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自国の宝が消えて行く・・・

▼帝国ホテルのケーキ

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 幼い頃のクリスマスイヴを思い出した。3歳から通い始めたカトリック系の幼稚園。時代は、昭和30年代の話だ。戦後15年ほど経った日本だったが、まだ、小学校の給食では脱脂粉乳や鯨肉が出されていた、敗戦国として貧乏な国だった。

 そんな中で、たまたま親や園長に駄駄をこねて無理やり入園させてもらったのだが、初めてのクリスマスイヴを迎えた時のこと、園内では聖歌が流れ、仏教徒である私が今まで体験したことのない、不思議な世界に入り込んで行った。

 園長とそのご婦人(おばちゃん先生と皆が呼んでいた)の誘いで、植木町だったか、クリスチャンの方の家に出向き、生まれて初めてワンホールのクリスマスケーキを食したことをよく覚えている。当時の街中のケーキ屋さんでは、バタークリームで包み込んだ、劣悪なショートケーキばかりが並んでいた時代なので、その大きな手作りのワンホールのクリスマスケーキは、私にとって、夢幻のようで、驚きの色を隠しきれなかった。

 そういった貧しい時代の日本を思い出したのであるが、それから数十年経った「日本の今」を見ると、当時とは雲泥の差。ありとあらゆる物が揃う、贅沢な国になっている。靴下やズボンが綻ぶと、必ずフセををする時代。器用なお母さんは、アップリケをうまい具合に使って、フセをした箇所が不自然にならないように工夫していたことも覚えている。今では考えられないことである。

 そして、時代は昭和の風から、平成の風に変わる。残念なことに、人、物、金の価値が全く変わってしまった。敗戦後の動乱の時期に、国を憂いて、新しい強い日本国を築こうと、先人たちが目の色を変えて仕事に傾注していた。諸外国からは、日本人をエコノミックアニマルと揶揄するほど、日本国の急成長は凄かった。

 神道や仏教がほとんどを占めるお国柄だが、一般的な人間は、私も含めて無信教者が多い。よって、海外の文化は思いの外根付きやすく、新年には「Happy New Year!」と連呼し、2月にはバレンタインデー、3月にはホワイドデー、10月にはハロウィン、更に12月にはクリスマスが根付いてしまった。

 商業ベースで次から次へと、欧米文化が流れ込み、それぞれの時期になると、購買意欲をそそるようなイベントが目白押しとなるのも、実に面白い現象である。しかし、逆に、日本の伝統的な遊びや慣習がどんどん忘れ去られてるという逆流現象も起きているのも否めない事実。

 何を選ぶか選ばないかは個人の自由ではあるが、自国の伝統文化伝承に多額の金銭が必要な環境を作っているのも、世襲制に固執しているのも、衰退への加速度を増している要因であることも知る必要がありはしないかと、危惧する今日この頃である。

 一昨日、友人からのメッセージがFacebookのメッセージで送られてきた。それは、90年の歴史を持つ老舗蕎麦屋が年内いっぱいで廃業すると言う。実に残念なことだが、やはり、自国の宝である伝統文化を継承するのに、法外な金銭が必要な環境を是正しない限り、どんどんと良き時代の日本の姿は消え去って行くのではなかろうかと・・・。


▼GODIVA
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▼年内で廃業する「下通藪蕎麦」のカツ丼&ざるそば
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  • posted by Chikao Nishida at 2015/12/24 03:06 am

戦場のクリスマスイヴ

▼熊本ホテルキャッスルロビー
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 クリスマスイヴという実感も無く、いつもの通り、熊本ホテルキャッスルへ足を運んだ。午後5時前だったが、ランチのタイミングを逸してしまい、相当腹の虫が鳴いていた。

 同ホテルのロビーは、まだ静かである。1階にあるダイニングキッチン九曜杏の方へ向かって進むと、右手にはクリスマスケーキを受け取りに、次から次へと客がサブの玄関から出入りしているのだった。

 山積みのケーキの箱を横目に、更にレストランの奥カウンターへ移動した。全テーブルには、クリスマスイヴ・ディナーの予約なのか、セッティング完了のテーブルがずらりと並んでおり、時間は早いが、既に筆者の左後方のテーブルでは、イタリアからの客と共に、日本人家族の宴会が始まりつつあった。

 結局、腹の虫は収まる気配も無く、グーグルグーグルの状態。昼抜き、そして夕食前だった為に、頭がボーッとしている。よって、がっつりと肉を食したいと思い、黒毛和牛のフィレステーキを頼んだのだった。

 丁寧に焼き上げられたフィレステーキを食しながら、厨房の中を覗くと、シェフ達の顔色がいつもと違う。・・・大勢の客のディナーの準備なのか、休むこともなく、ただひたすら無言で仕事に傾注しているのだった。話によると、クリスマス・ディナーの為に、全シェフたちは二日間缶詰状態だと言う。

 食べる客は、ただ待っているだけで、ワインで乾杯、アミューズを楽しみ、次第にメインに近づけば、ほろ酔い気分でワイワイ呑んで気楽なもんだが、ランダムにオーダーが飛び交う厨房の中は、まさしく戦争最前線といった様相を呈していたのであった。

 これは現場に居なければ、その辛さが如何様なものなのか分かるはずがない。しかし、職人の世界は常に真剣勝負。ルーチンワークもあろうけれども、この時期は予期もせぬようなオーダーが必ず飛んでくる・・・。

 いつも美味しい料理をサーブしてくれる同レストランではあるが、食に関する業務は並大抵では無いと、再認識した次第。・・・これがプロの世界なのだろうと・・・黙々とシャッターを切っていった。


▼臨戦態勢のシェフたち
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▼黒毛和牛フィレステーキ
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▼蟹の洋風茶碗蒸し
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▼工藤セカンドシェフ
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▼さあ、料理のサーブだ。
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※撮影は、NIKON Df+NIKKOR 35mm(昭和30年代に開発されたレトロレンズ)

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  • posted by Chikao Nishida at 2013/12/25 06:47 am

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