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雨の芝居小屋「八千代座」

▼芝居小屋「八千代座」(111年の歴史)の廊下にある裸電球

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 芝居小屋「八千代座」には、随分足を運んでいない。多分、4年ほど行っていないのではないか。特に、コロナ禍となり、ほとんど足を伸ばすことが少ないので、雨の降る「八千代座」を時折思い出すのだった。

 全国には、現在、11の芝居小屋が残されていると言う。「八千代座」以外は足を運んだことはないが、一度は、全芝居小屋の歴史や公演履歴、そして造りをじっくりと取材したい・・・。

▼20年前に書いた記事(2001年9月18日)
 http://www.dandl.co.jp/gold/news2001/20010918yamaga/index.htmlLink

<資料提供:山鹿市教育委員会>

 熊本県北部の山鹿市。いで湯と灯籠祭り、装飾古墳などで知られる歴史の街。そこには江戸時代の参勤交代にも利用された豊前街道が通り、その街道沿いに「八千代座」は今も尚歴史を語り続けている。

 明治43年当時商工業で栄えた山鹿の旦那衆が八千代座組合を創設、一株参拾円の株を購入し建てた芝居小屋である。こけら落としは同44年1月で、歌舞伎の松嶋屋総勢91人による興業であった。当時の記録を紐解くと、松井須磨子、岡田嘉子、長谷川一夫、片岡千恵蔵らの名前を見ることが出来る。八千代座は大正から昭和初期にかけて、当代一流といわれる芸能人の熱演を多くの人々の心に深く刻み込んできたのである。

 国指定の重要文化財である八千代座であるが、昭和40年代に老朽化し朽ち果てる寸前であった。山鹿の老人会が「瓦一枚運動」で募金を行い、5万枚の屋根瓦を修復。現在では若者も活動を始め、平成2年から「坂東玉三郎舞踊公演」が定期的に開催されている。「い・ろ・は」から始まる桟敷席、廻り舞台やスッポンなどすべてが健在である。ちなみに、奈落の底で廻り舞台(人力式)を支え続けるレールには、1910年のドイツ・クルップ社の刻印が刻まれているのである。

<全国の芝居小屋>

1)康楽館:秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字松ノ下2
 http://kosaka-mco.com/publics/index/51/Link
2)門和佐の舞台(白雲座):岐阜県下呂市門和佐
 https://jishibai.pref.gifu.lg.jp/modules/organization/index.php?action=PageView&page_id=11Link
3)鳳凰座:岐阜県下呂市御厩野
 https://www.city.gero.lg.jp/site/kanko/1305.html#sp_headline_0Link
4)旧金毘羅大芝居(金丸座):香川県仲多度郡琴平町乙1241
 https://www.kotohirakankou.jp/spot/entry-55.htmlLink
5)内子座:愛媛県喜多郡内子町内子2102
 https://www.we-love-uchiko.jp/spot_center/spot_c2/Link
6)嘉穂劇場:福岡県飯塚市飯塚5番23号
 http://kankou-iizuka.jp/topic_6/Link
7)八千代座:熊本県山鹿市大字山鹿1499
 http://www.dandl.co.jp/gold/yachiyoza/Link
8)自然舎:山梨県北巨摩郡須玉町上津金
 案内WEBサイトなし
9)永楽館:兵庫県出石郡出石町柳町12
 http://eirakukan.comLink
10)旧広瀬座:福島市上名倉字大石前地内
 https://minka-en.com/shisetsu/shisetsu_6/Link
11)ながめの劇場:群馬県大間々町大字大間々1635
 https://www.city.midori.gunma.jp/www/contents/1000000000166/Link


▼桟敷席(キセルでタバコを吸って焦がした跡がある)
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▼奈落(人力の回り舞台の下)にあるドイツのクルップ社製のもの(1910年)
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▼雨と提灯
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▼正面
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ロゼッタストーン公式サイト(since 1995/熊本県第一号WEBサイト)
 https://www.dandl.co.jp/Link
写真・文責:西田親生

               

  • posted by Chikao Nishida at 2021/12/5 12:00 am

芝居小屋 八千代座のレア処。

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 芝居小屋 八千代座のマーク(写真上)は、年代を感じさせるもので、実に面白い。「八つの千がヨを囲んでいる=八千代座」という事だ。

 我が国の国歌は「君が代は 千代に八千代に さざれ石の いわおとなりて こけのむすまで」とある。この短いフレーズの中に、「八千代」、「さざれ石」、「いわお」が、この芝居小屋の呼称に関係があるのではないかと考えてみた。

 実は、山鹿市には巨岩の山 不動岩というものがあり、それは、「さざれ石」、「いわお」そのものなのである。誠におめでたい名称だと、今更ながらに頷いた。

 八千代座は100年以上の歴史と伝統を持つ、全国でも数少ない地方の芝居小屋である。一時期は、崩壊しそうにボロボロになっていた八千代座。その復元には色んな方々の苦労があったけれども、現在、威風堂々としたトラス構造の巨大建造物(木造)として、一見の価値ある名物芝居小屋となっている。

 先ずは、正面回り舞台の奈落に潜ることに。驚いたことに、鉄製のレール側面に1910年にドイツのクルップ社が製造した刻印があった。100年経っても錆一つなく、人力回り舞台を支えているのだ。これは人伝てに聞いたことだが、八千代座が復元される頃に、現在のクルップ社から視察団が訪れ、自社製品が現役で動いていることに歓喜したと言う。

 次は、奈落から玄関の方に続く細いトンネルを進むことに。丁度、花道の真下の通路となっているが、中ほどに「すっぽん」の看板があった。4人の人力で、役者を奈落から花道へ担ぎ上げる装置である。これまた、人力というところがアナログでいい感じだ。

 地下の探索を終え、桟敷席の中央に座ることにした。見上げると、当時の広告看板が天井を埋め尽くしている。正方形の広告で、当時のハイカラな店舗の広告コンテストのようにも感じた次第。

 桟敷席は当時の人たちのサイズに合わせてあるのだろうか、思ったよりも狭い。桟敷を仕切る木の表面を見ると、小さい焦げ跡のような黒点を発見。聞けば、当時の観客がキセルで煙草を燻らした後に、その仕切りの木の上に「パンパン♪」と煙草の燃えかすをのせていたようだ。今なら「禁煙!即、退場!」となるに違いない。

 ずいぶん前に取材した時のこと。当時のトイレが全て豪華有田焼で作られていたのに、腰を抜かしてしまった。(現在、どうなっているのか知る由もない)・・・

 まだまだ、この芝居小屋を探索すると、驚くような仕掛けやエピソードなどありそうだが、また、次回の楽しみにしておこうかと。

 
▼奈落
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▼すっぽん
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▼天井の広告
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▼八千代座の赤提灯
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▼桟敷席
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▼雨風で揺れる屋外の赤提灯
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▼取材風景
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◎芝居小屋 八千代座サイト(powered by D&L Research Inc.)
 https://www.dandl.co.jp/gold/yachiyoza/Link

                 

  • posted by Chikao Nishida at 2017/5/15 12:00 am

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