野上のベッピン狐に痛い目を見せてやろう、と考えていた彦一が、トンさんの行列が明日あるこっば聞いて、狐に化かしくらべを申し出た。約束の時刻に、萩原堤の松の枝にのっていた狐が、下を通りかかった行列の見事さに
「えーぞ、えーぞ彦一ちゃん、むごう上手ね。」と大声ばあげた。
そーば聞いた供人達は、大勢で追いかけ、まちっとでヤリでさしころそうした。さすがのベッピン狐も、当分の間、穴からチラッとも出来らんだったげな。