第23話 きつねの水およぎ

イラスト

彦一にちえ負けして、ひどか目におうたきつねは、

「よし、こんだァ、さむらいにばけち、彦一ばへこまきゃてやる。どぎゃん彦一でん、さむらいにゃ頭ンあがるめゃ。」 こぎゃん考えて、萩原ン土手でまっとったげな。とこるが、あんのじゅう彦一がきた。

「やい小僧、さむらいさまのおとおりだ。」

彦一ちゃ、ひったまげて、つっこきゅうでしたげなばってん、きつねて知って、にやにややって、

「おや、だっだろかとおもたりゃ、水泳の先生やありまっせんか。こないだお城ンとこっでおうたとき、石ばかろち、おえでみすっていわしたばってん、今、こん下ン川でおえで見せなっせ。」

とこるが、およぎのへたなきつねは、

「こらしもた、みょうなさむらイ、ばけたもん。」て、あとぐやみしたばってん、負けん気にになって、

「よし、おえで見すっぞ。」

彦一が、くすくすわるて、ふろしきィ石ばつつで、きつねン首ィゆわいつけたげな。

およぎがへたん上、石までゆわいつけられ、たちまち、うんぶくれち、アップアップして、

「彦一、たすけちくれ。」

ちゅうたげな。


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