまりゃ前さんにゃ進まんてたい。それくらぶっと、出町ン選手はコツコツて石段ばたちゃて、ちょうどあんまさんのごつしてドンドンあがっていかすとたい。 そっだもんだいけん、すぐじゃ隣ン村ン選手ば追いぬいて勝たしたげな。出町ン者たちゃ手ばたちゃぁて、そうにゃ喜こばしたてたい。 勝たした出町ン選手ン「ハアハア」言うち、目かくしば、はずさすとしゃがにゃ、見とったもんのみんな、そうにゃ笑いだしたげな。なんの、そん選手は、ほんなもんに目のみえらっさんだったてたい。こんも彦一ン入れ知恵だったげ な。 ★話の中に不適切な表現がありますが、昔話ですのでお許しください。 |