第22話 まつぼり

イラスト

彦一は、そーにゃ酒ば好かしたもんだけん、よめごは毎晩酒かいに行かしたげな。

そればってん、貧しかもんだけん、年のくれには借金取りのおしよせて、さすがの彦一も、これには困らしたったい。

「ちっと、銭のあっとね。」

と彦一は言わしたげな。

そればみて、よめごは銭ばもって来たったい。

「そぎゃん銭ば、どこから持って来たっかい。」

と彦一はきくと、よめごは、

「あたが毎晩酒ばかわせたろが、そん時、まつぼりをしたったい。」

と、言わしたげな。

彦一は、酒ば毎晩のんで、あれしこ銭のたまったけん、酒ば止めたらさぞ銭のたまるどたいと思って、翌年から酒は一滴も飲まんだったげな。

又、年のくれがきたったい。彦一は、よめごのまつぼりを楽しみにしていると、よめごは、

「あたが酒ばのまんもんだけん、なんのまつぼりのできまっしゅかい。」

と言わしたげな。


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