![]() 夏の暑か日、彦一は八人の百姓と頒主のとこへ年貢の米ば納めに行かしたげなたい。馬のせなかに米ば三俵ずつ積んで行かしたったい。水はなかもんだけん、のどは渇くし、暑かし、汗ばたらたら流して歩かしたったい。 途中、森には美しか水の湧きでる池のあるけん、早ようそん冷たか水ば飲まんばんと思って歩かしたったい。森に着いてみると、どうか池の水は減ってしまって、飲もうするばってん、どやんしても、とどかんとたい。皆な、なんとかするばってん飲めんもんな、水は目ん前にあるばってん飲めんけん、よけいのどは渇くとたい。 そん時、彦一は着物ばぬいで裸にならしたげな。そして、池の中に飛び込ましたったい。彦一は、気でもくるったっかと、皆、たまがらしたげなもん。すると、どうだろうか、彦一の体の重みで池の水がふえ、皆、水をのむことができたげな。 |