![]() 彦一は、そーにゃ酒ば好かしたもんだけん、よめごは毎晩酒かいに行かしたげな。 そればってん、貧しかもんだけん、年のくれには借金取りのおしよせて、さすがの彦一も、これには困らしたったい。 「ちっと、銭のあっとね。」 と彦一は言わしたげな。 そればみて、よめごは銭ばもって来たったい。 「そぎゃん銭ば、どこから持って来たっかい。」 と彦一はきくと、よめごは、 「あたが毎晩酒ばかわせたろが、そん時、まつぼりをしたったい。」 と、言わしたげな。 彦一は、酒ば毎晩のんで、あれしこ銭のたまったけん、酒ば止めたらさぞ銭のたまるどたいと思って、翌年から酒は一滴も飲まんだったげな。 又、年のくれがきたったい。彦一は、よめごのまつぼりを楽しみにしていると、よめごは、 「あたが酒ばのまんもんだけん、なんのまつぼりのできまっしゅかい。」 と言わしたげな。 |