第26話 彦一のまじない

イラスト

 彦一がえんそばん、昔かんのぶげん者だった金助どんがえも、金肋どんの代になってから、どんどん落ちぶれて来たげなたい。

ところが、金助どんな正直もんの旦那だったけん、だっでん不思議に思とったったい。金助どんも、神さんに頼ったり、易者に見てもろたりしたばってん、あからんだったげな。どぎゃんしょんなしゃ、彦一がえ開きぎゃいったりゃ、

「なんな。そぎゃんこつな。そら、やしいこつばってん、今は言われんたい。あしたン朝、早よう妙見さんに来てみなっせ。まじないばしてやるけん。」

 て、おしえたげな。そりかり

「妙見さんに来る前、きっと家ば守るって一回まわってきなっせよ。」

 あくる朝、ごっときィ金助どんな約束のごつ、家ば守るってめぐってみらしたげなもん、すっと、納屋んぐるんのよそわしかてひったんがってしまわしたってたい。そりかり妙見さんの方さんいきよらしたりゃ、こんごろかりぶげん者にならいた善兵えどんと、男したっの、いっそでもう畑ばうちよらすとばみらいたもんだけ ん、はがゆうなって、内つぁん走ってもどって、

「こらっ、わっどまなんきぁ、善兵えどんがえんもんな、いっそでもう畑ばうちよらすじゃなっか。」

 て、おごって、男したちば競争ンごっして、たたきおけえてまわらしたげな。ぜんぶねとぼけっごっして、おきってきたとこっで、

「今日かり、おるもぬしどんと一緒にしごっするけんね。きゅうは、しごっする前、妙見さんにまいってきゅうじゃなっか。」

ぜんぶばつれち、妙見さんさんきて見らしたりゃ、彦一がにこにこしてまっとったげな。 彦一が、

「まじないばおしえちやろか。」

て言うと、金助どんなもうようわかったって、何べんも礼ば言わいたげなたい。


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