![]() 彦一がえんそばん、昔かんのぶげん者だった金助どんがえも、金肋どんの代になってから、どんどん落ちぶれて来たげなたい。 ところが、金助どんな正直もんの旦那だったけん、だっでん不思議に思とったったい。金助どんも、神さんに頼ったり、易者に見てもろたりしたばってん、あからんだったげな。どぎゃんしょんなしゃ、彦一がえ開きぎゃいったりゃ、 「なんな。そぎゃんこつな。そら、やしいこつばってん、今は言われんたい。あしたン朝、早よう妙見さんに来てみなっせ。まじないばしてやるけん。」 て、おしえたげな。そりかり 「妙見さんに来る前、きっと家ば守るって一回まわってきなっせよ。」 あくる朝、ごっときィ金助どんな約束のごつ、家ば守るってめぐってみらしたげなもん、すっと、納屋んぐるんのよそわしかてひったんがってしまわしたってたい。そりかり妙見さんの方さんいきよらしたりゃ、こんごろかりぶげん者にならいた善兵えどんと、男したっの、いっそでもう畑ばうちよらすとばみらいたもんだけ ん、はがゆうなって、内つぁん走ってもどって、 「こらっ、わっどまなんきぁ、善兵えどんがえんもんな、いっそでもう畑ばうちよらすじゃなっか。」 て、おごって、男したちば競争ンごっして、たたきおけえてまわらしたげな。ぜんぶねとぼけっごっして、おきってきたとこっで、 「今日かり、おるもぬしどんと一緒にしごっするけんね。きゅうは、しごっする前、妙見さんにまいってきゅうじゃなっか。」 ぜんぶばつれち、妙見さんさんきて見らしたりゃ、彦一がにこにこしてまっとったげな。 彦一が、 「まじないばおしえちやろか。」 て言うと、金助どんなもうようわかったって、何べんも礼ば言わいたげなたい。 |