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有働家の餅つき・・・

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 スマホに溜まりに溜まったメールを読んでいると、『有働自轉車』(熊本県山鹿市下町)の息子さんからお礼のメールが2通届いていた。最近はスマホのメールをフル活用していなかったので、大変申し訳なかったが、遅ればせながら、慌てて返信。

 天候が悪く、取材予定を組んでいなかったが、手土産持って、国道3号線を北上し、『有働自轉車』へ向かうことにした。

 実は、有働家の年末に杵つきの餅が余りにも美味かったので、その旨を告げると、「また餅をつきますから、その時はお知らせします。」と聞いていた。そんなこんなを思い浮かべながら走っていたら、『有働自轉車』に到着。同店の引き戸を開け、ご挨拶。

 息子さんが出てきて、お父さんが餅をつくと言う。そこで再度メールを確認すると、先ほどのメールの直ぐ後に、「実は明日予定していた餅つきを、父親の都合で急遽夕方からすることになりました。」とあった。結局、筆者は餅つき情報を知らずして、偶然にも同店の玄関に立っていたのだ。

 早速、築100年を超える自宅兼店舗の中を通り、裏庭に足を踏み入れた。そこには、昔ながらの蒸籠で餅米が蒸されていた。二升二段の蒸籠の上方から湯気が激しく立ち登り、火力が強くなると、車のバックファイアのように、煙突から何度も炎が吹き出た。

 手際よく、上一段の蒸籠で蒸された餅米が石臼に投げ入れられ、店主と息子さん二人が杵先で揉みながら、つき始めた。ペッタンペッタンの小気味好い石臼と杵の音。、「できたつに塩ばかけて食ぶっと、たいぎゃな旨かですばい!」と熊本弁。(翻訳:出来上がりのものに塩を振り掛けて食べると、大変美味しいですよ!)

 言われた通り、できたての餅に塩を振り掛けて食してみた。つき加減も良く、本当に美味かった。更に、準備していたボール状の餡玉を、女性陣ができたての熱々の餅で包み始め、次から次へとまん丸な餡餅が完成する。見学しているばかりでは気の毒に思えるが、長椅子に座って味見をさせてもらうのは気がひけた。それでも、出来立て3個の餅を食べてしまった。

 餅つきを目の前で見るのは、数十年ぶり。それも、家庭の裏庭で、家族揃っての餅つきをしている光景は初めてだった。一人一人が各々お喋りをしているが、同時に別々の話をしても、皆、理解できるという不思議な空間だ。アットホームで、素朴で、自然体。一言で餅つきと言っても、前準備から完成、後始末まで考えると、丸一日掛かってしまう大イベントである。

 「面倒臭いものは世の中から消えて行く時代。杵で餅つきという習慣もなくなってしまった!」と、店主の奥様が話してくれた。確かに、面倒臭いことなのだろうが、現代社会はお金だけで欲しいものを買ってはポイの、使い捨て時代となっている。しかし、このように手間隙掛けて作られる餅は、どこの百貨店にもスーパーにも売っていない上物である。

 帰り際に奥様が「タッパーは返しなはらんで良かけん、餅ば持って帰んなはっと良か。美味かて言いなはっと、ほなこて嬉しかですばい!」と。(翻訳:餅を入れたタッパーはお返しされなくても良いので、餅をお持ち帰りくださいね。美味しいと仰ると、本当に嬉しいですよ!)・・・

 ご馳走様でした。




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▼取材ランチ:熊本ホテルキャッスルのダイニングキッチン九曜杏
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  • posted by Chikao Nishida at 2017/1/14 12:00 am

目の輝き、深い皺こそ価値がある!

▼有働サイクルの息子さん(写真左)との談笑
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 最近、頓に取材が生き甲斐となってきた。取材は、新たな発見と感動の連続となる。そして、取材による撮影は、その瞬間の時空を切り撮ることで、ピュアで素敵な人間関係を創り出すこともある。

 自然界や建造物も、野鳥などの小動物の撮影はすこぶる面白いが、近頃は「人」の撮影が、より遣り甲斐を感じるようになってきた。実は、従来の作品を紐解けば、ポートレートが圧倒的に少ないのである。

 理由は、肖像権等の問題もあり、通常、自然界を撮影するよりは、「人」を撮影する場合(モデルありきの撮影会とは異なる)、一つ、二つハードルが高くならざるを得ないのは確かなこと。ただ、行き摩りで撮影した人とFacebookを交換して、安易に写真をプレゼントするような愚行だけは避けたい。

 体育祭や文化祭、パーティーとか、集団行動の中で、仲間同士がワイワイガヤガヤの写真を撮るのとは異なり、1枚の写真にその方の人生が凝縮されてしまうほど、貴重でもあり重みのある価値ある写真なので、気軽に手軽に、「はい、ポーズ!」、パシャリとは行かない。

 常にドラマティックな撮影を心掛けている中、なかなか思ったような構図やアングルではなかったり、全体の色味やシャープさが予想を裏切ったりと、内心、イリテイティッドな撮影の方が圧倒的に多いと言うのが、正直なところでもある。

 私なりに、「人」の撮影は、その人のキラリとした目の輝き、深く刻み込まれた皺、何とも言えない笑み、緊迫した厳しい心を表現したいが、これまた、なかなか思い通りに撮影されていない作品を見ては、腕のなさと、機材の不備を再認識するばかりとなる。何とか、元気で生き続けている間に、一つでも納得の行く「人」を撮影できればと・・・。


▼有働サイクル店主
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▼山鹿市下町の趣ある店舗
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▼山鹿市下町の路地裏
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▼取材風景(機材:NIKON DF+85mm f1.4)
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  • posted by Chikao Nishida at 2017/1/8 12:00 am

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