![]() 彦一が、京都の本願寺まいりばしたげなたい。そばの宿屋にとまったら、そこ主人が、むごう庭造りが好きで、自分の庭ば自慢して見せたげな。 「フム、なかなかよか庭でござすな。そるばってん惜しいこつにゃ、じゅうりカズラと、かねのなる木がござっせんな。これがあるとまあだウチ上りますばい。さいわい肥後八代の私のうちに持っとりますけん、あげまっしゅ。」 と言うたげなもんだけん、主人はよろこうで、ごちそうばうんとこしょしたげなたい。もどりに、彦一について八代まで来た主人は、彦一のうちの狭か庭に立って、キョロキョロしとるげなもん。右と左に這うとるゴリばさして、 「ゴリとゴリでじゅうりカズラですたい。」 シュロの木ばさして、 「こやつで、寺の鐘のなるシコ木ば作んなっせ、カネのなる木ですたい。さああげまっしゅ。」 |