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和食考察・・・若者の和食離れについて

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<若者の和食離れ>

 ユネスコ無形文化遺産に登録されている「和食」。日本が世界に誇る食文化である。しかし、最近、「若者の和食離れ」という話をちょくちょく耳にするようになった。

 一方、「和食」に相当な関心を持つ若者も多くいて、料理が和洋中折衷と多国籍化することで、「和食」の範囲も広がり、その定義も難しくなっている。

 何故、「若者の和食離れ」になるのか。それは、ファストフード時代に育った世代であり、ライフスタイルの変化や、プロトコールを重んじる「和食」への堅苦しさや窮屈さを感じているのではないかと推察される。

 その他、「食育」という観点で、義務教育段階での簡素過ぎる給食メニューにも問題があるのではないか。よって、複合的な要因により「若者の和食離れ」が進んでいると考えられる。

 以下、ランダムに具体的な例を挙げつつ検証することに。

<若者に立ちはだかる和食の壁>

▼鮎の塩焼き
 鮎の塩焼きを例に挙げれば、若者に限らず、その食べ方を知らない人は思いの外多いようだ。よって、鮎の頭と骨を一気に抜く方法が分からず、皿の上が散らかってしまい、適量の鮎の身を頬張れず、すこぶる面倒臭くなってしまう。

▼お箸と器
 ナイフとフォーク、スプーンに慣れている若者が多いが、お箸を正確に使っている様を見ることは皆無に等しい。また、ご飯茶碗を上から吊り下げるように持って食べる人もいて、掌に載せて基本通りに器を扱う所作が見られない。

▼敷居の高さ
 「和食」でも、懐石料理をサーブする和食処と、ファストフード的なラーメン店、うどん店などを比較すれば、どうしても懐石料理の方が料金も遥かに高く、敷居も高くなってしまうのだ。若者は美味なる懐石料理を気楽に食べたい気持ちはあるものの、堅苦しさが先行し、箸が進まぬ状況に陥ってしまう。

<和食の啓発不足>

 「和食」の歴史や伝統、そして四季折々の旬の食材(山、川、海)と料理など、数千年にわたり、日本人ならではの食文化として育まれてきた「和食」だが、その啓発不足によって、本来の「和食」の素晴らしさを知らずして育っていることも考えられる。

▼山川の幸
 例えば、山川の幸を覗き見れば、小川に遊ぶサワガニの炊き込みご飯。サフラン色のご飯を見て感激する人は多い。いろんな種類のキノコの佃煮で、ご飯がどんどん進む料理を体験し、感動する人も少なくはない。また、タラの芽、フキノトウ、コゴミなどの天ぷらや、数十種類の漬物など、季節の節目を教えてくれる旬の食材の宝庫となっている。

▼海の幸
 海の幸においても、活きた石鯛の皮焼きのお造り、ヒトデの卵料理、採れたてのウニ、虎フグの白子焼き、カレイの一夜干し、車海老の踊り食い、カワハギのお造り、青ナマコ&赤ナマコの刺身、ハモの落としなど、食材も料理法も多種多様であり、筆舌に尽くし難い。特に、日本列島全域のリアス式海岸では、近海魚介類が生息しており、食材に事欠かない。

▼豆腐百珍
 豆腐についても、江戸時代のベストセラー本となった「豆腐百珍」にあるように、高貴な方から我々庶民に至る豆腐料理のレシピが掲載されているように、豆腐を利用した料理は数えきれない。 

<人気和食処の共通点>

▼女性客の獲得
 ここで、人気を博している和食処の共通点を考えてみることにする。それぞれのコース料理はリーズナブルながら、デザートが豪華で、お得感満載としている。よって、女性客の熱烈ファンが多い。

 女性の心を掴んでいるのは、リーズナブルな料金もさることながら、色とりどりの魅力あるデザートの存在であり、更には、食後のおしゃべりタイムも確保できるように、食事処が配慮している。

▼唯一無二なる名物料理
 一般的に、街場の食事処を見て回ると、料理人とのお客の距離が近く、敷居を感じさせない食事処ほど人気がある。更に、唯一無二なる名物料理やオプションの豪華デザートをサーブする処が話題となり、ウィークデイでも長い行列ができる。

 料理は勿論であるが、食事の〆となる「デザートに一工夫」するのは、若者をはじめ、新規顧客掘り起こしや競合店との差別化の為の強力な武器となっている。

<和食の価値>

▼ミシュラン都市別ベスト5に3都市
 世界でもミシュラン都市別ベスト5に、日本は東京をトップに、京都そして大阪の3都市が入っているというのは日本人として誇りであるが、残念ながら、その啓発不足により「和食の価値」を共有できていない点は否めない。

 食文化レベルが高い日本であるが故に、膝下である「和食」の啓発について、世界に誇れる「和食の価値」を再認識することが必要となる。特に購買力絶大なる若者の「和食」への関心は、今後の国内における「和食の世界」を大きく左右すると言っても過言ではない。

<食育における「和食文化継承」の重要性>

 学校給食が無償化されている料理をテレビ報道で見たことがあるが、具材が極端に少ないことが気になる。ご飯とおかず一皿に味噌汁、そして牛乳だけで、少々粗末に見えて仕方なかった。育ち盛りの子供達には、十分な量とは言えないのではないか。

 農水省公式サイトで調べてみると、給食メニューで「和食」が占める割合は非常に低い。米飯を希望する小学校は三割ほどあると言うものの、「食育」という観点から、「和食文化」を継承している学校が圧倒的に少ないのは大きな問題である。

 昔、小学校内に給食室があった当時と比べれば、今の給食が美味しそうに見えないのは、筆者だけであろうか。

 育ち盛りの子供達の「食育」において、「和食文化」の継承が鍵となっているように思えてならない。よく噛み、よく味わい、食材をよく知る。これが、これからの日本を支える若者を育てる礎となる。

 「和食文化の継承」を幼い頃に体験しておくと、自ずから「和食の価値」を体感することにより、若者のソウルフードとなり、時間は掛かるものの、次第に「若者の和食離れ」が解消されはしないか。

 日本人であればこそ、「和食」をもっと大切に考えて頂ければと。

※料理は脇宮盛久料理長作(熊本ホテルキャッスル ダイニングキッチン九曜杏)

▼和食文化の継承と給食の役割(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/attach/pdf/index-84.pdfLink

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写真・文責:西田親生


             

  • posted by Chikao Nishida at 2023/4/20 12:00 am

鯛のあら煮・・・

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 久しぶりの、鯛のあら煮。大好物の料理の一つだが、これはお土産に頂いたもの。早速持ち帰り、温めて食したところ、これほど大きな鯛のあら煮は久しぶり。あちこちに分厚い白身ととろとろのコラーゲンがある。白ごはんの上にのっけて食せば最高だろうと。

 残念ながらご飯を炊くことを忘れており、山形から頂き物の「生酒」を舐めながら、これ以上食べるところがないまで突きまくった。幼い頃、魚といえば、あれほどまでに逃げていた筆者であったが、今思えば、実に勿体ない年月を過ごしたものだと、反省しきりである。

 今まで、特に熊本において鯛のあら煮が旨かったという記憶を辿れば、上天草市の松島観光ホテル岬亭、熊本市の芳乃(十数年前に廃業)、そして熊本ホテルキャッスルのあら煮を思い出す。いずれも天然鯛が入手された時のあら煮であったので、甲乙付け難く旨かった。

 諄いようだが、本日の大失敗は、七城米(熊本県菊池市の極上米)を炊くのを忘れたこと。何ともそそっかしく慌てものだと、あら煮の完食後に一人苦笑いをしてしまった次第。それにしても、あら煮はよくできた料理だと、フードロスのない伝統的な和の文化なのだろうと・・・。(SDGs)


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  • posted by Chikao Nishida at 2021/4/26 12:00 am

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