![]() 彦一にちえ負けして、ひどか目におうたきつねは、 「よし、こんだァ、さむらいにばけち、彦一ばへこまきゃてやる。どぎゃん彦一でん、さむらいにゃ頭ンあがるめゃ。」 こぎゃん考えて、萩原ン土手でまっとったげな。とこるが、あんのじゅう彦一がきた。 「やい小僧、さむらいさまのおとおりだ。」 彦一ちゃ、ひったまげて、つっこきゅうでしたげなばってん、きつねて知って、にやにややって、 「おや、だっだろかとおもたりゃ、水泳の先生やありまっせんか。こないだお城ンとこっでおうたとき、石ばかろち、おえでみすっていわしたばってん、今、こん下ン川でおえで見せなっせ。」 とこるが、およぎのへたなきつねは、 「こらしもた、みょうなさむらイ、ばけたもん。」て、あとぐやみしたばってん、負けん気にになって、 「よし、おえで見すっぞ。」 彦一が、くすくすわるて、ふろしきィ石ばつつで、きつねン首ィゆわいつけたげな。 およぎがへたん上、石までゆわいつけられ、たちまち、うんぶくれち、アップアップして、 「彦一、たすけちくれ。」 ちゅうたげな。 |