![]() さんかんのとこっで、村ン者たちが何かがやがやさわゃどる。ゆんべの大雨で、山くずれンして、太か石のころびだゃて、道イうっぱさまってしもうとるとこるだった。あんまり太か石で、重うして、だあれもどぎゃんもしきらんだったげな。こまっとるとこれ、ちょうど力ン強か男の通りかかったもんだけん、たのうでみたら、 「おら、今、腹ンヘっとるけん、飯ば食わせてくるんなら、その石ァ運んでやりまっしゅたい。」 て、いうた。村ン者な、そんくりゃのこつあ安しいこつ、て、いうて話しおうて、四しゅだきのかみゃ、一ぴゃたゃてごっそうした。男は腹、一ぴゃくうて石のとこりいたて、 「さあ、石ば運ぶけん、おれんせなきゃ石ばのせちくれ。」 みんなぷりぷりはりきゃあて、じぶんでやれといいだした。男は、 「石ゃ運でやるていうたばってん、このせなきゃのせてくれんことにゃ運ばれんばいた。」 て、はってこうてしよったとこり、日奈久かりもどリよった彦一が、こればきいて、 「おっさん、ちょっと待ちなり。」 ていうて、村ンもんに、 「あ〜たたちゃ、その石のとこれ、石よか太か穴はほってくんなり。」 村ン者な、何かしらんばってん彦一のいうごつ太か穴はほったげな。 「おっさん、こんあにゃ、あんた、はいんなり。上かりこん石ばころばきゃて、せなきゃのせちやるけん、そりかり運びきっどもん。」 男は、まっさおなって、がたがたふるいだしたげな。 「運ばんとなら、役人にうったゆうか。」 男は、村ンもんに、さんざんあやまったうえ、金まではるって逃げだゃたげな。あとかり、みんなで、こん石ゃ穴んなきゃころびゃきゃあて、かたづけち、よろこうだげな。 |