「宇土のスグルワラ」ていうち、珍しゅう化け上手の狐が、宇土におったげな。馬のクソば、まんじゅうに見せてだますとが得意だった。彦一は、こやつばこらしめてやろうと、八代から鮒のコギリば持って行たて、ごちそうしたげな。スグルワラは、目ばこもうしてよ ろこんで、
「こぎゃんうまかつぁはじめて食うた。どっからとって来たっかな。」
「八代にきてみなっせ、アバカンたい。」
スグルワラは、八代城のお堀に尻尾をつけて、一晩中霜夜にふるいあがったうえ、尾が凍りちいて、あぶにゃ殺される目に会うたげな。